優秀録音ハイレゾ音源レビュー

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ログライン

夏川椎菜 ポップス FLAC
96kHz/24bit
レーベル:Music Ray'n Inc. 配信サイト:e-onkyo music

■高橋敦レビュー
夏川椎菜さんは声もルックスも、ユニットを組んでいる他のお二人と並ぶと、雨宮天さんほど強くはなく麻倉ももさんほど柔らかくもなく、より普通な魅力を備えていると思う。しかしそのように外面は大人しい夏川さんが内面的にはいちばんこじらせていることはファンには周知の事実。そしてソロデビューからの活動を経て音楽的な自我を得た現在、自身での作詞曲にとどまらずサウンド全般にも彼女のそのこじらせた意思や意図が反映されるようになっており、その現時点での集合体がこの1stアルバムだ。あちらこちらがひねくれたりささくれたりしている。しかしだからこそ多くの、そして様々なリスナーのそれぞれに、そのひねくれやささくれのどこかしらは刺さるのではないだろうか。特にその自我の覚醒を感じさせた3rdシングル「パレイド」から自身の作詞曲「ステテクレバー」というアルバム冒頭の流れは、このアルバム、今の夏川椎菜さんの魅力を最短最速で伝えるものとなっており、まずはそこを聴いてもらえればと思う。
音源としての音作りでも「パレイド」は特に印象的だ。アルバムの最初の音となればその意味もさらに強まる冒頭のブレスからは、自身を歌うにあたっての穏やかな決意のようなものが気配として届いてくる。パレイドらしい賑やかな音数の後ろの要所要所で切ないカウンターメロディを奏でているのはメロトロンの音色だろうか。その音色やメロディが、前には出ずに後ろの方で、だけれどはっきりと鳴り続けている。“ぐるぐる響くハウリング 歌声上げても消せない”という歌詞ともリンクするその在り方そのミックス。それが曲の意味を補強してくれていると感じられたりもする。というように意味を感じさせてくれるサウンドだ。
(FLAC 96kHz/24bitにて試聴)

総合点 9.1
低域の伸び9.1点 高域の伸び9.0点 セパレーション9.1点 ディテール9.1点 透明感9.1点 空気感9.2点 質感9.1点 静寂感9.1点 残響 奥行き 音像 アタック