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公開日 2023/09/12 06:30

“デザインと音”の高次なる融合。約100年間変わらない「FBD」スピーカーの魅力に迫る

【特別企画】"フルサイズ"ブックシェルフスピーカー徹底試聴
炭山アキラ
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視覚と聴覚の高次元な融合を掲げた新たなるスピーカーが誕生した。ブランド名はFBD(Francis Bacon’s Dream)。かの20世紀を代表する画家の頭文字からとったもので、インテリアと音響特性の高次なる融合を設計理念としている。この2つの要素を具現化したのがここに紹介する2つのスピーカーである。その最大の魅力は高域にコンプレッションドライバーを、低域にペーパーコーンを採用している点。映画館の再生装置として使用されてから約100年間変わらぬ典型的な同軸の2ウェイシステム、その魅力を炭山アキラ氏がたっぷりと味わった。

写真左から「W-01スピーカーシステム」330,000円、「W-02スピーカーシステム」440,000円(どちらもペア/税込)

ホーン+軽量ウーファーで生の音楽が持つ勢いを再現


20世紀の大英帝国を代表する画家の1人、フランシス・ベーコンは、「曖昧さを併せ持つ正確さで絵画を描きたい」と語ったそうだ。FBDとはフランシス・ベーコンズ・ドリームの頭文字で、生活空間を豊かにするため良質なオーディオ装置を提供する日本のブランドである。

同社のモットーは「音色が正確に再現できること」「デザインが生活空間に調和すること」「パーツ供給が持続できること」の3つで、音決めに対しては「立ち上がりが速いこと」「減衰音が美しいこと」「きめが細かいこと」を三原則としている。個人的にも大いに共鳴するポイントである

そんな同ブランドの初作品は、2機種のスピーカーとなった。どちらもシングルコーン・フルレンジに見えるが、中心にトゥイーターを内蔵した同軸2ウェイ型である。しかもそのトゥイーターは昨今主流のドーム型ではなく、本格的なコンプレッションドライバー+ホーン構成とされているのが凄い。コストがかかり設計の難しいユニットである。

一方ウーファーは軽量のペーパーコーンで、能率は5インチ・ウーファーの「W-01」でも92.5dB/W/m、8インチの「W-02」では96dBもあるのが素晴らしい。同じ大きさの信号を入れても96dBなら87dBの8倍も大きな音が出るということだ。また軽量ウーファー+ホーン・トゥイーターは音の立ち上がりにも優れ、生の音楽が持つ勢いを再現することを得意とする。

どちらもキャビネットはMDF材にタモ突き板仕上げで、側板などは若干鳴くがバッフルはほとんど鳴かず、裏板も上下に面取りがされているせいで強度は高く、また内部の定在波も少ないことであろう。リアダクトのバスレフで、ダクトの口径は両者とも同じ。「W-01」にはかなり大きく、「W-02」には標準的だが奥行きが短い。クロスオーバー周波数は両者とも2.6kHzで、最も耳の敏感な帯域からクロスを避けていることは大いに評価できる。入力端子はシングルで太い裸線とバナナ/Yに対応する高級品だ。脚は3点支持のスパイクで、かなり急斜面かつ鋭利な先端を持つ。

「W-01」「W-02」はともにリアダクトのバスレフ式を採用

何物にも代え難いほどのアタックとスピード感


「W-01」から聴いた。オーケストラは一聴して音離れが良く俊敏、低域は68Hzまでとされているが、聴いていてほとんど不足は感じさせない。音楽が生き生きと弾けるように耳へ飛び込んでくるのは高能率スピーカーならではである。リートは声が伸びやかで、歌手が全身を使って朗々と歌っている感じだ。

ジャズはさすがにバスドラムが軽めだが、何と小気味の良い音であることか。このアタックとスピード感は現代オーディオが忘れ去ったものだ。ローエンドが足りないと感じたらサブウーファーをプラスしたくなるが、このスピード感に合わせられる個体を選ぶのが大変だろうと思う。

フュージョンはまさにこのソフトをかけるにはこれが必要なんだよ!と力説したくなるパワー&スピードが横溢、ローエンドこそいささか軽いが、この抜く手を見せぬスピード感は何物にも代え難い。ポップスは幾層にも重なった音像をいとも軽やかに解きほぐし、空間へ漂う音場成分と眼前でバシッと決まるドラムスのアタックがともに快い。声の質感も少し音が汚れたら耳障りになる類のハスキーボイスを、本機は何事もなく聴かせてみせる。

普通のスピーカーにない俊敏さが聴く者の心をつかむ


続いて「W-02」を聴こう。オーケストラはこちらの方が面で押してくるような迫力があり、一方の「01」はキビキビと弾け飛ぶような表現が好ましい。兄弟機だが表現の方向は少し違う。リートはややゆったりとした鳴り方だが、それでも普通のスピーカーにない俊敏さが聴く者の心をつかむ。

ジャズはローエンドがグッと伸び、しかし重苦しくならないのが素晴らしい。ウッドベースも軽やかに弾む。フュージョンは僅かに低域の量感が軽めに聴こえるが、これはエージングでもう少し出るようになりそうな気配もある。アタックの速さと軽やかさはやはり凡百の追随を許さない。ポップスの重層的な音楽成分を分解する能力は01の方が上手だが、そういう項目で小口径ユニットが勝るのは致し方ない。声のコクや質感の確かさ、歪感の少なさはこちらも特筆してよい。

総じていうとこの両モデル、反応の速さと能率の高さを生かして真空管アンプに組み合わせるのも面白いのではないかと推測する。そうだな、私なら直熱3極管シングルでNFBの軽い個体を組み合わせたい。かくのごとし、あれこれと想像が膨らむだけの音質と内実を持つ、好ましい製品群である。

(提供:合同会社ヴィアトロニクス)

本記事は『季刊・Audio Accessory vol.190』からの転載です

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