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PC+小型スピーカーで音楽を楽しむ

デスクトップで楽しむ高音質 − “ニュースタイルオーディオ”のススメ

公開日 2011/11/30 15:09 岩井喬
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おおらかで余裕のあるサウンド − 空間描写も広く奥行きを感じる

<スピーカー>
BIFROSTEC TGA-1B1/b
¥105,000(ペア・税込)
<アンプ/DAC>
KENWOOD KAF-A55
¥0PEN(予想実売価格25,000円前後)


タマゴ型キャビネットを持つスピーカー「TGA-1B1/b」とPCサイドに最適なコンパクトシステムの提案である「Prodino」のコアシステム(USB入力付きプリメインアンプ)である「KAF-A55」を組み合わせた提案である。

「TGA-1B1/b」は一見、似たようなタマゴ形状のキャビネットを持つ「TD307II」を縦型にしたようなスタイルであるが、そうしたタマゴ型スピーカーと大きく違う点として、キャビネットの曲率と同じカーブの振動板素材を用いたフルレンジユニットを用いていることだ。これによってスムースで滑らかな音の放射特性と広い指向性を実現しているほか、共振や定在波、反射などの影響が少ないので、時間のずれがない時間精度の優れたサウンドを再生することが可能であるという。

キャビネットの曲率と同じカーブの振動板素材を用いたフルレンジユニットを用いている

形状は黄金分割比から導き出されたものとなっており、振動板の素材には最新のマテリアルである、フラーレン/マイカ・ナノコンポジットをベースに使用。

前モデル「TGA-1B1」と異なるのは、高域の分割振動を引き起こすピークディップを抑えるため、振動板に塗布する新たなダンピング材として環動高分子材料を用いたSound Tuning Varnishを採用し、さらなる高音質を目指しているのだ。本体色も光沢あるブラックのみとし、安定性を強化したスタンドも付属する。

「KAF-A55」は「Prodino」用に開発されたアンプ部であるが、プリ部やパワー部をフルデジタルプロセッシングで構成した基本性能の高いデジタルアンプだ。天板と底板部にはヘアライン仕上げの肉厚アルミ材を用いていることに加え、側板には梨地仕上げアルミ押し出し材を用いた、小型ながら本格的な筐体を持っており、様々なシステムにも適合する懐の深い製品となのだ。

「KAF-A55」は横置きと縦置きどちらにも対応

専用のデジタルヘッドホンアンプを含め、各3パターンずつスピーカーやヘッドホン/イヤホンのタイプを選択できるモードや音質の好みを選で択きるサウンドモードも搭載。PCからの接続にはUSB入力を用いるが、光デジタル入力を含めて48kHz/24bitまでの対応となる。

その他、USBメモリーやSDカードを直接挿入できるスロットも用意されていたり、リモコンや縦置き型にも対応できるスタンドも付属しているので、非常に使い勝手の良いセンターシステムとして活用できる。

おおらかで余裕のあるサウンドで、空間描写も広く奥行きを感じる。音像は太く厚みを持っているが解像度も高く、クラシックでは低域制動の良い、パワーのある自然なハーモニーを味わえた。

ジャズでは優しいタッチのピアノやふくよかな胴鳴りを響かせるウッドベースのボトムも厚く、安定傾向でリッチな存在感に満ちている。定位もナチュラルで、ボーカルは口元のハリ艶を程良く浮き立たせるが、質感は素直な描写で、余韻は透明感が高い。トランペットソロではクールなハリの良さとウェットな艶も感じられた。

ロックのキーボードやギターワークはリッチな厚みがあり、ミュートプレイは深く響く。バラードでは倍音成分も程良く加わり、どことなくウォームな温かさを感じさせる。表情豊かに音楽を彩ってくれる、バランス感覚の絶妙なシステムだ。

インテリアデザイナーが見たスピーカーデザイン

以前にタマゴ型の照明の開発に携わったことがあるのだが、タマゴ型というのは意外と難しい形だ。本製品は完全なタマゴ型ではないが、おそらく音のことも考えてのことなのだろう。開発者の方の思いがどんな音として出てくるのか、個人的にも興味をそそられる。

背面端子部の様子

側面から見たところ

また、あまりスピーカー然とした見た目ではないため、人によってはこういったデザインのほうが受け入れやすいとも言える。本製品も球形デザインの一種なので、女性にもウケがいいかもしれない。

実は、震災があった影響もあるのか、今はカチッとしていたり尖っていたりするものよりも優しく包み込んでくれるようなデザインのほうが全般的に受け入れられやすいという流れにある。タマゴ型というのもそういった状況においてアドバンテージがあると言えるだろう。せっかくなのでデザインを合わせたアンプも作ってみて欲しいとも感じるスピーカーだ。

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