タイムドメイン理論とは
従来のスピーカー開発では周波数領域に対する着目が主であったのだが、タイムドメイン理論は読んで字のごとく「時間領域」に焦点を当てて、振動が発生する瞬間のアタック成分などの精確な再現を目指して編み出された理論である。従来の理論では、仮に周波数特性が完全にフラットであったとしても、時間的なズレが生じる可能性は否めない。つまり、瞬間的なアタック成分が入力された時に、高域側の反応と低域側の反応に時間的な差があったら、原音とは違う音に変わってしまう。この問題に対しての取り組みを根本的に解決しようとするのがタイムドメイン理論である。


 

ECLIPSE TDに使われている技術(508PAは若干仕様が異なります)
タイムドメイン理論を実現するために、ECLIPSE TDにはいくつもの斬新な工夫が凝らされている。

1.ディフュージョン・ステー
ふつうのスピーカーではユニットがエンクロージャーに直付けされているのが当たり前だが、ECLIPSE TDはそこに疑問を投げかける。なぜなら直付けだと、エンクロージャーに伝わった振動が波形に影響を及ぼすからだ。ECLIPSE TDでは5本の支柱を持った「ディフュージョン・ステー」にユニットが取り付けられていて、エンクロージャーに直接触れない設計になっている。
2.グランド・アンカー
スピーカーユニットをエンクロージャーから浮かせると、不要振動の伝達は避けられてもピストン運動のための足場がなくなる。そこで、重い「グランド・アンカー」をユニット後部に接続することにより、ピストン運動を安定させている。

3.エッグシェル・コンストラクション
通常のスピーカーのようなフラットで平行面を持つエンクロージャーの場合、音圧によって壁面が振動し、内部定在波も生じる。ラウンドバッフルもその解決策であるが、ECLIPSE TDでは根本的にこの問題を解決するべく、平面や平行面を内部においても外面においても持たない、卵型フォルムを採用。不要な振動や共鳴が極力排除されている。

 

音の傾向は?
歪みが少なく高域の伸びが心地よい。音の減衰が自然で空間の奥行きを感じる。アタックの立ち上がりが非常に速い。エネルギーの移動がスムーズで音楽の流れが自然。サイズのわりに低域に密度があり、部屋の空気全体が瞬時に動いているのが分かる。