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PC+小型スピーカーで音楽を楽しむ

デスクトップで楽しむ高音質 − “ニュースタイルオーディオ”のススメ

公開日 2011/11/30 15:09 岩井喬
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アタック感の素早さが際立つサウンド傾向 − 分解能の高い鮮やかな音像

<スピーカー>
Anthony Gallo MICRO SATELLITE
¥48,300(ペア・税込)他 ※本体色による異なる
<アンプ/DAC>
NuForce Icon2
¥45,150(税込)

同じアメリカ西海岸に本拠地を置くAnthony GalloとNuForce同士を組み合わせたコンパクトシステムである。個性溢れる球体の小型スピーカー「MICRO SATELLITE」と、ユニークな縦型配置も可能なコンパクトプリメインアンプ「Icon2」は、いずれもカラーバリエーションのパターンが多く、個性的な色彩を組み合わせる面白さとともに、従来のようなごつごつとしたオーディオ然とした製品観を覆す提案でもある。

アンソニーギャロならではのこだわりが凝縮された「MICRO SATELLITE」は見かけのわりにずしりと重みのある直径10cmの金属製球体製で、歪みの原因となる内部共振や外部回折を排除。滑り止めとなるラバーリングを机上に置いてから本体を設置する。ユニットは7.6cmフルレンジを搭載し、このサイズでも充分な低域再生を実現させる独自の特許技術“S2テクノロジー”を採用。コバルトブルーやワインレッド、カナリーイエロー(カナリア色)といった個性的なカラーリングを含む7色(内一つはステンレス素材)が用意される。

全7色とカラーバリエーションが豊富な点も特徴のひとつ

続いてプリメインアンプである「Icon2」であるが、2代目となり、出力も倍増させ、96kHz/24bit対応となったUSB-DACを新たに内蔵したグレードアップ仕様のモデルだ。前面パネルには電源スイッチ兼用ボリュームとアイコン表示による入力切替、ヘッドホン出力といたってシンプル。スピーカーケーブルはLAN端子と同じRJ-45ジャックを使った専用品(スピーカー側はバナナ端子)が同梱されている。

ユニークなのはプリ出力が用意されているほか、ブルーやレッドといった4色のカラーリングが用意されている点だ。ヘッドホン出力はディスクリート構成のこだわりあるヘッドホンアンプを内蔵している。

Icon2も全4色のカラーバリエーションを揃えている

アタック感の素早さが際立つサウンド傾向で、分解能の高い鮮やかな音像を描き出す。クラシックの管弦楽器は元気良く押し出してくるが、ティンパニなどの低域に関しても量感よりは打感が中心となる。ホールトーンは澄みきっており、透明感の高い音場を提供してくれた。

ジャズにおいてはハードタッチなピアノとむっちりとした弦のハリの強さが際立つウッドベースがクリアな空間を作り出すが、ドラムのスネアは胴鳴りの太さも程良く感じられ、音がやせているという印象は受けない。女性ボーカルはクールなエッジ感を効かせた描写で、口元のハリは瑞々しく、独特な甘い余韻を楽しめる。

中高域にかけての密度感、安定感は高く、ロックのディストーションギターはフラッシーなピッキングを細やかに描き出す。ハイレゾ音源では音像の肉付きが厚くなり、落ち着きあるボトム感が生まれている。弦楽器やボーカルの口元はハリ艶良く優しげなタッチもより良く感じられた。

インテリアデザイナーが見たスピーカーデザイン

インテリアの世界でも今は「まわりの評価がどうであろうと好きなモノは好き」というこだわりの強い人が増えていて、好みのものであれば高いお金を出しても購入する傾向が強い。この製品は特徴的な球体デザインでカラーバリエーションも豊富なため、そういうこだわりのある人に向けて受け入れられやすいかもしれない。

付属のラバーリングを使っての設置(右)と別売のスタンドを使用した状態(左)

テーブルマウント。このほか床置き用のスタンドやウォールマウントなども用意されている

また、男性もそうだが、女性に受け入れられやすいデザインではないだろうか。もう一度インテリアの世界の話になるが、実は百貨店の化粧品売場でも四角くカチッとしすぎていると売れないと言われている。どこかに丸みを入れたりしておかないと、デザイン的に逃げ場がなくて女性に嫌がられるのだ。そういったことからも本製品の球形デザインというのは長所だと言える。

また、カラーバリエーションが複数取り揃えられているので、かわいらしいインテリアで部屋を作っている女性などでも合わせやすいというのもポイントだろう。スピーカースタンドを使わず、丸のままコロンと置いてしまったりできるところにもかわいらしさを感じる方もいるかもしれない。幅広い人に受け入れられやすいデザインとカラーバリエーションだろう。

【プロフィール】
山本 達雄 Tatsuo Yamamoto
インテリアデザイナー。1969年山口県生まれ。武蔵野美術短期大学部専攻科後、1995年から2004年まで「スタジオ80」に在籍し内田繁氏に師事。2005年に「Tatsuo Yamamoto Design Inc.」を設立。ホームシアターファイル誌とのコラボレーションプロジェクトなどを手がけた経験も持つ。


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