オーディオテクニカ寄贈の蓄音機群を「福井県立こども歴史文化館」で体験

公開日 2015/03/03 14:55 Senka21編集部
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蓄音機コレクション寄贈で福井にさまざまなイベントが

オーディオテクニカの創業者である故・松下秀雄氏は、世界の名蓄音機のコレクターとしても知られる。収集された蓄音機は東京都町田市のテクニカギャラリーに展示されていたが、同ギャラリーの閉館後、現オーディオテクニカ代表取締役社長の松下和雄氏によって2014年3月に「福井県立こども歴史文化館」に寄贈された。

福井県立こども歴史文化館(福井市城東1丁目18-21)

その後、県立こども歴史文化館では「蓄音機コンサート」が定期的に開催されており、蓄音機の音を体験できる貴重なイベントとして好評を博している。そして2014年12月20日から2015年3月1日までは、特別展「文字と蓄音機の発明 〜おどろき!もじのき?ちくおんき!〜」が開催された。

「文字と蓄音機の発明〜おどろき!もじのき?ちくおんき!〜展」会場の入り口で目を引く圧巻の蓄音機群

録音・再生のしくみを知り、オーディオ原点の音に触れる

この特別展では、オーディオテクニカが寄贈した蓄音機およそ130台などの全容が初めて公開されることとなり、会場には蝋管蓄音機やレコード蓄音機、そして年代ものの蝋管やレコード、レコード針などが所狭しと並んだ。さまざまな展示に触れていくと、音を記録したり再生したりするオーディオの原点とも言えるしくみがわかってくる。

初期の蝋管式蓄音機。ラッパ状の集音機で集めた音を針から蝋管に記録し、またそれを再生する仕組みも紹介される

コロムビア社のディクタフォン タイプA(左)、タイプS(右)

エジソン社のアンペローラ1A。引き出しの中に収納された蝋管は実際に再生できる


レコード盤の溝を電子顕微鏡やマイクロスコープで拡大し、音の記録と再生のしくみを説明する貴重な展示は同文化館職員の手づくり

レコード盤を回しながら溝に薄いプラスチックの角をあてると音が鳴る。子どもたちにも大好評

振動板の大型模型も作られ、レコードから音が再生される様子をわかりやすく展示する
さらに蝋管やレコードが蓄音機で実際に再生され、そのあたたかい音色も直接体験することができた。銘機を懐かしむ大人たちから、アナログの音に初めて触れる子どもたちまで、来場者は老若男女を問わず、それぞれに音の楽しさを味わったという。

レコード再生用の蓄音機もおびただしい台数が展示。

銘機HMV159(写真手前)の姿も。



このような蓄音機のイベントには、オーディオテクニカフクイの社員である市橋政信氏も精力的に関わっている。蓄音機の寄贈の際の輸送や、機械の修復にも携わったという市橋氏は、特別展でも蓄音機再生のデモやしくみの解説を行うなど、ナビゲーターとして活躍した。

写真は左から、特別展の会場に訪れた福井県教育長 林雅則氏、(株)オーディオテクニカ 代表取締役社長 松下和雄氏。案内役の福井県立こども歴史文化館 学芸担当 田邉陽子氏、同館館長 笠松雅弘氏

イベント活動に携わった(株)オーディオテクニカフクイ 生産部 品質保証課 リーダー 市橋政信氏

こども歴史文化館では、これまでイベントごとに蓄音機群の一部を公開していたが、特別展をきっかけに今後も積極的にコレクションの全容を公開していくという。同文化館を訪れて、蓄音機の歴史的価値とすばらしい音の魅力に触れてみてはいかがだろうか。

地域のオーディオ愛好家が所蔵する針のコレクションも展示(右)。オーディオテクニカの懐かしいポスター(右)とともに


館内のさまざまなスペースにも蓄音機群が展開されている。



美しい絵が描かれたレコード盤は地域のオーディオ愛好家が所蔵するもの
なお本記事は、3月15日発売の「季刊・アナログ vol.47」にも掲載している。


福井県立こども歴史文化館
・所在地:福井市城東1丁目18−21
・TEL:0776-21-1500
・開館時間:午前9時〜午後5時(入館は午後4時半まで)
・休館日:毎週月曜日、祝日の翌日、年末年始
・入場料:無料
平成21年11月に創設された「福井県立こども歴史文化館」では、紙芝居やペーパークラフト、かるたやけん玉、手づくりおもちゃなどさまざまなイベントが常時開催されている。蓄音機のイベントも大好評で、今後もさらなる開催が予定されている。イベントスケジュールは同館のホームページ(http://info.pref.fukui.jp/koreki/)で確認を。

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