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なぜ映画ファンにかくも愛されるのか

話題のソフトを“Wooo”で観る − 第17回『ゴッドファーザー』シリーズ(BD-BOX)

公開日 2008/11/18 18:57 大橋伸太郎
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G.F.の映像のトーンは同時代のハリウッド映画とは明らかに違っている。1970年代前半のハリウッド映画は、明るく健康的な肌描写のカラリとハイコントラストなバランスが一般的だが、G.F.は終始アンバー調の絵画的な光線に溢れ、ヨーロッパ映画、例えばルキノ・ヴィスコンティの映画を思わせるシックな映像である。これは撮影監督のゴードン・ウィリスの創意によるもので「ゴールデンアンバー」として賞賛された(PART.IIでアカデミー撮影賞を受賞)。

今回、ハイビジョン(ブルーレイ)ディスク化で画質が大幅に改善され、NTSC時代のドロンとした映像から洗い清められ、光線と色調の美しさに溢れている。このフィルム美学を家庭で再現する決め手は、映像の透明感(S/Nのよさと色純度)を引き出すこと。やはりディスプレイ(テレビ)の力量が問われる。

P50-XR02は、新ダイナミックMBPカラーフィルターを採用、パネルのRGB各色の純度の高い光だけを通し、色再現範囲を高めている。デジタルハイビジョン放送のHDTV規格の色再現比で125%という広大な色域は業界最高の数値である。この色純度と色域の広さが、G.F.の特徴である「ゴールデンアンバー」を時に瑞々しく、時に憂愁を滲ませて描き出す。ここでは、色合いを一目盛りグリーン寄りに、色の濃さは下記に調整するだけでフィルムの雰囲気が見事に現れる。これなら映画館で見るよりP50-XR02でブルーレイディスクを見た方がドラマ表現の核心に迫れるだろう。

映像モード シネマティック
明るさ -18
黒レベル -3
色の濃さ -5
色合い +1
シャープネス -6
色温度 低
ディテール 切
コントラスト リニア
黒補正 切
LTI 切
CTI 切
YNR 切
CNR 切
MPEGNR 弱
映像クリエーション なめらかシネマ
デジタルY/C 弱
色再現 リアル
DeepColor 切

※1『フレッド・ジンネマン自伝』北島明弘訳 キネマ旬報社刊
※2 ヴェリズモ(真実主義)オペラは、神話の中の人物や、歴史上の英雄、王侯貴族の物語でなく、現実社会の男女の情欲のもつれや愛憎に原因した事件を好んで題材にした。代表的な作品にピエトロ・マスカーニ作曲の『カヴァレリア・ルスティカーナ』、レオンカヴァレッロ作曲の『道化師』がある。後者はブライアン・デ・パーマの『アンタッチャブル』で、ロバート・デニーロ扮するアル・カポネがオペラを鑑賞して涙を流すシーンで使われた。プッチーニの『トスカ』やジョルダーノの『アンドレア・シェニエ』も音楽的にはヴェリズモ・オペラの強い影響下にある。


執筆者プロフィール
1956 年神奈川県鎌倉市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。フジサンケイグループにて、美術書、児童書を企画編集後、(株)音元出版に入社、1990年『AV REVIEW』編集長、1998年には日本初にして現在も唯一の定期刊行ホームシアター専門誌『ホームシアターファイル』を刊行した。ホームシアターのオーソリティとして講演多数2006年に評論家に転身。趣味はウィーン、ミラノなど海外都市訪問をふくむコンサート鑑賞、アスレチックジム、ボルドーワイン。

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