優秀録音ハイレゾ音源レビュー

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僕を見つけて【アーティスト盤】

fhana ポップス FLAC WAV
96kHz/32bit 96kHz/24bit
レーベル:Lantis 配信サイト:e-onkyo music

■高橋 敦レビュー
表題曲は演奏時間7分弱。アップテンポで目まぐるしく展開するタイプではなく、ドラマチックな展開も備えつつゆったりとしたテンポで歌の世界に引き込むタイプの大曲だ。その曲調、そしてこの曲は作曲者の佐藤純一氏にとって親しき存在へのレクイエムでもあるとのことだが、その意味合いも含めて、氏がアニサマ2016にて高垣彩陽さん早見沙織さんと共演で披露した「Komm, süsser Tod〜甘き死よ、来たれ」の残響も、この曲の雰囲気に影響を与えたのではないかとも想像させられた。特に序盤はピアノとストリングスを中心としたシンプルなバラードアレンジとなっており、fhánaらしい透明感のある広がりが際立つ。それでありつつ、「青空」のように昼の眩い空ではなく、まだ仄暗い夜明けの空を想起させるような曲調、演奏、音作り。中盤は、マイナーな響きのサビメロから明るさを含むギターソロ、そして陽の光が静かに現れてくるかのようなピアノという流れが美しい。そして終盤は、それこそ鷺巣詩郎氏のそれのような緊迫感と美しさを感じさせる、鬼気迫るストリングスアレンジで、Guns N' Roses「November Rain」のエンディングのごとく駆け上がる。というように様々な展開がありつつ曲を通して音作りに一貫性があり、それでいてどの場面にもぴったりと合っているのもレコーディングワークとして見事。彼ららしくもありつつ挑戦的なサウンドとして完成されている。そして、この世界のすべての猫に素晴らしい日々と安らかな眠りがありますように。
(FLAC 96/24にて試聴)

総合点 9.2
低域の伸び9.1点 高域の伸び9.2点 セパレーション9.2点 ディテール9.1点 透明感9.3点 空気感9.1点 質感9.1点 静寂感9.3点 残響 奥行き 音像 アタック