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HD 800/IE 800の製造工程を見た

独ゼンハイザー本社訪問記(1)開発&製造現場に潜入! あの銘機はこうやって作られている

公開日 2015/09/24 14:24 編集部:小澤 麻実
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ひとつひとつ手作業で組み上げられるHD 800&IE 800の製造工程

工場の内部は基本的に撮影禁止だが、今回特別にHD 800とIE 800の製造スペースの一部などを撮影させてもらうことができた。

マイクやHD 800/IE800などが製造されている工場棟

工場の大部分を占めるのはマイクの製造ラインで、HD 800/IE 800の製造スペースはごくごく一角に凝縮されている。ライン方式ではなく、限られた人材で複数の部品を組み上げていくセル方式だ。

下写真がHD 800の製造スペース。このピンク色のトレイを使いながら、ひとつひとつのパーツを手作業で組み上げていく。できあがった製品は1台1台音響特性を測定し、装着感や音質のチェックを行ったのち出荷される。生産されたHD 800の約4割は日本に出荷されるという。

HD 800の製造スペース

組み立て時に使うトレイ


こんな風に手作業で組み立てられていく




完成品は音響特性を測定


装着感や音質のチェックも行われる(写真は同社ハイエンド製品マネージャーのアクセル氏)

完成したHD 800がずらりと並ぶさまは壮観
下写真はIE 800の製造スペース。筐体にケーブルを通し、ドライバーと結線する前の段階の状態だ。こちらも丁寧に手作業での組み立てが行われるという。工場内で組み立て作業を行っている方は、他社のハイエンド製品製造工程と同じく女性が多かった。やはり女性ならではの手先の細やかさが、精密さを求められる製造工程を支えているのだろう。

IE 800の製造スペース。ドライバーと結線する前の段階の状態でどっさりと詰まれている


IE 800のドライバー

なお工場では、定期的にミーティングを開いて製造工程の問題点を共有・解決したり、優秀な社員を掲示してモチベーションを上げる取り組みが行われているとのこと。「訓練センター」という、入社したばかりの若い技術者が訓練を積むところも用意されている。

入社したばかりの若い技術者が訓練を積む訓練センター

そのほか、製品開発時などに使う無響室や、社員食堂なども見学することができた。

製品開発時などに使う無響室。床はネットになっているので、一度に入れるのは4名までに制限されている


社員によるアート。HD 800のボイスコイルなどをあしらっているのがポイント。かなり前衛的
共有スペースや廊下には、社員の手によるアートが飾られている。そして社員の方々はすれ違うとほほえみを向けてくれる(これは無愛想な人も多いドイツとしては、かなり珍しいことだと思う)。

社員食堂。こちらの壁にも社員の描いた画が飾られている

数種類の主菜やサラダなどを組み合わせ可能。この日はマッシュルーム入りハッシュドビーフやパスタ、魚のフライなどが用意されていた。ジャガイモはマッシュと輪切りの2種類

緑あふれる敷地内で育まれるオープン&イノベーティブなマインドと、細部まで管理が行き届きひとりひとりが誠実な仕事を行う工場。このふたつが、ゼンハイザーのものづくりを支えていることを実感することができた。


◇ 



第二回では、同社CEO アンドレアス・ゼンハイザー氏にインタビュー。70周年を迎えたゼンハイザーの今後の展望について、新製品の計画などにも触れながらお話しをうかがった。

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