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なぜ映画ファンにかくも愛されるのか

話題のソフトを“Wooo”で観る − 第17回『ゴッドファーザー』シリーズ(BD-BOX)

公開日 2008/11/18 18:57 大橋伸太郎
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■Blu-rayでようやく名作にふさわしい画質を手にした

筆者はビデオ化されたG.F.については、レーザーディスクもDVD(米国盤)も持っているが、映像効果は、劇場で観た時の鷲掴みにするような印象に遠く及ばなかった。DVDに関しては2004年のリバイバルプリントを使ったデジタルリマスター版が発売されているが、今回のブルーレイディスク版はそれとはまた別の、オリジナルプリントに遡ってレストア(修復)された新規バージョンである。プルーフ(サンプル盤)で見たその映像は、クリアさ、ディテールの豊かさ、色彩の濁りのなさ、重厚で絵画的なフィルムトーン、すべてが素晴らしいの一語に尽きる。ようやく、名作にふさわしいビデオ映像になってG.F.が私たちの元に姿を現したのである。

G.F.3部作(特にPART.1とPART.II)で最も印象的なのは、闇の中から人物の表情を浮かび上がらせる光と闇のコントラストである。これが、人間社会につきまとう善悪の二面性の象徴であることはいうまでもないが、G.F.では、映像表現が人物描写を超えて映画自体の形式にまで高められている。先に、G.F.は大河ドラマと表現したが、映画という形式のイタリアオペラといった方がいいかもしれない。PART.IIIの後半は、マイケルの長男が歌手として出演しシチリアのオペラ劇場で上演されるヴェリズモ(真実主義)オペラの代表作『カヴァレリア・ルスティカーナ』の舞台上の進行と映画がシンクロする。

19世紀末にイタリアで隆盛したヴェリズモ・オペラ(※2)の特徴は、神話や歴史的題材でなく、現代社会の出来事に取材した人間臭い題材を使うことと、強弱と緩急のアクセントを効かせた激情的な音楽にある。さよう、G.F.は、ヴェリズモ・オペラの音楽上の特徴を、光と影の強烈なコントラストという映像スタイルに移し変えたのである。

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