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TAC-2の兄弟モデル

ZOOMのThunderbolt DAC「TAC-2R」をレビュー。より音楽制作向けの仕様を備えた新モデル

公開日 2014/12/05 11:07 鈴木 裕
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フラットな帯域バランスで、付帯音なくキビキビとしたサウンド

TAC-2Rのアナログ出力には音量調節が効くので、TRS(フォーン)端子の出力をアキュフェーズのパワーアンプ「P-4200」にダイレクトに接続。TADのスピーカーシステム「E1」を鳴らしてみた。ちなみに筆者のMacbook Pro(再生ソフトはAudirvana Plus 2.0)からTAC-2Rの間は、TAC-2Rに付属しているThunderboltケーブルで接続している。

TAC-2Rの試聴は、音元出版の試聴室にて行った

よく聴き慣れた山下達郎の『ソノリテ』(24bit/44.1kHz・WAV)から聴いてみると帯域バランスはフラットで、付帯音のないキビキビとした方向性。ノイズフロアーが低く、歪みっぽさとか音のニジミといった成分は感じられない。基本的に強い音で、電源の強力さが効いている感じもある。高域もしっかりとしたレンジ感を持っている。ただしここが大事なポイントだが高音のトーン自体はまろやかさがあり、TAC-2RとTAC-2の一番の音の違いはこの要素だ。TAC-2では高域にしっかりとした骨格感があり、より明確にくっきりと音を聴かせてくれる。エッジーという言い方をしてもいいかもしれない。TAC-2のが音が若いのだ。

ちなみにデバイス類としてはA/Dコンバーターにバー・ブラウン製の「PCM4202」、D/Aコンバーターには旭化成エレクトロニクスの「AK4396」を採用していてTAC-2RとTAC-2は共通しているが、ボディの作り方や、端子を装着している部分の素材や剛性によっても音は変わってくる。

出力はTRSフォーン端子だが、TRSをRCAやXLRに変換できるケーブルを使えば、オーディオ機器との組み合わせでも問題ない

今回取材で用いたTRS-XLRケーブル、“NEO”「d+TXM classB」

対応している音楽ファイルはPCM系で、最高24bit/192kHzまで。DSDには非対応だが、再生ソフト側でPCM変換を行えば試聴できる。試しにDSDの音源として大友良英+高田漣の『BOW』から「It's Been A Long, Long Time」を聴いてみた。アコースティック・ギターの弾き語りに、紙を擦る音や電子音、木の箱に糸のついた木製のボールがコツコツと当たる音などが収録された、空気感たっぷりな録音だ。再生音の方向性としては基本的にDSD特有の空気感の良さも残しつつ、音像の実体感の高い再生だ。変換に無理な感じがないためか音像の輪郭には強調感がない。ギターの倍音の上品さが印象的だし、声にあたたかみを感じる。

ヘッドホン再生では反応の良いくっきりとした音を聴かせる

ヘッドフォン出力はゼンハイザー「HD650」を使ってテストした。300Ωのインピーダンスのヘッドホンだが、ポップスを聴くとボリューム位置は時計の針で12時くらい。クラシックで3時くらいだった。非常に反応のいい、くっきりとした音で、この部分にもバスパワーの電源の大容量さを感じるところだ。基本的にはスピーカーでの音の印象を踏襲するが、よりダイレクトで音楽に近い。


専用のコントロールソフト「TAC-2 MixEfx」も用意されているが、TAC-2RにはSteinbergの音楽製作ソフト『Cubase LE』も無償でダウンロードすることができるのも特筆しておきたい。音楽制作用の豊富な機能やデザインを持った、しかしホーム用としての音の良さも持っているTAC-2R。個人的にはデザインやサイズ感がキュートで、JBLのブルーのバッフルの大型モニターと組みあわせたいと思った。

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