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【特別企画】有機ELテレビでチェック

日本でもついに配信スタート! 「ドルビービジョン」の実力を徹底検証

公開日 2016/08/02 10:00 折原一也
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SDRでの視聴では画面全体が明るく見えていたシーンも、皇帝の背後から光の差す逆光が再現され、それでいて同時に、人物の顔の階調も正確に描かれる。

これまでのテレビやコンテンツではあまりに難しいシーン(SDRで見た時点では、そういうシーンである事自体気付かなかった)も、余裕のコントラストと階調でこなす。その実力は相当なものだ。

ドルビービジョンでしか見ることのできないディテール

もうひとつ、ドルビービジョンでしか見ることができないディテールが、ロレンツォ・リチェルミ演じるマルコポーロの目の輝きだ。HDRと聞くと派手な表現を思い浮かべがちだが、『マルコポーロ』では伏せていた顔を上げた際、その目に鋭い光が宿ることによってシーンの意味合いがよくわかるのだ。HDRはこのように、より効果的な演出にも利用できる。

目に映った光りの輝き。これによってマルコポーロの強い意志が表現され、作品の演出がより明確になる

もちろん ”HDRらしい” と呼びたくなるシーンの極めつけは、マルコポーロが王宮から出て市へと繰り出すシーン。闇夜に浮かぶ明かりの光は、HDRの輝きとコントラスト性能を伝えてくれる。

闇の中を歩くマルコポーロ。暗部の階調がしっかりと出ていることはもちろん、照明の明部の階調表現も両立できている

照明だけのシーン。漆黒の闇と照明のディテールをともに表現できている

マルコポーロが「百の目」から武術の手ほどきを受けるシーンのように、光の陰影が一画面で共存するシーンでは、その美しさに目を見張る。光の輝きと有機ELの持つ黒の締まり、そしてドルビービジョンの持つ階調再現能力が存分に発揮されるのだ。

今回『マルコポーロ』をドルビービジョンで見なおしてみたが、改めてクリエイターが本来意図した映像、そして4Kへの解像度アップでは到達し得なかった表現の広がりを実感させられる。

「SDRではわかりづらかった演出上の意図がしっかり理解できる」と折原氏

最高画質の探求はAVファンにとって常に大きなテーマだが、光が正確に表現されるのは、高精細化以上に得られる感動が大きい。

国内第一弾のハードとしてLGの薄型テレビ、そしてソフトはNetflixのコンテンツが登場したドルビービジョンだが、今回視聴した感想は期待以上のものだった。

今後、国内の映像配信、そしてUltra HD Blu-rayにもドルビービジョン対応作品が登場し、さらなる感動を届けてくれることに大いに期待したい。

(特別企画 協力:ドルビージャパン)

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