“オーディオマニア禁制イベント”「my-musicstyle」に行ってきた

2007年09月04日

『オーディオマニア禁制』と銘打って開催された、初心者・若者向けのオーディオイベント『my-musicstyle』。その第一回は、本年4月21日『TKP銀座』にて行われた。

通常のオーディオイベントとは違い、ポピュラーな音楽に寄り添ったオーディオの提案として、来場者にも音源を持ち寄ってもらい、リクエスト形式でシステムを鳴らしていくというもの。普段PCや携帯音楽プレーヤーなどで聴いている音楽がどのようにレベルアップして聴こえるのか、なかなか専門ショップまで足が向かないという人にとっても、気軽に高音質を体感できるイベントとしてスタートしたのである。

第一回では来場者の流れが途切れぬほどで、会場内ではイスに腰掛け、かなり長い時間そのサウンドに耳を傾ける方も多く見受けられた。さらにはイベントのポスターを見てふらりと会場に訪れる方、ほかに持ち歩いているiPodをそのまま会場内のシステムに接続し「ここまで音が良くなるのか!」と感心される来場者の姿もあった。


会場内より入口方面を臨む。常に人の往来がある混雑振りであった
そして第二回となる『my-musicstyle』vol.2が9月1日、東京・原宿『EX‘REALM』にて開催された。流行の最先端、若者文化の発信地でもある原宿に場を移し、より音楽が身近にある世代への訴求性を高めることができる点。そして前回よりもかなり広めとなるスペースの確保したことで、さらに幅広いシーンに対応できる、性格の違うオーディオシステムを複数用意することができるようになった点が大きく変わったポイントといえる。

今回、システムにテーマを持たせて組み合わせが考えられているのだが、明るく爽やかなサウンドの『POP&FUN』、音作りが見える、シャープさとワイルドさを押し出した『HEAVY』、歌も含め、全ての楽器が美しく、瑞々しく鳴らす『ALL MIGHTY』、メロディとリズムの両立を目指した『ROCK』、PCデスクトップミュージックも意識した『COMPACT』、クラブ系サウンドなど、空間性を意識した『AMBIENT』、バラードなどを静かに、ゆったりと恋人同士で聴くことも考慮した『LOVERS』という合計7つの組み合わせが用意された。

【各システムの使用機器】


『POP&FUN』『HEAVY』『ALL MIGHTY』のシステムが並んだメインステージ。このときは『POP&FUN』システムの試聴時だ。明瞭度と広がりが魅力のサウンドが展開される
『POP&FUN』
(SP:「ANTHONY GALLO Reference AV」、AMP:「PRIMARE I21」、CD/SACD:「ソニー SCD-X501」)

『HEAVY』
(SP:「Vienna acoustics S-1G」、AMP:「ソニー TA-F501」or「CEC AMP3300R」、CD:「LUXMAN D-N100」)

『ALL MIGHTY』
(SP:「DALI IKON1」、AMP/CD:「KENWOOD Esule R-K1」、AD:「COSMO TECHNO DJ-4500」)

『ROCK』
(SP:「CERWIN-VEGA! VE-5M」or「Klipsch RB-51」、AMP:「CEC AMP3300R」、CD:「PRIMARE CD21」)

『ROCK』システム。このときはスピーカーが「Klipsch RB-51」に置き換えられている。iPod nanoとの組み合わせて迫力がありつつもまとまりの良いサウンドとなっていた

『COMPACT』
(SP:「Highland AUDIO Seis 1201」、AMP:「DENON PMA-CX3」、オーディオPC:「ONKYO HDC-1.0」)

『COMPACT』システム。デスクトップを意識し、iPodとの接続やPCへの音声取り込みも念頭に置いた高音質サウンド作りだ。サイズを感じさせない十分な音量に満足していた来場者も多かった

『LOVERS』
(SP:「YAMAHA Soavo-900M」、AMP:「LUXMAN SQ-N100」、CD:「DENON DCD-CX3」、AD:「DENON DP-300F」)

『LOVERS』システム。会場内スペースの囲まれた部分を活用してセッティングされた。管球サウンドと穏やかな傾向のシステムバランスで耳馴染みの良いものであった

『AMBIENT』
(SP:「SOLID ACOUSTICS ASSAM pekoe」、AMP/SACD/CD:「Pioneer Z7」、AD:「MICHELL ENGINEERING TecnoDec」)

『AMBIENT』システム。CDからiPod、レコードも試聴できる環境となっていたこの組み合わせも人気があった

無指向性の「ASSAM pekoe」に興味を持つ方も多数あり、熱心に説明を受けていた


ヘッドホンコーナーでも順番待ちができるほど好評であった。中には高級なマイ・ヘッドホンを持ち込んでいる来場者の姿もあった
AMBIENTに関しては会場のほぼ中心部にリスニングポイントが用意され、正面ステージ上にセットされたスピーカーと背後にあるサブウーファーによってバランスを取ったサウンド作りをしていた。このほかに、「ヘッドホン試聴コーナー」も設けられ、iPodドックを接続したCDレシーバー、ONKYO「CR-D1」やYAMAHA「CRX-E320」、KENWOOD「R-K700」やヘッドホンアンプ、CEC「HD53R」、KENWOOD「KA-S10」がセッティングされ、ヘッドホン audio-tecnica「ATH-W5000」などでも普段聴く音楽を高音質で試聴できるようになっていた。

開場時間である11時から次々に来場者が訪れ、お昼過ぎには音出しをしていないブースにも人が集まるほどで、イベント終了となる19時まで人の流れが途切れることのない、大入りの状況であった。

イベントにおける試聴スタイルとしては、入場時にアンケートと試聴したいシステムを伝え、整理番号順に希望のシステムを鳴らしていくという方法で、常にどれか一つのシステムだけで音が出ているというもの。その分、どんな音楽をどのシステムで聴いているかが来場者にもすぐに分かるという状況で、自身の順番待ちの間、若しくは試聴が終わった後もその場に留まり、多種多様な音楽とシステムの音を堪能する方の姿が多かった。

来場者の年齢層も場所柄を反映してか、20〜30代の若者を中心として男女偏ることなく来場しているように感じられた。クラシックやジャズが流れた事もあったが、宇多田ヒカルやELLEGARDENなど圧倒的に邦楽ポピュラー系ソースの試聴が多く、中には「宇宙戦艦ヤマト」「SoundHorizon」といったアニメ系サウンドがかかることもあり、一瞬会場内の注目を集めるという一幕もあった。ほかにもクラブ系サウンドやヘヴィ・メタル/ハードロック、トランスミュージックと非常に幅広いサウンドが会場内を満たしていた。

実は私もこの第二回よりイベント運営スタッフとして微力ながらもお手伝いさせていただいたのだが、若年層のオーディオ離れが取り立たされている中、これほど多くの人が興味を持って会場に訪れていることに嬉しさを覚えた。イベントとしては“大成功”という言葉しか見当たらない今回の『my-musicstyle』vol.2であったが、メーカーの垣根を超え、スタッフすべてが一丸となって取り組んだ結果であったと思う。そして若い人たちへのオーディオ文化普及と音楽をより良い音で聴くことの重要性を訴え続けてきた、本イベント主催『ザ・ステレオ屋』の黒江昌之氏が地道に蒔いてきた種が“芽を吹いた”瞬間であったようにも感じた。

「普段聴いていた音楽がこういう風に聴こえるんだ」とか「改めてオーディオの購入を考えたい」という感動の声以外にも、「自宅だとなかなかイベントのような大きな音量では鳴らせない」「たとえセットで10万でも高く感じる」という声も聞こえてきた。もちろんこういった来場者の感触に応えるべく、『my-musicstyle』も次回に向け、さらに若者にも受け入れられる、音楽に寄り添ったオーディオシステムの提案を念頭にしたイベントを企画していくとのこと。まだ歩み始めたばかりであるが、この流れがオーディオメーカーも取り込み、次世代に向けたより良い製品作りと市場活性に繋がって欲しいと強く思う。

(岩井喬)

執筆者プロフィール
1977年・長野県北佐久郡出身。東放学園音響専門学校卒業後、レコーディングスタジオ(アークギャレットスタジオ、サンライズスタジオ)で勤務。その後大手ゲームメーカーでの勤務を経て音響雑誌での執筆を開始。現在でも自主的な録音作業(主にトランスミュージックのマスタリング)に携わる。プロ・民生オーディオ、録音・SR、ゲーム・アニメ製作現場の取材も多数。小学生の頃から始めた電子工作からオーディオへの興味を抱き、管球アンプの自作も始める。 JOURNEY、TOTO、ASIA、Chicago、ビリー・ジョエルといった80年代ロック・ポップスをこよなく愛している。

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