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【特別企画】評論家が特長や画質傾向を徹底解説

東芝“レグザ”10年目に誕生したIPS採用4Kテレビ「Z700X」の魅力を大橋伸太郎が徹底チェック

2016/06/07 大橋伸太郎
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■東芝「レグザ」10周年。“次の一手”は広視野角IPSパネルの「Z700X」

東芝の液晶テレビがREGZA(レグザ)を名乗って今年で10年。ブラウン管時代テレビマーケットに大きなシェアを築いたメーカーの例に漏れず、薄型への転換には苦労したようだが、ブランドネームにレグザを採用してから快進撃が始まり、たちまちリーディングメーカーの座についた。

「レグザ」を冠する液晶テレビ誕生から10年目に、4K HDR対応のIPSパネル採用モデル「Z700X」が登場

一般的には東芝らしい鮮鋭感主体の切れ味ある画質の魅力に加え、中・小型画面への幅広い展開、一貫したミニマルデザイン、そしてゲームユーザーやアニメファンまでをターゲットにした提案などがレグザの推進力と考えられているが、個人的には“レグザ=回路技術”の印象が強い。

Z700Xのリモコン

レグザが登場した2006年頃は垂直統合が全盛で、パネルの自社生産を制したものが薄型テレビ戦争を制すると考えられたが、その中でまったく逆を思考したメーカーが東芝だった。

東芝の考えはこうだ。パネルはデバイスの一つ、電子回路とバックライト(液晶方式の場合)でパネルがテレビに変わる。東芝のテレビ開発は回路技術に凝集し先鋭化した。やがて電子回路を映像エンジンと呼ぶようになるが、レグザ用のそれが別の名を与えられて他社テレビに搭載されたこともしばしばだった。

Z700X、および昨年発売のフラグシップ機「Z20X」に搭載されている映像エンジン「4KレグザエンジンHDR PRO」

そして液晶パネルがグローバル化し戦国時代が出現すると、東芝の思考が結局正しかった。映像エンジンを制したものが薄型戦争を制したのだ。その象徴的存在が「CELLレグザ」だ。

この10年間、高性能な映像エンジンから生まれるレグザの一貫した特徴は世代とラインナップ、サイズを問わず画質に統一感があることだ。ノイズや曇りのない緻密な解像感、演出にならない範囲で広大かつ、端正なコントラスト、自然な色彩バランスなど、だ。

評論家の大橋伸太郎氏がレグザZ700Xの実力をチェックした

昨年秋に発売されHDRの先鞭を付けたフラグシップのレグザが「Z20X」。他に先駆けて1000nit以上の強力な輝度パワーを達成し昨年来高級ゾーンで圧倒的に高い評価を集めている。

これを上回るテレビはそう簡単に現れないと思われたが、4K UHD BDが発売されHDRが本格化した今期強力なコンテンダーが現れると東芝の次の一手が注目された。

東芝の回答は予想外なものだった。Z20Xは3月にファームウェアのアップグレードを経て秋まで継続、一方IPSパネルを搭載(Z20XはVA)し、「4Kレグザエンジン HDR PRO」をさらにブラッシュアップして搭載したもう一つのZシリーズ、「Z700X」を送り出してきた。“映像エンジンのレグザ”の面目躍如ではないか。

今回紹介する「Z700X」に加え、4K HDR対応の“ミドルスタンダード”機「M500X」、フラグシップ機「Z20X」がラインナップ

■映像エンジン「4KレグザエンジンHDR PRO」が進化

液晶パネルはIPS方式で55型、49型、43型の3サイズ。リビングなど大勢が集まる環境では、ベストポジション以外からの視聴に対する対応力も求められるが、広視野角のIPSパネルを採用することで“リビングテレビ”としても使える4Kレグザが誕生した。

視野角の広いIPS方式の新パネルを採用

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