HOME > レビュー > 独自規格VESA 3Dの画質をチェック! オプトマプロジェクター“2つの3D”の実力を探る

林正儀が自宅で検証

独自規格VESA 3Dの画質をチェック! オプトマプロジェクター“2つの3D”の実力を探る

公開日 2015/04/28 14:45 林 正儀
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

【1】オプトマ独自の3D方式VESA 3Dを楽しむ

では、HD90から始めよう。エミッターと3Dグラスの同期は非常に簡単で、動作がきわめて安定しているというのが第一印象だ。RFの3Dらしく、多少の顔の向きなどは関係なく快適に鑑賞できる。

まずはフラグシップHD90で、VESA 3D規格の3Dクオリティをチェック!

HD90の3D投写は、明るくすがすがしいほどのハイコントラスト感で、思わず見入ってしまう。コントラスト比50万対1の余裕というべきか。レンズ性能の優秀さもあって、スクリーンのすみずみまで美味しい光が届く感じだ。輪郭や細部まで色のフォーカスがきれいに合っていて、どの作品もナチュラルな立体感と感じた。見慣れた「タイタニック」の出航シーンはひときわ巨大な船体がそびえ立ち、背景の空や海に溶け込んでいてリアルそのもの。群衆との対比でも、妙に切りかきになることもなく、遠近が滑らかにつながる自然な3D描写が好ましい。字幕の見やすさも注目だ。クロストークが抑えられていることもそうだし、飛び出しが強調されず実にバランスがよい。夕焼けをバックにした美しい映像に溶け込むようだ。

HD90の背面端子部

「3D SYNC」ポートを備えるオプトマ機種であれば、VESA 3D方式の3D投写が行える

3Dで“色”を楽しむなら「アバター」や「ネイチャー」などの自然モノ、そして「トイ・ストーリー」などのアニメ作品がよい。画像に同期信号を入れないメリットなのか、色純度が高く極めてナチュラルな再現性で、抜けるような透明さを味わえた。

シーンでいえば、「アバター」の精霊がふんわり空中に漂う場面を見てほしい。森中を様々な色あいの蛍光色が照らし、ミステリアスな世界へと誘う。翼竜アクランのダイナミックな飛行シーンも色が乱舞するようで見所だ。体に風を感じながら、シネマ館で見惚れたことを思い出す。このみずみずしい色のグラデーションが3Dグラス越しに再現できるからこそ、包まれるような遠近感が体感できるのだ。「タイタニック」とともにジェームズ・キャメロン監督のこだわりが感じられ、改めて「アバター」という3D作品の完成度を実感させられた。

最新作では「ゼロ・グラビティ」「猿の惑星:新世紀(ライジング)」「トランスフォーマー・ロストエイジ」などを視聴したが、作品それぞれの特徴をみごとに引き出してくれる。無重力の宇宙を描くクールなタッチと、明暗のダイナミックレンジ。そして毛の一本一本や猿の表情、感情までもリアルに描く分けるダーク部での解像度。巨大ロボットたちの目のまわるようなスピード感といった具合だが、HD90が備える基礎体力は素晴らしく、さすがにLED光源だなと思わせる。これであれば、目の肥えた3Dファンも納得だろう。

スーパーピュアモーションで、急激なパンニングのジャダーもみごとに抑えられ、キレのよい立体映像が再現されている。もともとカラーブレイキングの抑えられたHD90だが、3D視聴においても3Dフレームの高速化といったノウハウが生き、くつろいだ雰囲気で安定した鑑賞が楽しめた。

【2】従来モデルHD26でのDLPとVESA 3Dの比較

続いて、VESA 3D式とDLP Link式との3D比較をしてみよう。ここで使用するHD26は普及ラインながら、DLPらしく3,200ルーメンの輝度がある。少々明るめのリビングでもクッキリ投写できる手軽さがウリだ。3D投写についても2つの3D方式を搭載しており、好みで選べるのがメリット。

続いては、HD26でVESA 3DとDLP Link式の3D映像を比較視聴

ではどんな違いがあるのか。それぞれの特徴は前述の通りだが、実際に使うとまずDLP Link専用のアクティブグラス「ZD302」はカジュアルでフィット感がよい。エミッターが不要になるのもお手軽だ。

一方、VESA 3Dは専用エミッターとペアで使う。メガネ本体はDLP Link専用の方が軽いが、画像の安定度では本格派のVESA 3Dに軍配をあげよう。とはいえDLP Link方式も一般的な赤外線(IR)より安定して使いやすい。どちらも良いので、好みで選びたい。

HD26の背面端子部

HD26の「3D SYNC」ポート

筆者が観た印象を率直に述べると、DLP Link方式は画質も立体感もメリハリ指向。VESA 3Dよりも飛び出しが強調ぎみで、明るくパンチ力があるから3D映像としてわかりやすいともいえる。「ライフ・オブ・パイ」や「アメイジング・スパイダーマン」、アニメの「ウォーキング・ダイナソー」などは感覚的にフィットした。輪郭も鮮明でハリがあり、「ライフ・オブ〜」で突然虎が飛びかかってくるシーンなどはビックリさせられたほどだ。

一方でVESA 3Dはというと、本格的かつナチュラルな3D映像で、積極的な飛び出しよりも遠近のバランス重視。フォーカスがより丁寧で、手前と奥の被写体をよりスムーズに描き分けるようなタッチと感じる。 「ライフ・オブ〜」を例にとると、バックにある大海原と空の深さが自然な立体画像として描かれ、虎との位置関係が平面にならない。また、コントラスト感や色の忠実さなど、映像としてのクオリティの高さも感じられた。

最新の3D作品も次々にリリースされている今、オプトマの高品位な3Dプロジェクターで3Dシアターに挑戦してみてはどうだろうか。

(林 正儀)

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE