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MIDEMレポート(2) − 音楽制作者に“ハイレゾ”の魅力をアピールしたソニー

山之内 正
2014年02月05日
国際音楽産業見本市「MIDEM」は50年近い歴史を誇る音楽イベントだが、ソニーがメーカーとして参加したのは意外にも今回が初めてだという。もちろんソニー・ミュージックなどグループ内のソフト会社はほぼ毎年参加しているのだが、エレクトロニクスメーカーとしてのソニーがMIDEMで製品をアピールする機会はこれまでなかったのだという。

ソニーはMIDEMの会場ではひときわ目立つ存在だ。中心となるのはメイン会場のリヴィエラホール入口付近に設置した展示ブースで、ここでは来場者にハイレゾオーディオの優位性をアピールした。MIDEMは音楽をテーマにしたイベントにも関わらず、実は会場内で音を出しているブースは多くない。ヘッドホンと液晶テレビでのデモンストレーションを行っているブースはあるが、ソニーのようにアンプやスピーカーを設置して来場者に音楽を聴かせる例は珍しく、目を引くのだ。


ソニーブースはハイレゾオーディオを全面的にアピールした
ハードウェアの展示はHAP-Z1ESとHAP-S1を核にしたオーディオシステム、ウォークマン、リニアPCMレコーダーのPCM-D100など、ハイレゾオーディオの製品群が中心を占める。また、ミュージックビデオレコーダー「HDR-MV1」を用意し、音楽ビデオを手軽に撮影できるメリットを紹介していたのが興味深かった。


HAP-Z1ES、TA-A1ES、SS-NA2ESを組み合わせた高級システムでハイレゾ音源が試聴できる。
デモンストレーション用に既存の楽曲だけでなくオリジナル音源を用意したことも注目に値する。開幕初日の夜に収録したライヴ音源がその一例で、ソニーの機材を使って同社のスタッフが自ら録音、録画した素材を試聴音源として活用していた。

収録はMIDEM会場近くのアイリッシュパブで敢行。日本のインストゥルメンタル・ロックバンド「LITE」のステージを8台のHDR-MV1を駆使して収録し、翌日には早くも編集を終えて会場でデモンストレーションを行っていた。コンパクトなHDR-MV1の機動性を活かし、ミュージシャンのすぐ近くまでカメラが迫っていて、完成した映像は臨場感が半端ではない。今回のライヴレコーディングは、マルチカメラ収録が意外なほど簡単に実現できることを具体的にアピールしたことにも意味がある。


一脚に取り付けたHDR-MV1を駆使して撮影。HDR-MV1は計8台使用した。

HDR-MV1を活用するとこんな大胆な角度からも撮影できる。
PCM-D100を使って同じライヴをDSD2.8MHzで収録した音源は、HAP-Z1ES、TA-A1ES、SS-NA2ESを組み合わせた本格的なハイレゾシステムでも試聴することができた。ロックとDSD録音は意外な組み合わせに思えるが、特にドラムの立ち上がりが鋭く、LITEの演奏の切れの良さがダイレクトに伝わり、予想以上に相性がいい。高めの位置からドラムを狙うことで、ベースやギターとのバランスは会場で聴くよりもむしろ良好に感じる。バンドのすぐ近くで録っているとは思えないほど楽器の定位が自然で、ハイハットの音像定位の良さなど、ステレオイメージがクリアに浮かぶことにも感心した。


PCM-D100(右)は高めのスタンドに固定してDSD収録に使用。
既存の音源でもハイレゾ音源のメリットは確実に聴き取れるが、ライヴで録った音のデモはハイレゾの優位性がわかりやすく、説得力がある。MIDEMの会場にはミュージシャンをはじめとして音楽制作に関わるプロフェッショナルが多数訪れていたが、彼らにハイレゾオーディオの価値を伝える場を提供した意味は大きい。

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