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TAC-2の兄弟モデル

ZOOMのThunderbolt DAC「TAC-2R」をレビュー。より音楽制作向けの仕様を備えた新モデル

2014/12/05 鈴木 裕
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ZOOMは2014年、いちはやくThunderboltに対応したD/Aコンバーター「TAC-2」(特集ページ)で注目を集めた。このTAC-2をベースに、より録音や音楽製作向けの仕様を備えた新モデルである「TAC-2R」を、鈴木裕氏がレビューする。

ZOOM「TAC-2R」¥38,000円(税抜)

Thunderboltに対応したD/Aコンバーター

ZOOMのTAC-2Rは、アップル社のMacとの接続が主に想定されるD/Aコンバーターだ。一般的なUSB-DACであればUSBケーブルで接続するが、TAC-2Rではインテルとアップルが共同開発した規格であるThunderbolt(サンダーボルト)規格の端子とケーブルを使用する。つまり、TAC-2RはUSB-DACではなく、“Thunderbolt DAC”とでも呼ぶべき存在である。ちなみにMacであっても専用のドライバーソフトが必要で、ZOOMのもうひとつのThunderbolt DACであるTAC-2のドライバーと共通となっている。

TAC-2RをMac Book Proと組み合わせたところ

Thunderbolt DACとしての優位性

なぜUSBではなく、サンダーボルトを採用するかというと、そこに優位性があるからだ。Thunderboltの詳細についてはいろいろなところに紹介されているので割愛するが、伝送スピードの速さとバスパワーからの電流量が大きいという2つの優位性がある。速さについて簡単に言えばUSB2.0規格の20倍。バスパワーについてはUSBの2.5W/5Vに対して10W/18Vと4倍程度の電流量である。たしかにマイクを接続して、マイク用の電気(ファンタム電源)を流したり、マイク用のアンプ(マイクプリアンプ)を装備しているのでそれ用の電気が必要ではあるのだが、ホームオーディオの再生用として使ってもこの電源は魅力である。オーディオにおいて電源は基礎体力であり、潤沢な電気はダイナミックな再生のまさにミナモトであるからだ。

「TAC-2R」と「TAC-2」の違い

ところで興味のある方も多いと思うので、今回紹介しているTAC-2Rと、TAC-2の違いを説明してみよう。基本的に同じ値段だし、仕様を見ても違いがわかりにくい。そもそも中身は相当に共通している。

ZOOM「TAC-2」

簡単に言うと、より録音や音楽製作に向いているのがTAC-2Rということになる。こうした要素はオーディオ用途でThunderbolt DACとして使う場合は関係ない要素ばかりだが、せっかくなのでここで挙げておこう。TAC-2Rではインプット別にGAINコントロールがあり、CLIPインジケーターを装備。1イン/1アウトのMIDIインターフェースを持っている(このあたり、必要な方はわかっているし、不必要な方は説明しても伝わりにくいので説明は割愛)。また、入力された信号をモニターする時に遅延のないモニタリングが出来るダイレクトモニター機能も持っている。ただし、念のために付け加えればTAC-2でも音楽製作やステージの使用に堪えうる性能を持っているので誤解なきように。

もっとも大事だと思えるのは実際にテストしてみると、サンダーボルトDACとしてはTAC-2RとTAC-2では音質が若干違う点だ。後述するがこれが一番の眼目ではないかと思う。

TAC-2Rの背面端子部

TAC-2の背面端子部

ちなみに両機に共通して、アナログ出力の端子はTRSアウトプット(L/R)、いわゆるフォーン端子が使われている。ホームオーディオでは使われない方式だが、フォーン端子でもTRSはバランス接続ができるため、S/N感を稼げる優位性がある。ZOOM側の出力端子がTRSで、アンプ側がいわゆるキャノン、XLR端子の入力のケーブルというと、たとえばオヤイデによるNEOブランドから「d+TXM classB」が販売されていて、今回もこれをテストに使用している。

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