スピーカーケーブルは介在に絹を採用

クリプトン、PCOCC-A採用の同社初スピーカーケーブルと木製オーディオボード

公開日 2014/05/20 15:45 ファイル・ウェブ編集部 小澤貴信
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(株)クリプトンは、同社初となるスピーカーケーブル「SC-HR1000M/50」、およびエントリークラスに位置づけられるオーディオボード「AB-333M/B」を6月下旬より発売する。価格は「SC-HR1000M/50」が8,000円/1m(税抜)、「AB-333M/B」が22,000円(税抜)となる。詳細は以下の通り。

■同社初のスピーカーケーブル「SC-HR1000M/50」

端末処理を行った「SC-HR1000M/50」

「SC-HR1000M/50」の1ロール(1,000m)

スピーカーケーブル「SC-HR1000M/50」は、同社のハイレゾ対応アクセサリー「HRシリーズ」に、USBケーブル、電源ケーブルに続く第三弾のケーブル製品としてラインナップされた。スピーカーケーブルを手がけるのは同社としては初。導体には、古河電気工業が2013年いっぱいで製造販売を終了した単結晶銅素材「PCOCC(関連ニュース)」を採用している。

導体にはPCOCCをアニール処理した「PCOCC-A」を採用。ケーブル構造は、0.18mmのPCOCC-A単線を23本を束ね、その束6本を1.0mmφのポリエチレン線を中心にロープ撚りを施し、ケーブル全体を撚りと逆方向に絹糸で横巻きに密に締め付けたあと、絶縁処理を行っている。外形は11.5±0.6mm、最小絶縁抵抗は50MΩ/km(20度)となる。

SC-HR1000M/50の導体構造

発表会で製品説明を行った(株)クリプトンの渡邉氏によると、こうした方法では、中心の1束の線材に対して合計6つの束の線材を撚っていく構造(合計7束の導線を使う)が一般的だという。しかし、その場合だと中心の1束のみ撚らないために、他の6束と長さが変わってしまい信号伝送上好ましくないという。そのため、今回のケーブルでは中心に電気を通さないポリエチレンを配置し、その周りにロープ撚りで6束の導体を配置するという手法をとったという。

介在には絹糸を使用

導体の周囲にも絹を巻き、制振性を高めている

また、この6束の導体の上を3本の絹糸で横巻きにすることで、振動しないように押さえ込んでいる。しかも、リジットに巻いてしまうと固くなりすぎるため、手巻きのように適度な強さで巻いているのだという。渡邉氏によれば、これは世界的に見ても例のない手法であるとのこと。

なお、HRシリーズの電源ケーブルでは本田西陣による高級織物の裏地に用いる撚り糸を用いていたが、「SC-HR1000M/50」では上記の構造のために細い絹糸を用いる必要があり、撚っていないそのままの絹糸を用いた。

(株)クリプトンの渡邉勝氏

渡邉氏は、「絹がこのケーブルにおけるひとつのキーワード」とコメント。木綿は電気を貯め込み放電するという性質を持っているが、絹は物理的に電気を貯め込まない性質のため、介在に用いる上で大きな利点がるとも語っていた。また、絹は発火点(温度)が400度と高く(木綿は200度)、大量に電気を流すケーブルに用いるのには好ましいとのことだった。

介在には、振動を排除するために上述と同じピュアシルクの絹糸を採用。天然素材の絹は静電気に強く柔軟性と弾性を併せ持つため、介在にも最適な素材とのことだ。

最終外被膜には、巻くことによりケーブル全体が引き締まり不要な振動を軽減するモノフィラメントプレート(メッシュ)を用いている。これもHRシリーズの電源ケーブルで採用されたもので、後からケーブルを通すことを前提にゆるめに作られる通常のメッシュとは異なり、メッシュのテンションによる高い制振性を実現している。

生産販売が終了されたPCOCC-Aを導体に用いたことについては、「広いダイナミックレンジと高いS/N、低歪率、高伝導率という安定した電気特性を持つPCOCC-Aは、依然として魅力的な導体」とのこと。古河電気工業からPCOCC-Aの最終ロットを買い取った際に、この貴重な導体を何に使おうかという話になり、それならばクリプトン初のスピーカーケーブルに採用しようと決まった経緯があったのだという。渡邉氏は「値段は高くなるが、それ以上の音質向上は望める」ともコメントしていた。

なお、「SC-HR1000M/50」を取り扱う販売店では、熱収縮チューブをもちいた端末処理まで行ってくれるとのこと。加えて、端末処理済みのケーブルにYラグやバナナプラグを付けた製品を、同社直販サイトで受注販売することも予定している。

■ベースにゴムの木を採用したオーディオボード「AB-333M/B」

「AB-333M/B」は、自然材の響きをフルに活かしたオーディオボードとなる。オーディオボードのベース部には、同社のスピーカースタンド「SD-1」でも採用されたゴムの木を用いた高密度のランバーコア合板を採用。表面材には、高級家具で採用され、同社のスピーカーシステム「KX-3M」などでも使われているモアビ(南洋桜)材を用いている。本機はモアビ色「AB-333M」とブラック色「AB-333B」の2色を展開する。耐荷重は100kg。外形寸法は450W×30H×400Dmm、質量は4.0kg。

「AB-333M」

「AB-333B」

オーディオボードは同社アクセサリーの中でも中核となる製品だが、従来のモデルは、鉄球サンドを内部に封入した重量のある製品が中心。また、HRシリーズにラインナップされたオーディオボードは、ネオフェードによるカーボンマトリックス3層構造を用いることで、薄型・軽量かつ高性能を実現したが価格的には非常に効果であった。今回登場した「AB-333」はこれらボードと異なり、価格を抑えながら軽量・薄型を実現した。

ベース部はゴム材、表面部はモアビ材で構成

なお、ベースに用いられたゴム材は、水に入れると沈むくらいの比重で振動に対しても強い。自然材ならではのナチュラルな響きも魅力だという。また、ゴム材は、ゴムを採取し切ったものが伐採されるので、価格的にもリーズナブルとのこと。

音質的には徹底的な制振を特徴としたオーディオライクな上位モデルに対し、本機は自然材の響きを活かした軽やかさなサウンドが魅力。渡邉氏は「作り手の勝手な意見だが、HRシリーズなどのハイエンド機はまさにオーディオ向けであり、一方でAB-333の軽やかな音質は音楽マニアにこそ好適なのでは」とも説明していた。

発表会では同社の濱田社長も挨拶。「クリプトンのオーディオは、そもそもがアクセサリーから始まりました。今回は最高のスピーカーケーブルを作りたいという目標を実現させ、リーズナブルなオーディオボードも登場します。HQMのハイレゾ音源とともに、音楽の世界を変えていける力になれたら」とコメントしていた。

クリプトン 濱田社長

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