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主力製品開発者のトークセッションも

「ブランドの新しい歴史をつくる製品群」 − オーディオテクニカ新製品発表会

公開日 2013/10/10 22:34 レポート/山本 敦
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オーディオテクニカ開発担当者が語る「主力製品の開発秘話」

新製品紹介の後は、本日発表された主力モデルの開発設計者によるトークセッションも行われた。司会はJ-WAVEのナビゲーターやDJなどを勤めるサッシャ氏が担当。ゲストとして“ヘッドホン女子”の坂井香さんも登壇した。

主力モデルの開発設計者によるトークセッションが行われた

はじめに坂井さんが「今回のラインナップで一番気になる製品」として挙げた「SONIC FUEL」シリーズのカナル型イヤホン「CHXシリーズ」が話題に上り、開発を担当した黄智氏が説明した。


CHXシリーズの開発を担当した黄智氏
本機を開発した背景について説明した黄氏は「ハウジングやイヤーチップのかたちに特徴を持たせた。以前、イヤホンはオープンタイプが主流だったが、今はそれがカナル型に移っている。カナル型のメリットは耳の奥に入れるので、フィット感が高く、音が漏れにくいことだが、反面、外の音が聞こえないため街歩きでのリスニングに注意が必要なことや、長時間着けていると耳が痛くなるという弱点もある。一方のインナーイヤータイプでは、開放的な音が楽しめるけれど、音漏れがあったり、フィットが不足しがち。互いの長所を合わせたハイブリッドのイヤホンを開発したいと考えたことがきっかけ」と述べた。

イヤーチップの特徴を説明

本機の特徴の一つが、イヤーチップを取ると普通の開放型のインナーイヤホンになり、チップを付けるとカナル型のフィーリングが得られる“ハイブリッド・イヤーチップ”を採用した点だ。音質的な特徴について黄氏は「オープン型の開放感を持ちつつ、しっかりとビートの効いた低音が魅力」と説明する。


大柄な本体でファッション性をアピール
他にはデザインにもこだわり、大きなハウジングでファッション性を持たせた。坂井さんは「耳元を見れば、SONIC FUELのイヤホンを着けていることがすぐにがわかる。ファッションアピールもできる、大きくて目立つハウジングもよい」とコメントした。

またケーブルについても、被覆の外側に細かな溝をつくって、弾力性を持たせることで絡みにくくした「グルーブド・フラットコード」が採用されていることも特徴として紹介された。

同じ「SONIC FUEL」シリーズのオーバーヘッドホンについては、國分裕昭氏が解説を行った。シリーズの最上位モデルであるアンプ内蔵型の「ATH-OX7AMP」を中心に開発ストーリーが語られた。

「SONIC FUEL」シリーズのヘッドホンを開発した國分裕昭氏

本機が開発されたきっかけについては「ヘッドホンアンプを、プレーヤーとヘッドホンの3点セットで使う方が増えている。そうであれば、ヘッドホンの中にアンプをいれてしまえば良いのではないかと考えたことが、商品企画の始まり」と國分氏は述べた。

アンプの効果については、プレーヤー側から送られてくるノイズも増幅させないよう、内部の回路をシンプルにして、音楽再生に必要な信号だけ増幅する設計にしたことが一番大きいのだという。アンプを本体に内蔵することの難しさについては「ハウジングの中は空気の容積が必要だが、そのスペースにアンプを最適なかたちで配置することが難しかった」とした。

ATH-OX7AMPを装着した坂井さん

本体のデザインについては、シリーズの特徴であるアグレッシブな外観を心がけたという。装着性を高めることにもこだわり、通常ヘッドホンを装着した際には頭部との接点がイヤーパッドとヘッドバンドの計3点ほどになるが、本機の場合はヘッドバンドの凹凸を少なくして、スムーズなアールを描くデザインにしている。頭との設置部分を増やすことで、装着時の疲れを減らすための配慮によるものだ。

続いてBA型イヤホンのフラグシップ「IMシリーズ」を、開発担当の田久保陽介氏が紹介した。


IMシリーズ担当の田久保陽介氏
トークの司会を務めたサッシャ氏は、ラジオのナビゲーターの仕事でも、オーディオテクニカのBA型ハイエンドモデル「ATH-CK100PRO」(関連ニュース)を愛用するユーザーであるという。それだけに、今回発表された後継機種の「IMシリーズ」に大きな期待を寄せていると語った。


IM04を装着する坂井さん

クアッドドライバーのネットワークを解説
「今回発表したATH-IM04は、これまでのオーディオテクニカのラインナップになかった“クアッドドライバー”(4基)モデル。低域用のドライバーを追加して、さらに低域の量感をアップさせた点が特徴」とした田久保氏。複数のドライバーをコンパクトな本体に搭載することは難しかったのでは?というサッシャ氏の質問に対して、田久保氏は「IMシリーズでは、全部で10種類のそれぞれ全く違ったユニットを開発して、搭載している。IM04についても、ベストの音質にするためドライバー、ネットワークを最適なものにして、音のデザインも精査してきた」と開発の苦労を語った。

IMシリーズのターゲットユーザーについて、田久保氏は「プロの方にも満足いただける。私が開発を担当したCK100PRO、CK90PROを使っていただいている方に、進化を感じてもらいたい」とした。

最後にカートリッジの新製品について、開発担当の小泉洋介氏が説明を行った。


アナログカートリッジを担当する小泉洋介氏
創業時代にレコードの針を主力商品としてきたオーディオテクニカでは、CDの登場以来、数は減っているものの連綿とレコード針の生産を続けてきた。「アナログを愛聴してきた世代が、オーディオにカムバックしていることや、若い世代の間にもアナログで音楽を聴く人が増えていることから、当社としてはアナログ関連製品の生産を今後も続けていく必要があると考えている」と小泉氏は述べた。

新製品の特徴について、小泉氏はブランド創立50周年モデルとして発売されたMC型カートリッジ「AT50ANV」を引き合いに出しながら、「空新型MCカートリッジとして発売したAT50ANVは、ナチュラルで透明感のある音が特徴だった。新製品のAT-ART9は鉄芯型のフラグシップだが、情報量の多さは同じながら、特有の密度感のある音を特徴としている。回路設計の効果により中低域の音がソリッドで、響きが良い」とそのキャラクターを紹介した。

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