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プレーヤーやアンプだけじゃない!

【連続企画第3回】ティアック「HA-P90SD」、USB-DACとしての実力を探る!

公開日 2015/05/27 10:00 岩井喬
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CDトラポと組み合わせコンパクトな据え置きDACとして活用

続いて用意した環境は、ジャケットサイズのスマートなCDトランスポート、オラソニックNANO-CD1と組み合わせ、本機をコンパクトなDACとして捉えた活用案だ。

オラソニック「NANO-CD1」と組み合わせ、DAC兼ヘッドホンアンプとして使用した

昨今のデジタル機器はヘッドホン出力を省く傾向が強く、時折そのことを残念に思うケースに遭遇する。CDプレーヤーであってもアナログライン出力はアンプに繋ぎ、デジタル出力は本機のようなDACつきヘッドホンアンプに繋ぐことで立派なヘッドホンモニタリング環境を構築できるのだ。

NANO-CD1はDACを持たないが、44.1kHzの信号を88.2kHz、96kHzまでアップサンプリングできる機能を持っているので、それぞれ切り替え音質の違いを楽しむこともできる。このトランスポートは同軸と光(角型)、両方のデジタル出力を持っているので、HA-P90SDはどちらにも対応できるが、今回は光デジタル環境で接続することとした。

なお光ケーブルはHA-P90SD側で丸型コネクターにする必要があるので、適宜変換アダプターを用いると良いだろう。

はHA-P90SD側で丸型コネクターにする必要がある

光ケーブルを接続したところ

あらかじめHOME画面内、“SETTINGS”→“OTHERS”→デジタルI/Oのモード切り替えで“INPUT”を選択しておけば、ケーブルを接続し信号を受け取ることで自動的にDACモードに切り替わる。

今度は設定のデジタルI/Oを「INPUT」にする

試しに44.1kHzダイレクトでのサウンドを確認してみると、非常にナチュラルで空間性の滑らかな表現を味わえた。解像度も程よく保たれ、オーケストラも分離良く爽やかに浮かび上がる。続いて整数倍となる88.2kHzに切り替えるとより音像のフォーカス感が増し、キレ良く鮮やかなサウンドへと変化。密度感もそのまま残しているが、管弦楽器の粒立ちも細かく、S/Nの高いきめ細やかな音色となってきた。

最後に96kHzで聴いてみたが、音数も多く流麗なサウンドとなるものの、どちらかといえばマイルドで穏やかな傾向となる。このアップサンプリングの効果に関してもHA-P90SDはきちんと追随し、その音色差を的確に描き分けてくれた。むろん、ヘッドホンというダイレクトに音を確認できる環境だからこそのメリットも多分にあるが、内包するDACチップPCM1795や2系統の高精度クロックに効果も存分に発揮できたということであろう。CD再生であることを忘れさせてくれるような、付帯感のない高解像度かつ自然でクリアなサウンドを味わうことができた。

手頃で高性能なCDプレーヤーが少なくなっているが、こういった組み合わせはミニマムながらも本格的なサウンドを楽しめる提案として、ぜひお試しいただきたい。


BDレコーダーとの組み合わせも試してみた

加えてもう一つ、同軸デジタル入力を使った試聴として、BDレコーダーの高級モデル、パナソニックDMR-BZT9000に接続しチェックを行ってみた。

一部モデルを除き、BDレコーダーもヘッドホン出力を省く傾向が続いているが、現行モデルDMR-BZT9600においてもヘッドホン出力は装備されていない。ヘッドホンを使う場合はTVかAVアンプなどの後段の機器に繋ぐこととなるが、できることならば最上流の機器からヘッドホンで聴きたいものだ。そうしたとき、HA-P90SDのようなDAC内蔵ヘッドホンアンプであれば理想の役割を果たしてくれる。

DIGAの現行最上位機「DMR-BZT9600」

特にDMR-BZT9000をはじめとするパナソニックBDレコーダーの上位モデルは非圧縮にも対応したCDリッピング機能(内蔵HDDへの保存)も可能であり、ミュージックプレーヤーとしての機能性、音質へのこだわりも高い。

さらにパナソニックの上位BDレコーダーは、自社開発したシステムLSI“UniPhier(ユニフィエ)”の強力な演算能力を活用した“真空管サウンド”という音質モードを搭載している。これは基本波に対して2〜3次の比較的低めの高調波特性が主体となる真空管アンプの出力特性をシミュレートし、真空管らしい温かみのある音質を実現する機能だ。

DMR-BZT9000では6つの真空管の違いを楽しめるようになっており、12AX7や12AX7A、12AU7、6414など(モード切り替え時にはこれら真空管のモデル名は表示されない)、マニアックな双三極管の特性を再現したそうであるが、TVに接続している状況では繊細な高域にかけての倍音感など、なかなかその恩恵を味わえないのも事実であった。しかしHA-P90SDを使うことでその違いは如実に表れる。

ヘッドホンリスニングによる、よりストレートな試聴環境も功を奏しているが、特に女性の声質に対して効果を発揮するモードが多く、音楽モノのBDソフトや声優のヌケ良い声質を味わえるアニメ鑑賞には抜群の相性を持つ。例えBDレコーダー本体にヘッドホン出力が用意されていたとしても本機ほどのクオリティは望むべくもない。キレ良く解像感が保たれ、低域の引き締めも申し分なく、映画におけるセリフやSE、BGMなどの分離も見事である。ステレオ再生という点は仕方ないが、ポータブルシステムの新たな魅力に気づいた試聴であった。



長期間にわたりHA-P90SDの実力をチェックしてきたが、使えば使うほどにその“機能性”と“音質”の良さに惚れ込んでしまった。ポータブルプレーヤーに高いヘッドホン駆動能力を求めるユーザーにとって、これほど理想的なモデルは存在しないであろう。さらにファームウェアのアップデートによってこれからも機能が高まる予定で、その“発展性”の高さも考えると、まさに三拍子そろった盤石なポータブル機である。

■試聴ソース
○クラシック
▼レヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『惑星』〜木星(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
▼イ・ソリスティ・ディ・ペルージャ『ヴィヴァルディ:四季』〜“春”(192kHz/24bit)
▼飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜“第一楽章”(96kHz/24bit)

○ジャズ
▼オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜“ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー”(CDリッピング:44.1kHz/16bit)

○ロック
▼デイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜“メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ”(CDリッピング:44.1kHz/16bit)

○DSD音源
▼長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』〜“レディ・マドンナ”(タスカムDV-RA1000HDにて筆者自身が2.8MHz・DSD収録)
▼Suara『Suara at 求道会館』〜“トモシビ”(5.6MHz・DSD)

(岩井喬)

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