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PC+小型スピーカーで音楽を楽しむ

デスクトップで楽しむ高音質 − “ニュースタイルオーディオ”のススメ

公開日 2011/11/30 15:09 岩井喬
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リアルな音像定位や密度と音ヌケの良いサウンド

<スピーカー>
ODELIC SP0210
¥OPEN(予想実売価格96,000円前後・ペア)
<アンプ>
CAROT ONE ERNESTOLO
¥OPEN(予想実売価格39,800円前後)  
<DAC>
HRT MusicStreamer II
¥28,350(税込) 


個性溢れるデザイン性とカラフルなカラーリングというポイントからチョイスした組み合わせだ。透明度の高いガラスベースを用いたスピーカー、オーデリック「SP210」を中心に、アンプには手の平サイズのコンパクトなオレンジ色のアルミボディと真空管が目を惹くキャロットワン「ERNESTOLO」、PCとの間には赤い鮮烈なカラーリングのスマートな96kHz/24bit対応USB-DAC、HRT「MusicStreamer II」を接続した。

「SP210」はライティングダクトレールに設置できるユニークな小型スピーカーとして、照明機器メーカーのオーデリックがケンウッドとともに開発。その“Sound Zoom”シリーズのユニットを用いてデスクトップ上でも使うことができるようにしたモデルだ。重厚な光学ガラスを使ったベースはオプションのLEDライトアップベースによってクールな光の演出を加えることもできる。

別売アクセサリーと一緒に設置することでライトアップも可能

ライトアップ用アクセサリー。青色LEDの「SP0021」と白色LED「SP0022」の2種類を用意している

6cmウーファーの前方へ同軸上にレイアウトした2.5cmシルクドームソフトトゥイーターによって点音源化を図ったほか、内部音圧による振動を抑えた真鍮製バスレフダクトや独特なボディ形状によって定在波を抑制。サイズを超えた量感とワイドレンジで音のつながりの良いサウンド再生を実現させている。ボディカラーはマットホワイトと受注生産でブラック、シルバーも選択可能だ。

アンプの「ERNESTOLO」は上下2段に分かれたユニークな構造で、上段はヘッドホンアンプを内蔵する真空管(12AU7/6DJ8/6922)を用いたハイブリッド・プリアンプ、下段はデジタルパワーアンプという構成。電源を供給するACアダプターも出力が二股となった専用タイプを使用するほか、上下を繋ぐ入出力は内部で繋がっているわけではなく、背面のステレオミニプラグで接続するという完全なセパレートアンプとなっているのだ。

ERNESTOLO

ヘッドホンアンプは16〜300Ωまで対応しているので、管球ならではのサウンドもヘッドホンでダイレクトに味わえるが、これだけ小さくても6W×2(8Ω)のニアフィールドリスニングでは十分な出力を持つデジタルアンプを使えば、スピーカー再生も充分に堪能できる。

USB-DAC「MusicStreamer II」はバスパワー給電で駆動できるリーズナブルな96kHz/24bit対応モデルで、ジッター低減に効果のある非同期のアシンクロナスモードに対応している。音質に留意した特殊電源回路を搭載するほか、入力されたレゾリューションがLEDで確認できる使い勝手の良さが魅力のひとつだ。素直な音場感とS/Nや鮮度の良いストレートなサウンド性が特徴だ。

MusicStreamer II

この組み合わせではリアルな音像定位や密度と音ヌケの良いサウンドを味わえ、くっきりとした輪郭描写と弾力良く引き締まった低域が透明度の高い空間を生んでいる。

「SP210」の同軸方式による広帯域の点音源再生能力を堪能できるほか、制動感も充分でデスクトップ面の振動も控えめだ。全体的に瑞々しいウェットな倍音の艶やかさを持っており、「ERNESTOLO」の持つ真空管ならではのトーンがほのかに感じられる。

ハイレゾ音源では肉付き良く滑らかな質感のボーカルが色っぽく浮き立ち、音場は素直でクリアな鮮度の高い音像を描き出す。残響感も清々しく、生々しいハリに満ちている。

例えば将来的に音量調整付きUSB-DACなどを新たに購入したならば、「ERNESTOLO」のパワーアンプ入力に直接接続し、プリ部は「MusicStreamer II」や他のソースを入力し、ヘッドフォンアンプとして使うという一台二役の使い道も考えられる。発展性の高さと、土台のキッチリした煌びやかなサウンドを同時に味わえる組み合わせである。

インテリアデザイナーが見たスピーカーデザイン

ガラスを使って美しさを見せるという、ハッキリとしたデザインのスピーカーだ。透明感のある光学ガラスを加工していて存在感があるため、好きな人にはたまらないデザインだろう。例えば私と同年代、40歳代くらいの人はこのガラス加工という点に魅力を感じる人も多いかもしれない。

ガラスの土台にスピーカーをはめ込むスタイル

本業は照明メーカーということで、もしかすると「見た目を重視していて音質はイマイチなのでは…」と敬遠してしまうオーディオファンがいるかもしれないが、ケンウッドの音質マイスターが関わっていてデザインも音質面も安心できるという点もポイントだろう。

例えば「自分の好きなこだわりのデザインの椅子に座って音楽を聴く」であるとか、清潔感のあるシンプルな部屋を作っている人などが使っている様子がイメージできる。インテリアが好きな人には受け入れられる可能性が非常に高い製品だろう。

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