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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第103回】「秋のヘッドフォン祭2014」を高橋敦の“超”個人的ベスト5で振り返る

公開日 2014/10/28 10:08 高橋敦
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■半年に一度の風物詩! 高橋敦の“超”個人的目線で振り返る「秋のヘッドフォン祭2014」

革ブロの聖地である中野サンプラザも近年中の取り壊しが予定されておりほのかにさみしい今日この頃であるが、しかしいまのところはまだ健在!先週末にはおなじみ「秋のヘッドフォン祭り2014」が同地で開催された。例によって編集部による膨大なレポートがすでに掲載されているが、例によって本連載でも僕の個人的な注目ポイントを、例によって「超個人的ベスト5」として挙げさせていただこう。(ちなみに前回のベスト5はこちら

【第5位】ギターのオーダーメイド感覚!なヘッドホン

KuraDaの“響”「KD-FP10」は、ガッツリ大型でスクウェアなフォルムが印象的で、木材を活用したチューニングが施されており、また開放型なんだけれど開口部がメッシュではなくスリットになっている点など、ベーシックな部分としても面白いヘッドホンだ。

試聴用に並べられていた個体はこちら

しかしこのヘッドホンがさらに面白いのは「テーラーメイドシステム」を採用していること。つまりユーザーの好みを反映した上での受注生産だ。もちろん完全カスタムメイドではなく前述のような基本仕様やデザインは固定されているが、しかしブースの方にお話を聞いてみると変更できる部分は相当に多く、その選択肢もかなり幅広いようだ。

デフォルト仕様で仕上げ(塗装)を変更するオプションと、ここで紹介するようにもっといろいろ変更できる完全カスタムが用意されている

まずわかりやすいところではハウジングの素材。木製というのは決まっているが、その木材は様々から選べる。試聴機はハードメイプルとのことだが「加工に支障ないある程度の硬さのある木材であれば応相談」とのこと。例としてはウォールナットやエボニーといった樹種を挙げてくれた。またメイプルにしてもいわゆる「杢」の出たものを指定することも可能とのことだ。木材によって見た目の他にもちろん響きや重さも変わるので、その選択は音質や装着感にも影響するだろう。

メイプル製ハウジングの無塗装サンプル。指先でタッピングすると軽やかにコンと鳴る、良質そうなメイプルだった

そしてハウジング周りではもうひとつ、仕上げも様々なものから選択できる。試聴機のようなソリッド(塗り潰し)が基本で、基本色はいくつか用意されている。しかしオプションとしては色はおおよそ何でも選択可能とのことだ。このモデルには全く似合わないだろうが、極端な話ピンクでもよいとのこと。また先ほど挙げたような杢の出たメイプルのように木肌や木目が特に美しい素材を使う場合には、「クリア艶出し」仕上げがよいだろう。それ自体は白木であるメイプルを塗装で少し焼けた色合いに調整するといった調整も可能だ。

バーズアイメイプルのクリア艶出し塗装。なお四辺のスリットが開放型としての開口部(*写真は別モデルなのでアーム部等のデザインが異なる)

さらには和織物の貼り付けや漆塗りといったオプションまで用意されており、こうなるともう工芸品にも近い。

和織物による仕上げ

こちらは漆塗り

木材を選んで仕上げを選ぶ。この流れからエレクトリックギターやベースのセミオーダーシステムを思い浮かべた方もいるだろう。というか僕は思い浮かべた。それに限らずこういう「いろいろ選んで組み上げる」というミニ四駆的なアレは男の子心を刺戟するものだ。そんな感じで注目せざるを得ないアイテムだった。

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