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ゼンハイザー/SHURE/ベイヤーダイナミックの人気機種と組み合わせ

パイオニア初HPアンプ内蔵USB-DAC「U-05」×人気ヘッドホンスクランブルテスト!

公開日 2014/07/24 12:32 岩井 喬
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■ベイヤーダイナミック T1


ベイヤーダイナミック T1と組み合わせ
3台目は、600Ωと現行のヘッドホンの中で最もハイインピーダンスなベイヤーダイナミック「T1」である。繊細でキレ良い高域描写と厚みと引き締めのバランスが絶妙な低域描写が高い次元で融合したサウンドだ。ハイレゾ音源のオーケストラはほぐれ良く粒立ち細かく展開し、ハーモニーの緻密さや倍音のまろやかさが耳当たり良さに繋がる。余韻の涼やかさはクールかつ上品。ボーカルは肉付きをほんのりと感じさせるスマートな描写で、口元の艶はウェットだ。

音場の広がりや奥行き感については控えめで音像にスポットを当てた傾向にある。十分にドライブしきれている印象もあるが、T1本来の穏やかさや安定感という点はあまり感じられなかった。この点は製品版で改善されてくると思われるが、U-05の価格帯を鑑みるとむしろ相当健闘していると捉えた方が良いのかもしれない。さらにアッパーな価格帯のUSB-DACとも肩を並べることができる品の良いサウンドバランスであるといえるだろう。

アクティブスピーカーと組み合わせれば
シンプルなデスクトップシステムが完成


最後に本機のライン出力を利用し、コンパクトなアクティブスピーカーと組み合わせたデスクトップシステムでも試聴を行ってみた。アンプを内蔵したアクティブモニターと組み合わせることで、必要最小限のシンプルなサウンド環境を構築できることがこのシステムのメリットだ。

アクティブスピーカーと組み合わせれば シンプルなデスクトップシステムが完成する

用意したのはスタジオモニターとして世界的に知られているジェネレックの最新機、G Oneである。U-05は一般的なDACと同じ固定出力の設定も行えるが、フロントパネルに設けられた大型ボリュームによるプリアンプとしても動作可能だ。手元にU-05を置き、アクティブモニターの音量をコントロールするという点ではS/Nで優位なXLRバランス接続が有効だが、デスクトップ環境であればG OneのようにRCA接続しかできないモデルでも何ら問題ない。

スタジオモニター由来のタイトで引き締まった音像描写に加え、制動感高い低域の弾力が効いた押し出しが歯切れ良い。クリアで瑞々しいピアノやストリングスのタッチも適度な艶を持っており、しなやかだ。ボーカルは分離良くスマートな描写で、口元をシャープかつウェットに描く。ハイレゾ音源では空間の透明度が向上し、奥行きも見やすくなる。オーケストラの余韻も階調細かく、抑揚豊かなハーモニーが滑らかに展開。DSD音源ではサウンドステージも素直に目前へ広がり、S/Nや解像度の高さも体感的に実感できるほどキメが細かい描写を耳元へ届けてくれる。

ボーカルの肉付きも増し、むっちりとした弾力も持つ。倍音の艶やかさが煌びやかなタッチに繋がり、明瞭で押し出し良いゴージャスなサウンドも堪能できた。G Oneのサイズを感じさせない鳴りっぷりの良さとU-05の解像度の高さ、空間再現性の高さが相まって、デスクトップ環境を超えた音楽表現を味わうことができる。デジタルプリとしても多機能であるU-05があれば様々な設置環境にも柔軟にフィットしてくれることであろう。


次ページ価格を超えた恐るべき実力を秘めたモデルと言える

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