門外不出の専用器具で耳型採取、マイスターの手作業で製作

“テーラーメイドイヤホン” Just ear、先行受注開始 − ソニーの耳型職人・松尾氏に詳細を訊く

公開日 2015/04/29 15:25 編集部:小澤 麻実
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ソニーエンジニアリング(株)は、ソニーのヘッドホン設計を手掛ける“耳型職人”松尾伴大氏によるオーダーメイドヘッドホンブランド「Just ear」の第一弾製品「XJE-MH1」「XJE-MH2」を正式発表。4月29日から先行受注を開始する。

Just earブランドは、「テイラーメイドヘッドホン」という考えで製品開発を行う新ブランド。製品は完全受注生産で、耳型にあわせたカスタム仕様となる。ラインナップは、ユーザーに直接ヒアリングして音質もカスタムする「XJE-MH1」(実売30万円前後)と、音傾向の違う3つのラインを用意した「XJE-MH2」(実売20万円前後)。昨年10月の「秋のヘッドフォン祭」で登場し話題を集めた(関連ニュース)。

ユーザーに直接ヒアリングして音質もカスタムする「XJE-MH1」

「モニター」「リスニング」「クラブサウンド」の音質傾向から選べる「XJE-MH2」

当初は2014年度中の受注開始を目標としていたが、製品を試聴したユーザーのコメントなどをうけ、音質をブラッシュアップ。このたび満を持しての登場となった格好だ。


Just earとは?

「Just ear」はソニーエンジニアリングのエンジニアであり、5代目の“耳型職人”でもある松尾伴大氏によるプロジェクトで、ソニー公認。2年前にスタートした。ブランド名は「We think just for ears.」に由来する。

松尾伴大氏

「XJE-MH1」「XJE-MH2」ともに、BA型ドライバーと、13.5mmのダイナミック型ドライバーによるハイブリッド構成。「当初はダイナミックドライバーだけで構成しようと思っていたのですが、個人の耳型によってドライバーの位置が変わるカスタムイヤホンの場合、ドライバーをちょうどいい位置に配置できず、理想の音が実現できないことがありました。そのため、中高域はBAドライバー、低域はダイナミック型を使用するハイブリッド構成とすることで、様々な方に理想的な音を提供できるようにしました」(松尾氏)。

写真左側の銀色の塊がダイナミック型ドライバー。右側の銀色の四角がBA型ドライバー

「XJE-MH2」は「モニター」「リスニング」「クラブサウンド」という、音傾向の異なる3つから好みによって選択するかたちとなる。

ドライバーのハウジングにはアルミを使用。シェルは光硬化する樹脂製(詳細な素材は非公表)で、外耳道に収まる音導管部には体温で柔らかくなる樹脂材料を使用している。2つの素材を使用して外観的に違和感なく作ることや、制作の工程を確立することは大変だったという。なお、シェルのカラーカスタマイズなどは当初行わない。これは、色が変わると樹脂の硬化時間などが変わってしまうためだという。

ケーブルはMMCXコネクターを採用した着脱式で、導体はOFC。1.2mまたは1.6mのいずれかを選択できる。また、ケーブルのみの別売も行っている。

「XJE-MH1」の製作工程

「XJE-MH2」の製作工程


試聴・耳型採取・販売は東京ヒアリングケアセンター青山店が担当

販売およびインプレッション(耳型)の採取は、外苑前駅にほど近い「東京ヒアリングケアセンター青山店」にて行われる。店内には音質プリセットモデルの「XJE-MH2」の試聴機が用意されており、サウンドを確かめることができる。試聴機はカスタムで作った場合と音質が近くなるよう作られているとのこと。

東京ヒアリングケアセンター青山店

なお試聴には、電話もしくはメールでの事前予約が必要。試聴時間は1コマあたり15分程度となる。

店内には試聴機を用意。予約して音を確かめることができる

耳型の採取を行うのは、同センターの菅野 聡氏だ。元々補聴器専門店としてスタートした東京ヒアリングケアセンターは、カスタムIEMの試聴から完成後のフィッティング調整まで一貫したサービス提供を行っているのが特徴。カスタムIEM用耳型採取には既に5年ほどのノウハウを持っている。Just earの事業化を検討していた松尾氏がいくつかの場所で耳型採取を行った際、立地が良く、やりとりも心地よくサロンに来たような感覚で耳型採取を行える同センターに感銘を受け、今回の提携を持ちかけたのだという。

松尾伴大氏(右)と菅野 聡氏(左)

インプレッションの採取料金は、本体とは別に9,000円(税抜)となる。

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