富士通テンの卵形スピーカーシステム(その2)

公開日 2001/02/01 15:36
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富士通テンの卵形スピーカーシステム
●富士通テン(株)が「タイムドメイン理論」に基づいて開発中の「卵形スピーカーシステム」。このほど、より最終形に近いプロトタイプが完成、発売に向けてさらに一歩具体化してきたので、その魅力の一端をご紹介する第2回。

◆スピーカーシステム
このスピーカーシステムは、「タイムドメイン理論」による時間領域の再現性に着目。音の波形の経過(振動の発生から消滅までの時間的な過程)を正しく再現し、限りなく原音に近づけることをねらった、全く新しい設計のモデルだ。

その外観が目を引く卵形のスピーカーキャビネットは、強度を持たせて音質的にも理想的な特殊樹脂製で、美しいピアノブラック仕上げ。搭載ユニットは12cm口径で、グラスシート振動板を採用の新開発フルレンジユニット1本を搭載している。この口径サイズを採用しているのも、「タイムドメイン理論」に基づいており、原音追求のために意図的に大口径ユニットを用いていない。

この卵の形は、宇宙で最も合理的な卵の形、「コスミックエッグ」。きわめて剛性が高く、不要な振動を抑えることができ、加えてエンクロージャー内部での反射や共鳴を低減させる効果を持っている。従来の四角いエンクロージャーとは違って、内部も外部も音波の反射の害を受けないわけだ。このため、滑らかで自然な音の再生には、この「卵型」は重要な要素となっている。

そして内部では、振動板から発生する振動で、スピーカーユニット全体が悪影響を受けないように、特殊形状のおもり(グランドアンカー)をマグネットの後方に装備。さらに、ユニットとキャビネットの振動を分離するという、非常に画期的な方法が新しく採用されているのも特筆できる。

その振動分離機構は、スピーカーユニットとバッフルキャビネット、卵形ボディの中のグランドアンカー(スピーカーの脚の部分と一体になっている)とキャビネットの間に採用されている。振動を遮断する素材は特に厳選、複数の素材から試聴と測定によって素材を選定してフローティングする念の入れようだ。

まだまだ、このシステムには注目の技術がたくさん投入されている。今回はとりあえず、12cmユニット採用のスピーカーの概要を紹介した。このシステム用に同時開発されているアンプについても、その斬新なデザインなど魅力が目白押しだ。続編に斯うご期待。

(季刊・オーディオアクセサリー編集部)

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