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ソニー・ヨーロッパはどう変わったのか

TV売上が3年で3倍に。ソニー・ヨーロッパ玉川社長に聞く、ソニーが欧州で好調な理由

公開日 2015/09/18 17:57 山本 敦
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売り場の徹底強化も行った。「実は“売り場”は欧州人の弱点。“ストラテジー”といった言葉を使うことは好きなのだが、最前線である店頭の強化は苦手だった」という玉川氏。そのため、最終的に売り場に直結した“働き方の徹底指導”を行った。

その結果、直近3年間の欧州でのテレビやカメラ市場全体が伸び悩み、横ばい、あるいは前年からシュリンク(テレビだけはサッカーのワールドカップの際に一時的に立ち直った)を続ける中、ソニーだけはヨーロッパで右肩上がりの成績を残したという。

液晶テレビ、そしてカメラはコンパクトとレンズ交換式ともにシェアを徐々に上げてきた。売上も12年から14年までの間、各年14%ずつステップアップ。マーケット自体がシュリンクする中で、ソニーがなぜ成果を出し続けることができたのか?玉川氏はテレビのカテゴリーで実行してきた戦略を例に挙げて説明を続けた。

玉川氏は、ソニー・ヨーロッパは販売会社であるがゆえ「基本動作を徹底させる」ことが大事だったと語る。

「まずはテレビのビジネスの現状を把握するところから始め、次にインチごと、各プライスセグメントごとにソニーがどれぐらいのシェアを取れているのかをきめ細かく洗い出して、そのデータを元にビジネスプランを立ててきた。現状が浮かび上がってくれば、これからソニーが各セグメントでどれぐらいのシェアを獲得すべきなのか、何を切り捨てるべきなのか改革全体の設計図が見えてくる。その計画を実行する上で、どのキーアカウントと、いくつの店舗で目標のシェアが達成できるかがというところまで考察を落とし込んでいった」(玉川氏)

計画を立てたら、次は実行に移す段階だ。ここで重要なのは「当たり前のことを、当たり前のように実現していくこと」だと玉川氏は力説する。

正しい商品に正しい価格を付けて、正しい販路で届け、店舗で正しいコンディションで展示すれば、ソニーの商品は元もと商品力があるのだから、必らず売れるはずという仮説を玉川氏は立てながら、だからこそ「当たり前のこと」ができていなければ物が売れないし、これを実行すれば必然的に商品は売れるようになるのだと述べる。

玉川氏がソニー・ヨーロッパに着任した当初は、兎にも角にも「当たり前」ができていなかったのだという。そこで、これをいかに愚直に実行できるようにするか、売りの現場の環境作りと、社員のモチベーションを高めるための仕掛けに玉川氏は順次着手していった。

■改革の成果でテレビ売上は約3倍に

まず「テレビの売り場づくり」にメスを入れた。ヨーロッパの大手家電量販店等のテレビ売り場には、たいてい多ブランドの製品が集めて置かれるマルチブランドスペースがあり、このほかにソニーなどブランドごとに製品がまとまるコーナー展示のエリアがある。玉川氏が着目した点は、このマルチブランドスペースにソニーの商品が置かれていなかったということ。

ヨーロッパではニーズに合わせてカーブド液晶もラインナップに組み込む

「お客様は各社の商品について、画質や操作性などを比較しながら選びたいのに、ここにソニーの商品がなければ選ばれるはずがない。またソニーのコーナー展示はあっても、デモ映像のメディアに色々な素材を詰め込み過ぎているがために、あろう事か画質を落として上映しているケースもあった。商品を正しいコンディションで展示するという、基本動作が徹底できていなかった。この辺りをきちんと改善してきた」と玉川氏は説く。

カンファレンスに登壇したソニーの平井社長は、ユーザーデマンドに合わせたテレビの充実したラインナップを強調

これまでの“当たり前”を急に変えるのだから、アクションは「プロジェクト化」しないことには前に進まない。そこで玉川氏は各国に「現場ストア」なるものを約40店舗指定して、その店舗の中でソニーのマーケットシェアの移り変わりをきめ細かくモニタリングしてきた。そもそも商品が正しく展示されていて、その中でどれくらいのシェアを目標にしながら、何を頑張るのか課題を設定していった。

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