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レビュー
優秀録音ハイレゾ音源レビュー
第七作品集『無題』
downy ロック 無 FLAC WAV48kHz/24bit
レーベル：FRIENDSHIP. 配信サイト：e-onkyo music
■高橋 敦レビュー
複雑で強烈な人力ビートに緻密なエレクトロニックサウンド、空間表現といった要素は、ジャズの世界にロバート・グラスパー氏が持ち込んだものにも少し似ていたりするかもしれない。それは見当違いだったとしても、ポストロックの一言で想像される範疇には収まらない独自性を放っているサウンドだ。また本作およびその先行シングルから、サンプラーとシンセサイザーを担当するSUNNOVA氏が正式メンバーに。これまでは青木裕氏が遺したギターのサンプルをライブでリアルタイムに鳴らす役割でのサポートメンバーだったが、本作ではそれを超えた貢献を果たしているものと思われる。
さて驚異的なほど複雑緻密に構築されたアレンジというか音響であるからその伝達に要するレコーディングやミックスのクオリティも極めて高いものとなるが、本作はそこも「これ常に素晴らしかった過去作をさらに上回るのでは？」というレベル。ノイズギターが渦巻くような場面でもそのノイズにまで不思議な心地よさがあり、それが全体の視界を遮るようなこともなく、塗り潰すかのように高密度に音が詰め込まれているのに、それらの音がむしろ空間の広がりをより強く感じさせてくる。フラットバランスで解像感も確保されていて、全体の俯瞰性に優れた再生システムで聴いてみてほしい。何をどうしたらこのようなものを作り上げられるのかは想像し難いが、とにかく素晴らしい音響作品だ。
（FLAC 48/24にて試聴）
総合点
9.3点
低域の伸び9.3点
高域の伸び9.3点
セパレーション9.2点
ディテール9.3点
透明感9.1点
空気感9.1点
質感9.3点
静寂感9.3点
残響
奥行き
音像
アタック
