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VGP2012 金賞受賞メーカー特別インタビュー

試される真の企画力と開発力
“お客様が選ぶ時代”を勝ち抜く
日立コンシューマエレクトロニクス(株)
映像ソリューション事業部
映像本部
担当本部長
須藤利昭
ビジュアルグランプリ2012 特別技術大賞
液晶テレビ L46-S08
(写真)
ビジュアルグランプリ2012 金賞受賞モデル
P50-GP08/L46-S08/P46-GP08/L37-XP08
(VGP各部門の詳細はこちらをクリック)
テレビとそのビジネスの変革期到来を強く感じ取る日立。次代を見据えた日立の顔“S-LED”も、「L46-S08」として第2世代へ進化を遂げた。お客様にとってのメリットを明確に訴えられる商品で丁寧な説明を徹底し、新しい時代に存在感をアピールしていく。

高画質と省エネ性能を両立する日立の「S-LED」

−− S-LEDが第2世代へ進化しました。液晶テレビがここまでコントラストが上げられることを示すと同時に、テレビのアッセンブリ化が進む中、日立のテレビのバックグラウンドとして、大変意義あるものと感じます。

須藤 L46-S08ではS-LEDのバックライトコントロールのアルゴリズムを進化させて、さらに高いコントラストと階調表現力による高画質を実現しました。しかも、高い省エネ性能も併せ持つという商品に仕上げることができました。大切なことは技術をお客様のメリットとしてどう活かすことができるかです。S-LEDは、高画質化とトレンドでもある省エネ性能を両立して実現できる。まさに、今の時代にあった技術として、お客様にきちんとその価値を伝えていきたいと思います


「L46-S08」は、ビジュアルグランプリ2012金賞と特別技術大賞を受賞。

ただ、画質については、違いを伝えていくことが大変むずかしい。それぞれにお好みもありますし、客観的な評価を見い出しにくいですね。今回、画質のプロである先生方からのお墨付きをいただけたことは、お客様にとっても大きな指針となると思います。

現在はプラズマや通常の液晶テレビを、それぞれのデバイスの特長を活かして商品ラインアップを構成しています。その中でS-LEDはフラグシップモデルの位置付けですが、将来的にはラインナップを拡大し、お客様の用途やニーズに合わせた工夫をして、“これが日立のテレビです”という顔として、価値を提供していきたいと思います。

−− 地デジ化後のテレビ販売についてはどのようにご覧になられていますか。

須藤 ここ2年ほどはバブル状態で、量的拡大へと走った時期でしたが、これからはいよいよ“質の時代”へ変革していかなければなりません。そうしないと事業としても成り立たなくなります。もちろん、テレビの価格がそう簡単に上がるとは考えていませんが、画質や省エネ機能、使い勝手など、お客様の「こうであったらいいな」というニーズにきちんと応えられるよう、商品も売り方も、質の改善を行っていかなくてはなりません。

改善の一番手は大型化の提案です。「今お持ちのテレビより大きなサイズをいかがですか」。これは、バブル前にはきちんとできていた提案なのですが、いつしかその大切さが忘れられてしまっています。次に、使い勝手の提案。ここではお客様のメリットとしていかにうまく伝えていけるかが大切なポイントとなってきます。

白物家電は、商品の付加価値の違いが理解しやすく、例えば「この電子ジャーでお米を炊くとご飯がおいしい」など、価格差に納得しやすい。ところが、テレビはそうはいきません。だからこそ、丁寧な説明が必要になる。しかもそれがお客様のメリットとして伝わらなければ、提案にはならないのです。

−− テレビ周りでは「ネットワーク」というテーマも大変注目されています。

須藤 家庭内のネットワークについては、DLNAに早くから力を入れてきましたし、この秋の新商品からはスマートフォンやタブレット端末との連携をスタートさせました。連携する端末は自社ですべて品揃えするのではなく、汎用的なものに順次対応していく。その方がユーザーメリットも高いと考えています。今は、番組の予約や検索の利便性を実現している段階ですが、この先は、映像の持ち出しなども検討していきたいと思います。


iPhone/iPadをWoooのコントローラーとして利用できる専用アプリケーションを提供開始。

Woooに録画した番組名をスマートフォンやタブレット端末のディスプレイに表示して、手元で確認することもできる。早送り/早戻し操作のほか、「30秒スキップ」や「10秒バック」といった操作にも対応。

iPadの画面から「番組表」を手軽に見ることも可能。豊富なデータ情報から番組内容の詳細を確認したり、気になる番組を検索して録画予約することができる(Wooo Remote for iPadのみ)。
※Wooo Remote for iPad(有料)は12月1日よりサービス開始

さらに、家電メーカーとして、今後力を入れるべきものに白物家電との連携があります。「スマートハウス」の実現にも技術的に手が届くところへ来ましたが、システムの中でテレビの位置付けをどうするのか。ここが、新しいビジネスモデルとしてとても重要になってきます。海外メーカーと競争する上での優位点にもなりますし、テレビビジネスが分岐点を迎えたことを強く感じています。

−− 来年のテレビ市場はどのように見ておられますか。

須藤 台数ベースでは元に戻り、報道されているほどひどくはないと思っています。課題は小型モデルの需要が増えて単価が落ちていること。大型化や高付加価値化を必死になってやらないと不毛のマーケットになってしまいますが、まだまだやりようのある市場だと言えます。

今はまだ、バブル期の商品が店頭にありますが、それが一掃された後は、いよいよお客様に選ばれる時代が来ます。強い技術がお客様の利便性として活かされ、お客様の支持を獲得できた商品が売れていく。そうしたストーリーになっていく、また、していかなければと思います。販売店においても、どんなに安い商品であれ人手がかかるわけですから、お客様が納得していただける高付加価値の商品があれば力を入れて取り組んでいきたいと強くお考えになられ、すでに取り組みを強化されています。

S-LEDのような技術を大事に育て、付加価値を創出し、お客様のメリットを伝えながら販売していくことが重要になります。開発コストをかけたものを適正な価格で買っていただくことは、メーカーの次の商品の開発のためにも大切なこと。価値を崩すことなく、本当の意味での商品競争をしたいと思います。

日立のテレビには先行して手掛けてきた録画に関するものをはじめとして、すでに「これは使いやすい!」というものがたくさん入っています。それらもしっかりとご理解いただけるような環境づくりに改めて力を入れていきたいと思います。

これからは、お客様の支持を得られる商品の開発力、企画力が評価されるようになってきます。日立はお客様が「ほしい!」と思い、選んでくださる商品をどんどん提供していきたいと思います。

須藤利昭氏 プロフィール

1956年4月13日生まれ。1980年日立家電入社。営業、商品企画等を経て、2007年より現職。テレビをはじめ、ビデオ、DVD、ビデオカメラまで、AV・デジタル機器すべてにかかわってきた。モットーは、仕事も遊びもやるからには「楽しく」。趣味はゴルフ。ホームセンターやゴルフショップ、カーショップ、ディスカウンター等の店巡り。