優秀録音ハイレゾ音源レビュー

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東京事変 ロック FLAC
96kHz/24bit
レーベル:Universal Music LLC 配信サイト:e-onkyo music

■高橋 敦レビュー
東京事変、8年ぶりの再始動アルバム。その8年の間には「高校の学園祭で東京事変のコピバンをやりました!」というミュージシャンも多くデビューしており、そのファンの方にもこの機会に改めて触れてみてほしい作品だったりする。
曲としても歌詞としても特に印象的なのは、猫との対比で人間の在り方を傍観するような「猫の手を借りて」。表層的には比較的にシンプルな曲で、例えばベースはルートを刻む場面も多い。しかし細部には様々な手法による表現が仕込まれている。中盤のベースソロも終盤のギターソロも、両プレイヤーが他の場所ではあまり見せないタイプの、東京事変というバンドだからこそ引き出される側面として面白い。
サウンド面も東京事変らしいタイトさ。部屋の響きをあまり入れないでデッドな仕上げで近めの距離感。加えて帯域的なレンジも広げずにディープなローエンドや繊細なハイエンドはスッと省かれており、実に潔く整理されたサウンドデザインだ。なので再生システムにも過剰なクオリティは要求しない。が、その整理された枠の中での情報量、演奏のニュアンスなどまで聴き込みたいのであれば、少し古めのモニター系オーディオ、ヘッドホンで言えばソニー「MDR-CD900ST」やAKG「K240」などがフィットするかも。
なお「猫の手は借りて」の英題は「The Cat From Outer Space」とのこと。これをクトゥルフ的に日本語訳すると「宇宙からの猫」となる。なるほど、人知及ばぬ宇宙的な存在という意味においては、猫はクトゥルー的存在かもしれない。
(FLAC 96/24にて試聴)

総合点 9.1
低域の伸び9.1点 高域の伸び9.1点 セパレーション9.2点 ディテール9.1点 透明感9.0点 空気感9.0点 質感9.2点 静寂感9.1点 残響 奥行き 音像 アタック