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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第88回】最新ハイレゾDAP全13モデル、音質・特徴・使い勝手を総まとめ<'14年上期版>

公開日 2014/06/12 11:29 高橋敦
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■Astell&Kern「AK100II」 


AK100II
▼実売目安|ー
▼高橋主観評価
 音質 |○*
 操作性|◎
 携帯性|○
 コスパ|ー

これは実機がまだ未完成かつ価格未定のため、音質とコスパの評価は(仮)または空欄だ。また特徴の多くは先行発売のAK120IIと共通であるので、そちらにまとめる。AK120IIとのスペック上の違いだけここで説明しておくと、

・DACがあちらはデュアル構成でこちらはシングル構成
・容量があちらは128GBに対してこちらは64GB
・サイズはこちらの方が縦がちょい短い

といったところだ。スペック的には普通に廉価版。廉価と言える価格になってくれるかは不明だが…。

開発中個体での音質はAK120IIと比べると、ちょうどAK100MKIIとAK120の場合と同じように、表現の余裕に差を感じる。今後の仕上げと、あとはAK120IIやAK120に対して魅力を感じられる価格設定に期待したい。なおAKシリーズはAK100MKII、AK120共に存続し、第二世代機と合わせて5モデルでの展開になるとのこと。



■Astell&Kern「AK120II」


AK120II
▼実売目安|20万900円
▼高橋主観評価
 音質 |◎
 操作性|◎
 携帯性|○
 コスパ|△

超ハイエンドAK240の開発からのフィードバックを生かしたというか、ざっくりとは「見た目とDSDの他はおおよそAK240」と言えないこともない、新世代AKシリーズのミドルレンジ。

Androidをコアにしながらもその上に自前で独自のシステムおよびユーザーインターフェースを構築し、それによってこれまでとは別次元の操作性を実現。例えばAK100MKIIのところで述べたプレイリスト周りの使い勝手も、曲の長押しドラッグ&ドロップからの自然な流れで様々な操作が可能になっているなど、快適。ポータブルプレーヤーの多くが「いまいちな独自インターフェース」か「スマートフォンのシステムの流用」であるところに、自社開発でこのレベルのシステムを用意してきた気概も評価したい。

ハードウェア面ではAKシリーズの外観と操作性の面でのポイントであるボリュームダイヤルはもちろん継承。より高精度なパーツによってカチカチとさらに心地よい感触を実現している。
そしてAK240と同じ2.5mm4極端子のバランス出力も搭載しており、それを強く推し進める意思も強く表明。

またWi-Fi対応は、本機単独でのハイレゾ配信サービスの利用(国内展開も鋭意進行中とのこと)のほか、PCに保存してある音源にネットワーク経由でアクセスしての再生、本機単独でのファームウェアアップデートもポイント。特にアップデートの件は地味ながらすごく便利そうだ。

さてAK100IIとの違いはAK100IIの説明を参照してもらうとして、AK240と比べた場合のポイントは、

・筐体デザインがAK100IIと同じくシンプル
・DSD再生がネイティブではなくPCM変換
・容量があちらの256GBに対してこちらは128GB

といったところ。それらに加えて音質の違い等も含めて、AK240との価格差をどう考えるかがポイントになるだろう。「もう20万も28万もどっちも高いよ!」的な思考からAK240に流れるのか、「8万円の差額でハイエンドイヤホンを買える!」とAK120IIに行くのか…。

その音質面だが、回路構成や使用パーツはおおよそはAK240と同様であるので、クオリティとしてもおおよそはそれに匹敵する。仮に無理矢理点数で表すと、AK240を100点としたらこちらも90点は超えており、その程度の差なら好み次第でひっくり返る可能性もありといった感触だ。

その「好み次第」な部分だが、AK240が音色の柔軟性やほぐれといった要素の充実でより豊かな音楽性を感じさせるのに対して、こちらはそれよりはもう少し、音をダイレクトにエッジも強めに出してくる印象。アコースティックなジャズやクラシックよりもエレクトリックなロックやポップスを好む僕としてはAK120IIの方が…と思いきや、僕は女性ボーカルを好むのでそこはAK240の方が…と個人的には実に悩ましかったりする。



■Astell&Kern「AK240」


AK240
▼実売目安|28万4,890円
▼高橋主観評価
 音質 |◎
 操作性|◎
 携帯性|○
 コスパ|○

第二世代AKの先駆けにして超ハイエンド超フラッグシップ。概要と音質については、このAK240の成果を落とし込んだAK120IIの説明を参照してもらえればと思う。音質と容量の他にAK120IIとの決定的な違いは、

・筐体のデザイン
・DSDネイティブ再生

の2点だ。

デザインについては完全に好みの問題と思うが、とにかく全くの別物でそしてAK240の造形は「特異」とさえ言えるものなので、比較検討する際にはぜひ何とか機会を作って実物を見てみてほしい。この造形にはまってしまったら、AK120IIとの価格差にも納得してしまうかもしれない(それを回避するために「あえて見ない!」という選択肢もあるが)。

DSDネイティブ再生はもちろん大きな優位だ。「DSDネイティブ再生&バランス駆動!しかもポータブルでな!」というインパクトは大きいし満足度も高い。その両方を満たすのは現時点ではこのAK240だけだ。

次ページ続いてソニーのハイレゾウォークマン2機種!

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