自社ブランドM&M DESIGNでケーブルやアクセサリーも展開

<カーオーディオショップ探訪>“世界”を見据える高知の専門ショップ、ガレージショウエイを訪ねる

2023/04/27 ファイルウェブ編集部・筑井真奈
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高知県高知市に店を構えるガレージショウエイは、吉岡正浩さんが店主を務めるカーオーディオ&カーナビの専門ショップ。全国各地のカーオーディオコンテストの審査員を務めるほか、昨今はYouTubeでの情報発信にも力を入れるなど、日本のカーオーディオ市場をリードするお店として一目置かれる存在である。

ガレージショウエイ代表の吉岡正浩さん

ガレージ ショウエイは1989年(平成元年)の9月にお店をオープン、今年で34年目を迎える老舗ショップ。アメリカのカーオーディオコンテストでの優勝実績を誇る吉岡さんのサウンドチューニングの腕を頼りに、四国のみならず岐阜や長崎など、全国からオーナーが車を持ち込んでくる。

高知県高知市のガレージショウエイ。1Fがショップと施工作業などを行うガレージとなっている

2000年にアメリカのカーオーディオコンテストで優勝した際のニュース記事

四国4県はついひとくくりに考えがちだが、中央は四国山脈で分断されており、中国地方や淡路島などとの船便や陸上交通も発達した他県に比べると、高知は文字通り「陸の孤島」。それ故に独自の文化を育んできた側面もあるようだが、“わざわざ”高知まで車を持ち込みたい、と思わせるだけの人間的魅力が、吉岡さんには溢れている。

吉岡さんのポリシーは明確だ。「意味を考えてやること」、ただそれだけだ。音が良いとはどういうことか、車の構造はもちろんアンプやスピーカーといったオーディオの仕組み、カーオーディオをどのように楽しみたいか、一番基本的なところから研究を重ねて理論と実践を積み上げていくスタイル。だからこそ、30年以上もブレない筋を通し続けることができるのだ。

「お客さんがライバルです。いつだって真剣勝負。高知には他にもカーオーディオショップがありますが、彼らはライバルと言うより、カーオーディオを盛り上げていくための仲間という感じ。それより、ウチに来てくれたお客さんにどれだけ“音”で納得してもらえるか、それが毎日の真剣勝負なんです」

デモカーを聴かせてくださいとお願いすると、案内された先には日産ダットサントラック。ショップデモカーといえば、BMWかアウディか、あるいはレクサスか……を期待しているところにまさかのトラック。しかもレトロ。「ホントにこれ?」と半信半疑ながら聴いたそのサウンドは……これまで聴いてきたカーオーディオの音の常識をひっくり返されるほどの衝撃があった。

ガレージショウエイのデモカー、日産のサニートラック

文字通りトラック。荷台にバイクを載せてツーリングに出かけることもあるそう

「施工費込みで、11万円ぽっきりのウェルカムセットです」と吉岡さんは笑うけれど、文字通りこれは「11万円の音」ではない。DAPでもなくハイレゾでもなく、再生機器はCDプレーヤー、ダッシュボード上のトゥイーター&ドアウーファーを、audisonの2ウェイキット「AV K6」に変更しただけ、というもの(おそらく車内の各種チューニングは別になされているものと思われる)。

ダッシュボード上にaudisonのトゥイーター「AV K6」をポン起きしただけ

ハイエンド化が進むカーオーディオの世界であるが、ホンの10万円ちょっとでこれだけの世界が楽しめるなんて、これぞまさに「オーディオの夢」。吉岡さんはこの車にバイクを積んで各地のツーリングに出かけているそうで、“自分が運転しているときに聴きたい楽しい音”と目的がはっきりしているのも、自由闊達なこの音の魅力につながっているのかも。

ドアウーファーもaudisonに交換

吉岡さんは、お店と並行して「M&M DESIGN」というオーディオブランドの運営も行っている。2010年に設立して今年で13年目。「店をやっているから、お客さんや店が欲しい物が一番分かっているんです」。主力はオーディオケーブルだが、ターミナルからインナーバッフルまで、カーオーディオに必要なパーツをさまざまに用意している。

M&M DESIGNのRCAケーブルとUSBケーブル

ちなみにM&MとはMusic&Materialという意味だそう。素材をしっかり検討して、音にきちんと反映させていくこと。すべて吉岡さんの手作りで、工房でひとつひとつ作成、緩衝材のセットから箱詰めまで全部吉岡さん自身が行って全国に出荷している。

箱詰めまで全部吉岡さん自らが行って全国に出荷する

M&M DESIGNのケーブルは、安いものでは1.0mで数千円から、高いものは18万円程度と豊富なラインナップを揃えている。「ケーブルはどうやって音を仕上げるかの方程式があります。それに従ってやっているだけですから、高いものから安いものまで、きちんと出音に反映できるケーブルを作ることができるんです」

最新のヒット商品について伺うと、「M&M静音加工の引き合いがとても強いですね」。タイヤからのロードノイズやエンジンルームからの雑音を減らすことで、車内環境を整えより音楽を楽しむことができるようにすること。「SBM-500」というアルミとブチルゴムのシートをタイヤホイールやインナーに貼り込むもので、とにかく粘着力が強力。ちょっとやそっと走ったくらいでは剥がれないので、効果が長持ちすることもポイントです、と吉岡さん。

M&Mのオリジナル静音シート「SBM-500」。ハサミで適当なサイズに切り取り、タイヤ周辺などに貼り付けて使用する

昨今はYouTubeを見てガレージショウエイを知り、車を持ち込んでくるユーザーも増えているという。YouTubeのチャンネル名は「エム アンド エム デザイン【M&M DESIGN】」。2年ほど前からスタートし、おおよそ1週間に1本のペースで動画をアップし続けている。デッドニング加工の実際の手順や、静音処理のありなしによる音の違い、「11万円ぽっきりプラン」の詳細など、ここまでノウハウを開示していいのか、と思うほど充実した内容。なるほどカーオーディオのチューニングはこのようになされているのかと勉強になることも多い。

取材時には、スタッフの前田さんがお客さんのカローラの施工を行っていた。ちょうどウーファーボックスを作成しているところ。このあとピラーにトゥイーターを取り付け、M&M静音加工を行ってお客さんにお返しする予定

吉岡さんはアメリカのコンテストに挑み、M&M DESIGNという自社ブランドを設立し、またいまYouTubeという新しいツールを活用してカーオーディオの可能性を広げ続けている。そんなパッションもまた、狭い島国を飛び越え太平洋に対して開かれた、高知の土地柄によって育まれたものなのかもしれない。

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