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インタビュー

「歴史に残る作品だから後悔はしないように」

「君の名は。」ブルーレイはこうして作られた ー “映画の感動を封じ込める” 徹底したこだわりとは?

構成:編集部 押野 由宇

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2017年07月20日
社会現象ともなった劇場アニメ『君の名は。』が、いよいよ7月26日に発売になり、自宅でも楽しめるようになる。本作はBlu-ray(以下、BD)とDVDに加え、「Blu-rayコレクターズ・エディション」には、4K/HDR収録のUltra HD Blu-ray(以下、UHD BD)が同梱されることで、AVファンの間でも話題となっている。

BDスタンダード・エディション

Blu-rayコレクターズ・エディション

新海 誠監督作品と言えば、映像美や光の表現がやはり大きな魅力。『君の名は。』を劇場で目にした圧倒的な美しさは忘れることができない(もちろんストーリーや音楽も最高)。そこで気になるのは、この作品の魅力を、どこまで光ディスクに封じ込められるのか、ということ。

詳しくは後述するが、一足先にその映像を視聴することができたので、その印象をお伝えしたい。簡単に言えば、劇場での感動がそのまま得られる。もちろん画面サイズや音響設備は異なるが、それにも関わらず「美しさ」はまるで変わらなかった。今まで様々な作品を見てきたが、これに並ぶものはないとはっきり言えるほどだ。

さて、作品をパッケージ化するには、元となるマスターデータをHEVCやMPEG-4 AVC、MPEG-2といった各種コーデックを用いて圧縮する「エンコード(コンプレッション)」という工程と、そのエンコードされた映像データに、DTSやDolbyといった音声データ、字幕、メニュー画面などをリンクさせ、プレーヤー上でどのように動作させるのかをプログラミングする「オーサリング」という工程がある(これらすべてを総称してオーサリングと呼ぶこともある)。

そのためエンコードがおろそかになれば、どれだけ元の映像が素晴らしくとも、クオリティの低いパッケージソフトになってしまう。制作者が創り上げた作品の世界を深く理解し、それを余すところなく光ディスクに封じ込める“職人技”が求められるのだ。

またUHD BDでは4K(3,840×2,160)解像度の映像が収録できるが、これはBDの2K(1,920×1,080)の4倍の値となる。さらにHDR(High Dynamic Range)という、従来より圧倒的に広い範囲の「光」を記録する規格もサポートしている。『君の名は。』のUHD BDに収録される4K/HDR映像が、どのように作られたのかも気になるところだ。

そこで今回、『君の名は。』のUHD BD / BD / DVDのエンコードおよびオーサリングを手掛ける、株式会社キュー・テックにお話を聞いた。

応じてくれたのは、カラリストとして4K/HDRマスターの製作に携わった今塚 誠氏、エンコードを担当したコンプレッショニストの泉水 裕氏(UHD BD)、成岡浩治氏(BD)、菅井邦秋氏(DVD)、同社のマネージャーである渡辺将史氏。そしてスタジオジブリ作品などでBDエンコードの経験を持ち、今回は外部から画質アドバイザーとして参加している秋山 真氏だ。

左から秋山 真氏、菅井邦秋氏、成岡浩治氏、泉水 裕氏、渡辺将史氏、今塚 誠氏

数々のアニメーション作品を手掛け、国内でも屈指の技術力を持つ同社だが、『君の名は。』には並々ならぬこだわりを注いだという。そこには、どのようなエピソードがあるのだろうか?

マスターデータから品質にこだわる

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