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10-30万円台の注目5モデルを徹底試聴!

レコード再生のワンモア・ステップ【特別編】:入門から一歩進んだプレーヤー選び!

公開日 2022/12/30 08:00 飯田有抄
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■5モデルを聴き終えて -設計思想の違いが音にも反映



5機種を聴き比べて、こんなにも明確に音の違いがあるのか! と実感できたのは驚きだった。ターンテーブルを回し、レコード盤の音溝に針を這わせ、音情報をイコライザーアンプに伝えるという、アナログプレーヤーがやっている仕事自体はその昔から変わらない。

デジタルプレーヤーが日進月歩で変化していることに比べれば、アナログ機器の変化はもはや少ないだろうし、正直どこまでプレーヤーのデフォルト状態で差が出るのか、あまり違いはないかもしれないと思っていた。ところが今回登場した機種はいずれも設計思想の違いがあり、思った以上に違いが音になって表れ、非常に興味深かった!

ところで、私が最初にアナログプレーヤーを買う時に、某ショップの店員さんから「同じ金額でも、その定価で新品を買うより、アナログ全盛期時代の中古品で、定価がもっと高かったものを買った方がいい」というアドバイスをもらったことがあった。井上先生によれば、必ずしもそうは言えないという。アナログプレーヤーの基本設計は大きく変わらないとはいえ、やはり時代によって変化・進化しているからだ。

最も大きなポイントは2つある。1つ目は素材。合金や樹脂など、部品や筐体を構成する素材自体のクオリティが時代とともにレベルアップしており、当然それは音にも影響する。2つ目は加工精度のレベルアップ。オーディオ製品は精密機器であるから、精度の向上はこれまた大きく音に影響する。

CDが1982年に登場する以前の、アナログ全盛期と言われた時代と比較すれば、製造・加工する機械そのものの精度がアップしているので、生産される製品の精度も高まっているのだ。よって、音に違いが出る。やはり新しい機器には新しいだけの魅力はあるのだ(もちろん、古くから愛用の機材を大切にメンテしながら使うことも素敵なのは言うまでもない)。そのような訳で、コスパ良く新しいプレーヤーを導入したいという読者の方にも、このレポートがお役に立てれば嬉しい。

■さて、グッときたのはどれ?



ほぼショッピング気分で試聴室に入った私だが、音を聴いて率直に心動かされたのは2機種あった。これはあくまで主観的な好みや、私自身がクラシック音楽に特化したリスナーであることをご了承いただきたいのだが、個人的にはレガの「Planar 6」とラックスマンの「PD-151 MARKII」にグッときた。困ったことに、この2機種が正反対と言ってもいいほど、まったく違う方向性を示している。

それぞれのレポート欄でも述べたが、レガはとにかく、「即良い音」なのが最大の魅力。「もう必要なことは全てやっておきました、あなたの聴きたい音楽はこれで堪能できます!」と言わんばかりの完全性。ヘタに自分がいじるとバランスを崩して、せっかくの美音が台無しになりそうで怖いくらいだ。

一方のラックスマンのプレーヤーは、先述のとおり、「いろんなことをやってごらん。全部対応するから任せなさい」という頼もしさがある。つまり井上先生の言う“発展性”の可能性にあふれているのだ。ちょっとした部分に手を入れて、「おお〜変わった!」とか「前の方がいいか〜」などと一喜一憂するのもオーディオ遊びの醍醐味だから、それを延々と許容してくれそうなPD-151 MARKIIは、頼りがいのある良きパートナーとして、長く飽きずに使い込んでいけそうだ。

「どうしよう……どちらを買うか決められない!」と悶絶していたら、「どっちにするか迷った時はね、どっちもやめておく、っていうのもテですよ(ニヤリ)」と井上先生。これは困った〜(笑)。

本記事は『季刊・analog vol.76』からの転載です

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