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【特別企画】RMEユーザー視点からレポート

山之内正がRME「Babyface Pro」を聴く − ハイレゾ先駆者が最新世代で遂げた進化とは?

2015/09/02 山之内 正
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RMEのBabyfaceは、高音質かつ安定したハイレゾ再生が可能なUSBオーディオ製品の先駆けとして、音楽制作においてはもちろん、オーディオファンの間でも長きにわたって親しまれてきたモデルだ。その新世代モデルとしてさらに性能、そして音質を強化して登場した「Babyface Pro」を、RMEユーザーである山之内正氏が検証する。

RME「Babyface Pro」¥OPEN(市場想定価格99,800円前後)

RMEのオーディオインターフェースが欠かせない存在となった理由

USBオーディオインターフェースをHi-Fiオーディオ用途で使い始めてから8年ほど経つ。その間にいろいろな製品を使ってきたが、2012年以降、仕事場のデスクの上に常設しているのがRMEのFireface UCXである。すでに3年を超えているから、付き合いは一番長いかもしれない。

本機を使い続ける理由は単純、他の製品で置き換えられない長所と機能が豊富なことに尽きる。中心となる用途はUSB-DACで、ダウンロードした音源をすぐにヘッドホンで確認したいとき、Fireface UCXを使う。

コンパクトなので机の上で余分なスペースをとらず、色付けのないニュートラルな音調はハイレゾ音源のクオリティチェックにうってつけだ。パソコンの画面にDIGICheckのスペアナを表示しておけば、その場で周波数スペクトルの確認ができる点も便利この上ない。

サラウンドのハイレゾ音源を入手したときには、Fireface UCXの多チャンネル出力が威力を発揮する。MacBook Airで再生したサラウンド音源をFireface UCXでアナログに変換し、アナログ・マルチチャンネル入力を持つプリアンプ(アキュフェーズCX-260)に出力するという流れだ。Fireface UCXなら8ch出力も可能だが、実際に私が聴くのはサブウーファー成分を含まない音楽データが中心なので、TotalMix FXのミキサー機能を活用し、5.0chまたは4.0chで再生することが多い。

山之内氏が自宅環境で愛用しているRMEのオーディオインターフェース「Fireface UCX」

AVアンプでもDLNAまたはUSB経由で同様な再生をサポートしている製品があるが、Fireface UCXは再生プロセスがシンプルで、フロントとリアのレベル差など、音源ごとの特徴をパソコンの画面上でリアルタイムに確認できるメリットもある。標準でマルチチャンネル出力に対応するUSB-DACの選択肢は他にほとんどないので、この用途でもUCXを置き換える存在は思い浮かばない。

もう一つ、アンサンブルやオーケストラの演奏を録音する用途にもFireface UCXが活躍する。リハーサルではPCMレコーダーを使うことが多いが、本番の録音にはUCXのマイクプリとA/Dコンバーターの性能がものを言うのだ。

会場の吊りマイクを使えば、機材はFireface UCX、パソコン、ヘッドホンだけで済むので、楽器と一緒にクルマに積み、コンサート会場に持参する。シンプルなステレオ録音が中心なので準備に要する時間も最小限。演奏と録音の一人二役も負担にはならず、Fireface UCX本来の用途での使い勝手の良さを実感する。

普段のリファレンスシステムにBabyface Proを組み込んで試聴を行う山之内氏

Fireface UCXを使い続ける理由を3つ紹介したが、RMEのラインナップに詳しい読者は、この3つの用途ならBabyfaceでもほぼカバーできることにお気付きかもしれない。本体はさらにコンパクトだし、基本性能もUCXとほとんど変わらない。むしろデスクトップオーディオや録音の用途にはBabyfaceの方が適役と言っていいだろう。

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