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なぜ映画ファンにかくも愛されるのか

話題のソフトを“Wooo”で観る − 第17回『ゴッドファーザー』シリーズ(BD-BOX)

2008/11/18 大橋伸太郎
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この連載「話題のソフトを“Wooo”で観る」では、AV評論家・大橋伸太郎氏が旬のソフトの見どころや内容をご紹介するとともに、“Wooo”薄型テレビで視聴した際の映像調整のコツなどについてもお伝えします。

■ゴッドファーザーシリーズはなぜ映画ファンに愛されるのか

世界最大の映画専門サイトIMDbの人気ランキングを覗くと、1位が『ショーシャンクの空に』、2位が『ゴッドファーザー』、3位が『ゴッドファーザーPARTU』である。参考までにベスト4から10までを紹介しておくと、『ダークナイト』(4位)、『続・夕陽のガンマン/地獄の決闘』(5位)、『パルプフィクション』(6位)、『シンドラーのリスト』(7位)、『カッコーの巣の上で』(8位)、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(9位)、『12人の怒れる男』(10位)となっている。ちなみに『七人の侍』が13位にランクイン。日本映画はこの一本だけ。残念だが『ゴジラ』は入っていない。

「ゴッドファーザー コッポラ・リストレーション ブルーレイBOX」PPWB-113778

IMDbランキングは、パッケージソフトの発売やCATVのオンエアのタイミングでしばしば順位が変わる。『ショーシャンク…』が現在1位なのは、ブルーレイソフト発売による宣伝効果と思われる。『ゴッドファーザー』は長く不動の1位だった。現在も2位と3位を占めているのだから、アメリカ人の圧倒的な支持がうかがえる(ただし、PARTIIIはベスト250内にランク入りしていない)。そういえば10年ほど前に、『バラエティ』誌がオールタイム・ベストムービーを選出した時も、『ゴッドファーザー』が第1位だった。

マフィアの世界に生きる男たちの哀歓を重苦しく描いた作品が『ゴッドファーザー』(以下G.F.と略記)である。粛清シーンを始めかなり血腥いシーンも多い。そのG.F.がなぜかくも愛されるのか。

以下は、アメリカの映画監督フレッド・ジンネマンの自叙伝(※1)からの抜粋で、代表作『地上より永遠に』のマジオ役の決定について彼はこう語っている。

『金にうるさいコーン(コロムビア映画社長)が、帰りの飛行機代を自分で払ってハリウッドへ来るならテストをすると電報を打った。即座にシナトラは戻り、テストはうまくいき、シナトラは軍服を着ることになった。コーンは彼にその役のギャラとして八千ドルを支払っただけだが、これはシナトラにとって人生の転機点となった。彼はオスカーを受賞し、その時点から彼のキャリアはロケットのように上昇した。キャスティングの決定に関して、馬の首はまるで関係していない。あれは『ゴッドファーザー』の原作者の効果を狙った創作だ』。

しかし、G.F.公開から36年が経ち、今では誰もがG.F.のジョニー・フォンテーンがフランク・シナトラそのものだと思い込んでいる。マフィアとの関係をずっと取り沙汰されていた大スターの黒い噂を映画のプロットに巧みに織り込んだのである。

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