【特別企画】「ACP-2N」で調音を極める!
ヤマハ調音パネル「ACP-2N」で、Phile-web読者の自宅を音響改善!〜第二弾・8畳和室客間〜
私のACP-2N導入記 − 小幡寛さんの場合
私が音楽や映像を観たり聴いたりする部屋は、8畳弱の和室。理想の音場、音像定位感を求めるのであれば、小型スピーカーを使って、中音量くらいで聴くのが良いのだろう。しかし、100Hz以下の低音も聴きたいし、体でも音圧を感じたい。これもAVの楽しみの一つと思う。私はそれを叶えるために、大きなスピーカを据え付けて、出力の大きいアンプを付けた。しかし大きな音で聴くと、ブーミーになったり、定在波が目立ったりして、音像定位も揺らいでしまっていた。
これを改善しようとすると、何らかの調音材(道具)が必要となってくる。しかし、残念ながら我が家のAVルームは専用の部屋ではなく、子供の遊び場であったり、親や客が来た時の客間や寝室の役割も兼ねている。それゆえ、部屋に調音材を設置すると、より狭くなったり、部屋がゴチャゴチャしてしまう。そもそも置き場所を作ることが難しい。
そこで、この調音パネル「ACP-2N」である。サイズは約1200W×600H×30Dmm。面積はあるが、表面に大げさな凹凸などなく平らであり、厚みはたった3cmと薄い。見た目は普通のボードであり、雰囲気も大人しい。「いいねぇ」と思った。1枚当たりの重さも5kgとそこまで重くないので、自分で移動させることができる。後述するが、これは自分で片づけられるというメリットだけでなく、曲によって置き場所を変えられるというメリットも持っている。
さて、肝心な調音効果の印象について語りたい。パネルを置いてみただけでは特別な吸音感もなく、いつもの部屋のままであり、本当に効果があるのかと心配してしまうぐらいである。だが、音楽を聴きだすと、音の雑味がなくなり、スッキリした感じになったことがすぐわかる。「雑味」と書くと、ジャズファンにはいい音も含まれていると捉えられているかもしれないが、このACP-2Nは部屋の灰汁(定在波)をとってくれ、音を整えてくれている印象なのだ。
10通りの設置方法を試した!− 気に入った設置方法はコレ
部屋はほぼ正方形の約8畳の和室であり、中央部に3畳のカーペットを敷いている。スピーカーと椅子以外のものはあまり置いていない。角の2箇所にフロントSP(大)、反対の角から1m程離れたところリアSP(中)、フロントスピーカーの間にセンターSP(中)、右側にSW、フロントスピーカーの反対の壁の天井から50cm程下りたところにサランドバックSP(小)である。
今回貸出された4枚のACP-2Nを使用して、10通りの設置方法を試してみた。
1)フロントSPの裏に各1枚、センターに2枚
2)フロントSPの裏に各1枚、リアセンターに2枚
3)フロントSPの裏に各1枚、フロントSPとサラウンドバックSPの間に各1枚
4)フロントSPの裏に各1枚、フロントSPとリアSPの中央のサイドに各1枚
5)フロントSPの裏に各1枚、センターに1枚、左側のフロントSPとリアSPの間に1枚
6)フロントSPの裏に各1枚、フロントSPよりのサイドに各1枚
7)フロントSPよりのサイドに各1枚、センターに2枚
8)フロントSPの裏に各1枚、センターに1枚、リアセンターに1枚
9)フロントSPの裏に各1枚、リアセンターに2枚
10)フロントSPの裏に1枚、フロントSPとリア
以下に、私の気に入った設置方法を紹介したい。
1)音楽を聴く時
・ジャズや女性ボーカルものは、フロントSPの裏に1枚ずつ、フロントに1枚、フロントスピーカーとリアスピーカの中間の片側の壁に1枚設置した。
・ロック、ポップ、ジャズオーケストラはフロントSPの裏に1枚とフロントに2枚設置した。
2)映像を見る時
・フロントSPの裏に1枚、フロントSPに近い側のサイドに2枚設置した。
スピーカーを置く場所や向きで音が大きく変わるのは分かるが、我が家のスピーカーは50kg、スピーカーボードは15kgと重い。そのため、場所を変えたり、向きを変えたりして調整をすることは大変な作業となり、一大決心がいる。
それに対して、ACP-2Nは5kgちょっととほとんど重くない。そのため上述の通り、ちょこちょこ場所を変えて、設置位置によって聴こえ方を試せるので楽しい。私は試していないが、アイボルドが入れられる穴もあいているので、自由な高さに据え付けられる。なお、私の場合は8畳と広くない部屋であるため壁にたてかけて使用したのだが、少し不安定だ。そこで、付属しているT字のスタンドのほかに、L字型のスタンドもあれば嬉しいと思った。
曲ごとにどう聴こえ方が変わったかをレビュー!
最後に、ACP-2Nを設置することで、私の好きな曲がこれまでとどのように聴こえ方が変わったかを紹介したい。
ヘイリー・ロレン 『Blue skies』(アルバム「They Oughta write a song」より)
ヘイリー・ロレンは艶のあるジャズボーカリストである。これまで、ぼやっとセンターの上部で少し揺らぎ気味に聴こえていたヘイリーだったが、パネルを上述の5)(フロントSPの裏に各1枚、センターに1枚、左側のフロントSPとリアSPの間に1枚)の形に設置すると、歌っている場所がぐっと狭まり、しっかりとセンターの中ぐらいの高さで歌っているように変わった。
曲の1分ぐらいを過ぎたところでは、ボーカルが消えてインストとなるが、その間、ベースがセンターで「ガッシッ」と演奏しているのがわかる。一言、気持ちいい。小編成のジャズやジャズボーカルの曲では、低音の鳴りっぷりと、ボーカルやベースがしっかりと中央に定位した音像の両方を手に入れることができて感動した。
デスティニーズ・チャイルド 『Bootylicious』(アルバム「Survivor」より)
解散してしまったが、ビヨンセが率いた3人組みのグループである。中でもこのアルバムは元気がいい。これまでは、アップビートで迫力のある低音と元気なビヨンセの声を前面で聴いていた。
この曲では、パネルを上述の1)(フロントSPの裏に各1枚、センターに2枚)に設置して聴いてみた。面白い。低音のパーカッションや、スクラッチ音がセンターでビシッと鳴る。ビヨンセはちゃんとセンターで、ケリー、ミッシェルの声はサイドに聞こえる。またスキャットもところどころで入っており聴き分けられる。低音はボリュームを上げてもブーミーにならず、ノリはますます絶好調である。
ロック、ポップスやジャズオーケストラなどは、前面にもう一枚パネルを入れることで前面が全体的に調音された。迫力とともに空間的なつながりが出現し、音の移動などもわかりやすく聴くことができた。最高である。
私はこのACP-2Nのお蔭で、迫力を優先して機器を揃えためにあきらめかけていた音場感、音像定位感を取り戻すことができた。
(レポート/小幡 寛)
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