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NHKの新ネットサービス「NHK ONE」、加入362万件突破。2026年は「接点拡大のフェーズ」に
編集部:小野佳希NHKは、番組の同時・見逃し配信を始めとするインターネットサービス「NHK ONE」のアカウント数が、開始から半年が経過した2026年3月末時点で362万件となったことを公表。
これにともない、過去作品の配信サービス「NHKオンデマンド」との連携拡大など、現状や今後の取り組みについての説明会を開催した。
NHK ONEの加入件数は「堅調に推移」
NHK ONEは、テレビ/ラジオ番組の同時配信や見逃し(聴き逃し)配信、ニュース記事や動画のウェブ配信など、NHKの番組や情報をひとつにまとめたインターネットサービス。放送法改正でNHKのインターネット活用業務が “必須業務” となったことを受けて、2025年10月から正式にスタートした。
利用にはNHKの受信契約が必要で、テレビで受信契約をしている場合は追加費用なしでネットサービスも利用可能。また、テレビを持っておらずスマートフォンやパソコンのみの場合でも受信契約を結び、ネット配信でNHKの番組を視聴できるようになった。
そして上記のとおり、そのアカウント数が2026年3月末時点で362万件を達成。「(NHK ONEスタート以前の)旧NHKプラスのID登録数である668万の半数を超えるアカウントが新たなNHK ONEに移行している。旧NHKプラスが5年半で集めた数を半年で超えたということで、堅調に推移していると受け止めている」(NHK インターネット必須業務化事務局 西村規子専任部長)という。
なお、旧NHKプラスからの移行ではない新規登録件数は12万8000件とのこと。ただし、それがそのままインターネットのみでの受信契約かどうかは不明だとしている。
NHKでは、NHK ONEの周知および認知拡大がこの半年である程度進んだことから、2026年を「接点拡大のフェーズに入ったと見ている」と説明。特に「登録導線 UI/UX改善」「NHKオンデマンドとの連携」という2点を重視して、サービスの使いやすさ改善に取り組んでいくとした。
NHKオンデマンドとの連携においては、NHK ONEとNHKオンデマンドとの間を視聴者が意識せずに行き来できるよう導線を設計すると説明。NHK ONEのウェブサイト上で展開している番組公式ページの過去回一覧から好みの回を選ぶと、NHKオンデマンドでの配信ページへシームレスに遷移して該当回を視聴できるようにするなどといった取り組みを行っている。
また、例えば大河ドラマ『豊臣兄弟!』の番組情報ページには、過去の大河ドラマ作品情報へのバナーも設置。豊臣兄弟!で戦国時代に興味を持った人が、同じ時代の他作品をNHKオンデマンドで視聴しやすいようにしている。
こうした取り組みを進めることで「ネット空間には短尺でコンパクトな情報が氾濫しているが、目先の短尺情報にとどまらない『理解を深める』視聴体験を提供していく」とした。
一方で、NHK ONEは世帯ごとのアカウントであるのに対し、NHKオンデマンドは個人での契約であり、それぞれが持つ番組のメタ情報も異なっている。こうした部分を統一しないとシームレスな連携は難しいとも説明し、「具体的なところはまさに今着手中。デバイスごとにスムーズな導線を設計していく」とした。
NHKオンデマンドはサービス拡充に取り組む
一方のNHKオンデマンドは、NHK ONEでの見逃し配信期間が終了した作品や、放送終了済みの過去作品を視聴できるサービス。月額990円(税込)での見放題サービスのほか、無料会員登録をした上での1話単位での都度課金視聴が行える。また、Amazon Prime VideoやU-NEXTなど一部のネット配信サービスでも利用できる。
2025年度は22,000本のコンテンツを配信しており、これは1年間で4,000本増加した数値だとのこと。会員登録者数(※上記Prime Videoなどの外部サービス経由を除く)は379万人で、営業収支としては2024年度は9億円の黒字を計上している。
経営状況としては、2008年からのサービス開始以来、2023年度末に累積家損金を解消して黒字化を達成。「制度上、NHKオンデマンドは受信料とは別の財源になっている。そのため、こうした利益はNHKオンデマンドのUI改善やコンテンツ拡充など、NHKオンデマンドユーザーのための利便性向上に使うことができる」(NHK オンデマンド業務室 村松佐和子室長)という。
NHKオンデマンドとしては、ドラマやドキュメンタリーだけでなく、アニメ、音楽、スポーツ、ラジオ、4K番組など幅広いジャンルの番組に配信対象を拡大中だと説明。「引き続きこのペースでの番組数拡大を目指していく」(村松氏)とした。
なお、現状の制度では放送された番組しか配信できないルールになっているため、NHKオンデマンドオリジナル作品を制作・配信することはできない。「黒字化してまだ2年しかたっておらず、安定的にサービスを維持拡大していくことに精一杯という状況。その先の展望はまだこれから」と村松氏は語った。
また、上記の民間配信サービスでの例は、追加パックに加入することでNHKオンデマンドパックの全コンテンツを視聴できるようになるというもの。NHKのインターネット活用業務において、視聴者にコンテンツを直接提供する「2号業務」という区分になる。
一方で、Prime VideoやNetflixなどの外部サービスに対して個別の番組を提供することで、NHKオンデマンドパックに追加加入せずとも(Prime Video等の基本料金だけで)番組を視聴できるというケースもある。こちらは、各配信サービスにNHKが番組を提供するBtoBの「3号業務」と区分されている。
NHKでは、こうした2号業務や3号業務を通して、人々がNHKの番組に触れる機会を拡大することで価値を還元していきたいと説明。「過去作品の権利処理や維持にはコストもかかるため、一足飛びに配信を拡充していくことは難しいが、社会的価値の還元を進めていきたい」とした。