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オーディオ銘機賞2023 受賞インタビュー

アキュフェーズ 鈴木雅臣氏:50年間の音と品質へのこだわりを、次の時代へつないでゆく

2022/12/14 PHILEWEBビジネス 徳田ゆかり
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オーディオ銘機賞2023
受賞インタビュー:アキュフェーズ


国内オーディオマーケットに展開される数々の製品の中で、卓越した性能、革新的な内容を持ち、かつオーディオマインドに溢れる“真の銘機”を選定する一大アワード「オーディオ銘機賞」において、同社の創業50周年を迎えての記念モデル群の最後を飾る、モノラルパワーアンプが金賞を受賞したアキュフェーズ。さまざまな困難も乗り越えて節目の年を迎えた同社、鈴木社長が受賞に際しての思いを語る。


アキュフェーズ株式会社 代表取締役社長 鈴木雅臣氏

インタビュアー 徳田ゆかり(ファイルウェブビジネス担当)

■創立50周年記念モデル群の最後を飾る、最高峰のモノラルパワーアンプ「A-300」


 ーー 御社の50周年に際して、記念モデルのモノラルパワーアンプ「A-300」が、オーディオ銘機賞2023で金賞を受賞されました。金賞の受賞は17回連続を数えます。誠におめでとうございます。

鈴木 このたびは誠にありがとうございました。社員一同大変喜んでおります。17回にも至る受賞の栄誉を糧に、これからもオーディオ文化の向上とマーケットの活性化に尽くし、お客様のオーディオライフを豊かにする製品を提供して参ります。

 ーー 受賞モデルについて、ポイントをお聞かせくださいますか。

鈴木 A-300は、2017年に発売したA級パワーアンプの最高峰A-250の後継機として、3年ほど前に製品企画がスタートしました。開発にあたっての課題は2つ。まず究極の低雑音特性の実現です。前段アンプの回路を刷新し、トランスから発生する電磁的ノイズを避けるためにトランスの設置位置までも変更した結果、A-250より30%も低い雑音特性を実現しました。

もうひとつの課題は、パワーアンプ終段素子のMOS-FETの品種変更でした。A-250で大量にストックしていた素子が底を尽き、しかも製造中止になったためです。回路の動作安定度や温度安定度、音質などすべての面に影響を及ぼす重大な素子ですから、これを変更するのは大変な困難でした。

他機種で使用した実績のあるMOS-FETを採用したのですが、高温で動作する大出力A級アンプで、多数のMOS-FETを安定に並列動作させることに多くの時間を費やしました。努力の甲斐あって、A級動作領域をA-250の100W/8Ωから125W/8Ωへ拡大することができ、スピーカー駆動能力の指針であるダンピングファクターの実力値を2000以上にまで高めました。保護回路も万全で、動作温度異常による保護などに加えてスピーカー出力端子のショート検出回路まで備えていますので、安心して音楽に没頭していただけます。

 ーー 昨今はイベントなども復活し、お客様に体感していただく機会も増えました。受賞モデルをはじめ今年投入されたたくさんの製品もお目見えしていますが、手応えはいかがですか。

鈴木 今年も先日、東京インターナショナルオーディオショウが開催できました。たくさんの皆様に集まっていただき、大変熱心に試聴いただきました。また各地の販売店様での試聴会も続々と開催されているところです。

東京インターナショナルオーディオショウは昨年同様に事前登録制としまして、会場の人数制限を超えない範囲で対応させていただきましたが、各社の部屋では比較的ゆっくりとご試聴いただくことができたかと思います。海外のお客様にもようやく来ていただくことができましたし、弊社の代理店が4社来日してくれて、海外からの期待の高さも実感致しました。

今年の注力製品としては、3月にAB級ステレオパワーアンプ「P-7500」を発売しました。2015年発売のフラグシップモデルP-7300を6年ぶりにフルモデルチェンジして、雑音特性を向上させ、スピーカー駆動能力を高めるとともに、出力もチャンネル当たり300W/8Ω、600W/4Ω、900W/2Ωと拡大しました。大型、低能率スピーカーも軽々と駆動します。

AB級ステレオパワーアンプ「P-7500」

11月には、AB級ステレオプリメインアンプ「E-4000」を発売しました。E-480の後継機で、デザインやプリアンプ部の回路・配置、パワーアンプの終段素子とその構成などを大きく変えてフルモデルチェンジしました。

AB級ステレオプリメインアンプ「E-4000」

また11月にクリーンパワーサプライ「PS-1250」を発売しました。この製品は「PS-1230」の後継機で、電気的性能や安全性、信頼性を進化させるとともに、液晶表示パネルを搭載したことが大きな特徴です。

クリーンパワーサプライ「PS-1250」

受賞させていただきました「A-300」を含めてお客様にご体感いただき、おかげさまで大変ご好評をいただいております。

■困難を超え次の時代へ向け、変わらぬポリシーで製品のクオリティを確保していく

 ーー コロナ禍の中で困難をともなっていますが、昨今の部品の供給状況などはいかがでしょうか。

鈴木 コネクターやコンデンサーや抵抗、何から何まで手に入らなかった一時期よりはましですね。それでも品種によってはまだ手に入らないものもあります。半導体の場合は2年先を見据えて製造計画を立てて発注しなければなりませんし、どうしても入らないパーツは世界中を探して、高い値段であってもなんとか手に入れています。

部品のクオリティは音にも影響しますから、一定の水準で揃えていく必要があるのです。弊社では製品の音を一度決めたら貫くのがポリシーです。新製品を作る際には音質原器を定めますが、設計を完了して生産ラインでの1号機を音質原器の音と比べて、許容範囲にある状況となって初めて出荷できるのです。生産終了後も音質原器を維持して、お客様から修理を依頼された際に音を比べる場合もあり、こうして貫いていくのです。

 ーー 御社の音に対する絶対の姿勢が伺われますね。

鈴木 社内でコスト削減に努めてまいりましたが、この秋は一部製品の価格を改定せざるをえなくなりました。弊社では50年前に1度だけ価格改定をさせていただいて以来のこととなります。大変ありがたかったのは販売店様が好意的にお客様へ情報提供をしていただいたことです。値上げ前に多くのご注文をいただき、電子部品の供給不足でお客様のご要望に即応することができずに時間を要していますが、生産計画を遅らせることなく予定通り出荷するべく頑張っているところです。

 ーー 御社は創業50周年を迎えられましたが、今後に向けた思いをお聞かせください。

鈴木 弊社は、1972年に春日仲一、二郎の兄弟が自分たちの理想とするオーディオ機器を創りたいという思いのもと、その設計・生産・販売・サービスを可能とするオーディオ専業メーカーを目指して創業しました。それから50年、お客様、販売店の皆様に支えられてここまで事業を続けることができました。

アキュフェーズの使命は、いつまでも安心して使える付加価値の高いオーディオ機器を提供することです。音楽再生になくてはならないオーディオは、私たちの心と感性を豊かにしてくれる素晴らしい趣味です。これからも製品を通じてオーディオファン、音楽ファンのお手伝いをさせていただきます。ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

 ーー 変わらぬポリシーを貫く、御社のこれからのあゆみもますます楽しみですね。有難うございました。

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