HOME > レビュー > Shure「SE846」と最新DAPを組み合わせ試聴。唯一無二のマルチBAイヤホン “現在の実力”

プレーヤーの色を引き出す多彩な表現力

Shure「SE846」と最新DAPを組み合わせ試聴。唯一無二のマルチBAイヤホン “現在の実力”

公開日 2017/07/03 10:30 野村ケンジ
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

さらに、ソニー・ウォークマンのフラッグシップモデル「WM1Z」でも試聴してみた。こちらは全面リニューアルしたオーディオ回路を持ち、11.2MHzのDSD音源にも対応。さらにOFC銅筐体+金メッキという贅を凝らした逸品だ。

ウォークマンのフラッグシップモデル「WM1Z」との相性はどうか

音のダイレクト感、表現のストレートさがたまらない。全てのベールを剥いかのような、まるでライブ録音をマスタールームで聴いているかのようなダイレクトサウンドが存分に楽しめる。特にベースの輪郭が格別といえるほどの明瞭さを保っていて、クリアでありながら分厚いリズムパートの演奏が伝わってきて、とてつもなくグルーヴ感の高い演奏が楽しめる。チェロの音色も、一聴すると線が細く感じられるくらいフォーカス感が高く、演奏の全てが余さず伝わってくる点は好ましい。

一方で男性ヴォーカルはマイクの特徴もしっかり乗ったストレートな音色。これはこれで、ライブのような臨場感が存分に味わえて楽しい。女性ヴォーカルは、こちらも低域の付帯音がしっかり感じられるためか、落ち着いた印象の歌声が楽しめる。音色的にはやや「X7」+AM5に近いものの、解像感の高さでは「WM1Z」が有利といったところだ。

そして、プレーヤーをAstell&Kernシリーズに変更して試聴。現行モデルの全てを試してみたのだが、相性が良かったのは「AK320」だった。どちらかというとモニターラインと表現したくなるサウンドキャラクターで、ハリのある高音と締まりのある低音によって、活気に満ちた演奏を楽しむことができた。

Astell&Kernのプレーヤーは現行モデル全てをチェック

最も「SE846」との相性が良いと感じたのは「AK320」

最後に、発売間近のAstell&Kern「A&Ultima SP1000」が手元にあったので試聴してみた。こちらの相性の良さも、「X7」や「WM1Z」に引けを取らないレベル。解像度が高くジェントルな抑揚表現のサウンドで、演奏の全てを余すことなく丁寧に表現してくれる。自然、ニュートラルという表現がぴったりの音色傾向で、そのおかげもあってなかなか心地良いサウンドを楽しむことができた。

7月7日発売予定の「A&Ultima SP1000」とも相性が良い



結論としては、最新のポータブルプレーヤー、特に10万円以上のクラスであれば「SE846」を充分に楽しむことができると確認できた。ポイントは低域の解像感、フォーカス感の高さといったところだろうか。今回試聴した中では、「X7」+AM5とは抜群のマッチングを示してくれたし、ウォークマン「WM1Z」やAK「SP1000」クラスのハイエンド機であったら、どれを選んでも「SE846」の実力は十分に発揮される。

後は音色的な好みの問題くらいだろう。これについては、ノズルインサート交換によって更に好みの音に近づけることができるという優位性も「SE846」は持ち合わせている。逆に言えば、プレーヤーのキャラクターの違いをここまで如実に表現する「SE846」の表現の多彩さに改めて感心させられた。あらためて、素晴らしいイヤホンだと断言しよう。

前へ 1 2 3

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

トピック: