D&M、マッキントッシュ・ジャパンを設立 − 記念モデル「MA6900G」も発売

公開日 2007/03/22 15:41
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

(株)ディーアンドエムホールディングスは、100%子会社として(株)マッキントッシュ・ジャパンを本日設立した。

新会社では、米ハイエンドオーディオブランド McIntosh(マッキントッシュ)および米Snell Acoustics(スネル・アコースティックス)製品の、日本市場での販売および修理サービスを行う。

マッキントッシュ製品はこれまで、(株)エレクトリが販売代理店として輸入販売等を手がけてきたが、2007年3月末で代理店契約が終了したことに伴い、マッキントッシュ・ジャパンが販売やサービス業務を受け継ぐ。

米マッキントッシュ・ラボラトリー社は、1949年に創業。高級アンプなどの製品は昔からのデザインイメージを踏襲し、黒いガラスのフロントパネルにブルーに浮かぶメーター類などは同社製品のアイコンとなっている。

●新会社設立記念モデル「MA6900G」

今回、新会社の活動開始を記念し、ベストセラープリメインアンプ「MA6900G」をベースにした150台限定モデルが4月下旬に発売される。価格は798,000円(税込)。

MA6900G

背面端子部

5年ほど前に発売したプリメインアンプ「MA6900」のリミテッドモデルで、基本設計は踏襲しながら、ゴールドステンレスシャーシ、高級感のあるスピーカー端子の採用などを採用。また、マッキントッシュ・ラボラトリー社の統括責任者であるチャールズ・ランドール氏の直筆サインをトップカバーに印刷している。電源は100Vで、日本仕様限定販売となる。

●Snell Acousticsのフラグシップスピーカーも発売


Illusion A7
また、米Snell Acousticsのフラグシップスピーカー「Illusion A7」も、今年7月に発売する。価格は4,725,000円(ペア・税込)。

25mmシルクドームトゥイーターを2機のネオマグネット 135mmマグネシウムコーンが上下にサンドイッチするポイントソース配列を採用。これはコンピュータ解析によりミリ単位まで厳密に配置され、位相特性とユニット間のシームレスなつながりを実現している。

ウーファーには250mmのマグネシウムウーファーを2基搭載。キャビネットは165リットルの容積を持っており、自社内にある専用工房で熟練の木工職人がハンドメイドで組み立てる。

●ハイエンドコンポ市場で10%のシェア獲得をねらう


左からヴィクター・ペイコー氏、チャールズ・ランドール氏、淺野恭文氏、稗田浩氏
本日行われた設立発表会では、冒頭にディーアンドエムホールディングス 取締役兼代表執行役社長 COOのヴィクター・ペイコー氏が挨拶。「D&Mホールディングスが目指しているのは、新しい製品を創出し、そしてそれをユーザーへデリバリーすること。販売店様との関係も非常に重視しており、今後はこれまで以上に販売店様と共に努力し、顧客満足度を高めていきたい。そのために素晴らしい製品を供給していきたい」と述べた。

次に、ディーアンドエムホールディングス セールス&マーケティングジャパン執行役プレジデント 淺野恭文氏が登壇。淺野氏は「2003年にD&Mホールディングスがマッキントッシュを取得したが、日本では今年3月までエレクトリ様との契約が残っていた。この間の様々なサポートについて、まずはお礼を申し上げたい」と挨拶。

また今回のサービス開始については、「プレミアムオーディオの至宝、マッキントッシュを販売できることは非常に嬉しい。また、同時に発売となるSnellのスピーカーはマッキントッシュと最高の組み合わせとなるはず」と説明。また、「日本市場でも高級志向が次第に高まっている。マッキントッシュは50年以上に渡ってこの分野で活躍してきた。今回の取り扱い開始を、グループの活性化のみならず、業界の発展に寄与するものにしたい」と抱負を述べた。

マッキントッシュ・ラボラトリーの概要については、プレジデントのチャールズ・ランドール氏が説明した。「1949年の設立以来、様々なハイエンドオーディオ機器を送り出してきた。その中で、日本市場は非常に重要な存在だった」とランドール氏は述べ、「日本では過去30年間展開してきたが、これまでは代理店を通じての供給という形態だった。今回、日本法人を設立したことで、特に流通面で効率化が図れると期待している」とした。また、「22年以上エンジニアリングに携わっているが、その間、日本市場から様々な影響を受けてきた。次なる30年も様々な革新的な製品を生み出していきたい」と語った。

