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【特別企画】待望のアップデート対応が実現

fidata「HFAS1」のネットワークトランスポート機能を検証 - 注目USB-DACと組み合わせテスト

公開日 2016/04/06 10:00 土方久明
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■試聴モデル:(4)CHORD「DAVE」
パソコンとの接続時に比べて音質が飛躍的に向上した

最後は、今年2月の発売以降、大きな注目を集めているCHORDのハイエンドUSB-DAC「DAVE」を組み合わせた。DAC部に高性能FPGA「Spartan-6 Version LX75」を採用し、FPGAには164,000タップのWTAフィルターを実装。166個のDSPコアが並列駆動する超高性能USB-DACだ。そこにHFAS1を組み合わせる。これには筆者自身かなり期待をしていた。

CHORD「DAVE」(1,500,000円/税抜)

ここまで組み合わせた3台のUSB-DACが予想以上の音質を聴かせてくれたこともあり、DAVEにおいては、HFAS1と、筆者自身がリファレンスで使用しているMacBook + Audirvana Plusの環境との比較も行った。

まずはMacBook Pro(Retina, 13-inch、Early 2015 Core i7 3.1 GHz)をトランスポートとしてDAVEと組み合わせた。DAVEも768kHz PCMに対応しており、DoPでの11.2MHz DSD再生が可能。ということで、11.2MHz DSDの『I See You While Playing The Piano』と、PCM音源からは、ダイアナ・クラール『Wallflower』を再生した。DAVEから表現される音は、これまでのUSB-DACでは聴いてきたことがないような解像感と抜群のS/Nを誇っており、「これが最新鋭のUSB-DACの音なのか」と感心した。しかし、さらなる衝撃が待っていようかとはその時は思わなかったのだが。

DAVEとHAFS1-S10を組み合わせたところ

11.2MHz DSD(DSD256)の再生にも成功した

続いて、MacBookからHFAS1につなぎ替えて同じ曲を再生する。ただでさえクリアで見通しの良いDAVEの音から、さらにベールが1枚剥がれた。楽器の分離の良さや圧倒的な解像度には、「今まで自分は何を聴いていたのだ」と思えるほどの差があった。Jポップやロックのバスドラムはスピード感があり、しかも最低域の伸びも秀逸。そもそもDAVEの表現力が優れているのだが、ここまでの低音はあまり聴いたことがない。この時点でHFAS1-S10をトランスポートとして用いた時の音質に確信を持った。HFAS1-S10は、汎用パソコンではまず引き出せないUSB-DACの本来の性能を、余すことなく引き出してくれるのだ。試聴ということを半ば忘れ、長時間聴き入ってしまった。

■USB-DACを簡単にネットワークプレーヤー化。しかも音が素晴らしい

今回取材を行った結果、HFAS1のUSB-DAC接続機能は多くのオーディオファンにメリットがあると感じた。その理由は以下の通りだ。

1. USB-DACを簡単にネットワークプレーヤー化できる
2. ネットワークプレーヤーとして完成度が高く、快適な操作性を実現している
3. 面倒な設定が不要で、USBケーブルを接続するだけでよい
4. パソコンを利用した場合と比べて音が良い

高性能なネットワークプレーヤーとNASを同時に手に入れたい方や、将来さらに本格的なネットワークプレーヤーを購入した場合も使うことができるので、投資が無駄にならないのも良い。


かなり褒めすぎてしまったが、特に欠点らしいところも見当たらないのだから仕方ない。あえて指摘するなら、接続するUSB-DACとの相性に気をつける必要があることくらいだろうか。HFAS1と接続できるUSB-DACは、USB Audio Class 2.0に対応したものに限られ、専用ドライバーを必要とする機種は利用できないので、ご注意いただきたい。また繰り返しになるが、DSDに利用には、USB-DACがDoPに対応している必要がある。USB-DACがDSD対応でも、この点にも注意が必要だ。

HFAS1とUSB-DACによってセパレート・プレーヤー構成とできることは、一体型ネットワークプレーヤーに対しても優位性を持っている。そしてHFAS1のSSDモデルならば、CDトランスポートのような可動部も持たない。この点も音質的に有利だ。

もともと今回の視聴はHFAS1と各々のUSB-DACと組み合わせ、その使用感を中心としたレビューを行う予定であった。しかし本機をトランスポートとして使用した時の音は記事の趣向さえ変えてしまうような素晴らしい音質を備えていた。技術は日々進歩し、我々オーディオファンを驚かせる。筆者自身、今回使用したUSB-DAC以外にも試したいハイエンドDACがたくさん出てきた。末筆になるが、今回のアップデートによって実現した機能の完成度は抜群だ。同社技術陣の努力にも拍手を送りたい。





土方久明
ハイレゾを始めとするデジタルファイル再生に精通する次世代の評論家。10月に行われたオーディオショー「オーディオ・ホームシアター展2015(音展)」では、評論家として最多講演数を誇る。実は大のアナログファンでもある。





(特別企画 協力:アイ・オー・データ機器)

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