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他にはない、ユニークなオーディオアクセサリー

iFI-Audio・トルステン博士が語る「現代ならではの電源対策」、その背景に迫る

公開日 2016/03/15 19:19 季刊NetAudio編集部
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― 2012年の段階では、すでにUSB3.0の規格はスタートしていたと記憶するのですが、micro iUSB-PowerはUSB 2.0の規格を採用していました。このことに何か理由はあったのでしょうか?

USB3.0は出てきた段階でいろいろと問題があって、オーディオ的にはなかなか使いこなせないという状況だったんです。だから当時はUSB3.0規格で製品を開発せずに、とりあえずはUSB2.0規格で動くmicro iUSB-Powerとして発売して、USB3.0やその他の機能については、ゆっくりと時間をかけて開発していくことにしました。
なぜ時間をかけることにしたかというと、デジタルの分野は技術が追いつけ追い越せと次々と新しいものが登場する過程で、当然スペックとしても高くなっていきます。つまり、新しいものが出てきて私達の製品が陳腐化して、お客様にその度に買い換えていただくということなってしまいます。これを避けたかったんです。

― この「USB3.0の問題点」というのは何だったのでしょうか?

コンパーチブル性が低かった、ということですね。例えばDACを接続しても、起動すらしないということがざらにありました。自分たちの製品はもちろんのこと、例え他社の製品であってもiUSBに接続して動作しなかったら、結局はお客様にご迷惑をおかけすることになります。ですので、その技術のポイントをしっかりと見極めたうえで、確実に動作するUSB伝送のための電源を開発する必要があったんです。
その結果登場したのが、micro/nano iUSB3.0とiPurifier2となります。

USB3.0規格を徹底的に突き詰めたうえで登場した最新製品「micro iUSB3.0」(¥60,000/税抜)

USB端子に差し込むだけというシンプルなアクセサリー「iPurifier2」(¥21,000/税抜)もiUSBの考え方を踏襲したモデルだ

― micro iUSB 3.0にはIsoGroundという機能が実装されているのですが、こちらはどういったものなのでしょうか?

micro iUSB3.0には、IsoGroundのスイッチを装備。ここにもiFIらしいこだわりがあった

パソコンとDACを接続すると、アースループが入って信号にノイズが乗ります。IsoGroundはUSB信号と干渉しない形で、このスイッチによってノイズをカットできるというものです。
いまでは、他社でも同じようなモデルも登場していますが、それらの製品はグラウンドワイヤーをカットするだけの構造を採っていますので、実は私達とは異なる仕組みです。こうした私達のiUSB3.0ではない製品を使って「接続したDACが壊れてしまった」という話も聞きますが、iFI-Audioの製品ではそうしたトラブルは起きません。

― このIsoGroundの他に、micro iUSB3.0の背面端子には「ON」と「AUTO」と記載されたスイッチがありますが、これはどういうものなのでしょうか。nano iUSBにも同様のスイッチがありますね。

電源モードを切り換えるON/AUTOスイッチはnano iUSB3.0にも搭載される

電源のモードとなります。DACによってはUSBの規格に則っていないものもあるので、例えばDACが繋がっている時にPCをオンにしても認識しないモデルがあるんです。そういう場合は、PCを立ち上げたあとに接続する機器の電源をオンにする必要があるのですが、そうした機器でもすぐに認識できるよう「AUTO」というモードを用意しています。これはPCがオンになったらiUSB3.0もそれに追随してオンになるいわば電源連動のモードとなります。
私の個人的なお薦めは、常にオンにしておくことです。DACは常にONになっているのでサウンド的にもメリットが期待できます。もちろん、この選択肢は組み合わせるDACやお客様の使い方次第ですけどね。

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