国内での販売戦略などについては、マッキントッシュ・ジャパン代表取締役の稗田浩氏が説明。人口ピラミッドを見せながら、団塊世代が「可処分所得が高く、ピュアオーディオに対する親しみも持っている。極めて重要な潜在顧客層」であるとしながらも、「この層だけに過度な期待はできない。昨今は音楽配信やデジタルオーディオプレーヤーが人気となっており、次世代層の取り込みが欠かせない」と分析。

また稗田氏は、一般の音楽愛好者に対して、マッキントッシュに対する意識調査を行ったと説明。その結果、認知度では52%が知らないと回答。さらに、マッキントッシュの音を聴いたことがあるユーザーは22%だが、全体の75%が聴いてみたいと答えたという。この結果から、マッキントッシュの認知を高め、ファンを増やすことが重要な課題であると指摘した。

事業拡大へ向けた施策では、「チャネルの拡大は逆効果。低価格商品へのシフトもやるべきではなく、急速なオーディオビジュアルへの傾斜も無意味。重要なのは、従来より多くのマッキントッシュ・ファンを育成すること」と分析。そのために、団塊世代を取り込み、かつてのオーディオファンを呼び戻すこと、音楽愛好者をオーディオファンへ育成すること、新規顧客層の開拓、芸術文化へのこだわり層をオーディオファンに取り込む」などの施策を検討。「オーディオファンは約1万人程度だが、音楽愛好家は推定1500万人、所得1億円以上のニューリッチ層は推定140万人。これらの1%でも取り込めば、潜在需要は非常に大きい」とした。

マーケティング施策では、「体験できる場を増やすとともに、ハイエンドイメージを維持・向上しての露出アップやマッキントッシュファンの組織化、販売店とのコラボレーションなどを行う」と説明。またチャネル戦略では、地域ごとに絞り込みを図ったオーディオ専門店とのパートナーシップ強化などを戦略として提示。なお、対面販売、説明販売を徹底し、ネット通販や無店舗販売などは行わせないという。

アフターサービス面では、マッキントッシュ専用の修理工房を横浜に設営するほか、選りすぐりの修理技術者をアメリカ本社へ派遣し、現地トレーニングで一層の技術向上を目指していく。

マッキントッシュのファンであるという指揮者の大友直人氏がゲストとして登場。大友氏は、東京交響楽団と京都市交響楽団の常任指揮者として活躍している。「東京ほど演奏会が多い都市はほかにない。毎日、一晩に10から20のクラシックのコンサートが開かれている。また東京には100人規模のオーケストラが8つあるが、これもほかの都市に例を見ない。つまり、音楽愛好家の数は非常に多いと言うことになる」と指摘。また、自身の体験を通して、「日頃はライブ演奏を行っているが、音楽家の情熱や魂がオーディオを介して伝わってくるかどうか、というのは非常に重要なこと。それには、ハードを作ったエンジニアの能力や志が必要になるだろう」と語った。

なお、マッキントッシュ・ジャパンのホームページが4月2日に開設される。

(Phile-web編集部)

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

新着記事を見る
  • ブランドMCINTOSH
  • 型番MA6900G
  • 発売日2007年4月下旬
  • 価格¥798,000(税込)
【SPEC】●定格出力:200W+200W(2/4/8Ω) ●全高調波歪率:0.005%以下 ●入力端子:LINE RCA×6、LINE XLR×1、フォノMM×1 ●出力端子:プリアンプ出力RCA×1、録音出力RCA×1 ●スピーカー出力:1系統×3(2Ω用×1、4Ω用×1、8Ω用×1) ●最大外形寸法:445W×179H×476Dmm ●質量:34kg
  • ブランドSNELL ACOUSTICS
  • 型番Illusion A7
  • 発売日2007年7月
  • 価格¥4,725,000(ペア・税込)
【SPEC】●周波数帯域:27Hz〜40kHz(±3dB) ●入力感度:89dB ●定格インピーダンス:8Ω ●クロスオーバー周波数:250Hz、1.8kHz。3kHz ●ユニット:25mmシルクドームトゥイーター、135mmコーンスコーカー×2、250mmコーンウーファー×2 ●外形寸法:381W×1,499H×533Dmm ●質量:77kg