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<山本敦のAV進化論 第51回>LDACキーマンインタビュー(2)

ソニーのLDACは将来192/32対応に? 他社への“オープン”展開の詳細も

公開日 2015/04/22 12:22 山本 敦
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「SRS-X33やSRS-X55にもLDACが搭載されたように、LDACはハイレゾ対応のプレミアム商品でなければ搭載しない技術ではありません。むしろ狙いとしては“Bluetoothを高音質化できる技術”という、より広い意味合いで魅力をアピールしたいと考えています」(宮原氏)

宮原靖武氏 ソニー(株) V&S事業本部 企画マーケティング部門 事業開発部 事業開発課 ビジネスプランナー

一方では4月に発表された「MDR-ZX770BN」など、LDACが登場した後にも非対応製品が発表されている。この辺りは開発がスタートした時期との兼ね合いや、設計リソースの都合により搭載が見送られている製品もあるようだが、ソニーとしては今後、LDACの技術を可能な限り広くエントリーモデルにまで展開していく考えであるという。

SRS-X55などスタンダードモデルにもLDAC対応機器は存在する

また一方で、ソニーはLDACの技術を他社の製品が使えるようにする仕組みも整えており、既に大手半導体メーカーのCSRとの開発パートナープログラムを通して、今後LDACに対応可能なICチップがCSRから提供されるという。

「ソニーは独自技術をクローズドにするメーカーとして見られがちですが、LDACについては最初からオープンに展開する計画でした。いま若い方たちが音楽を聴く時間が減っていると言われているのは世界共通の傾向ですが、音楽をより便利にいい音で聴く喜びを伝えるためにも、LDACによって市場を活性化することが最優先だと考えています。

ハイレゾは聴いてみたいけれど、ヘッドホンやイヤホンはワイヤレスが好みだという方もいらっしゃいます。ソニーとしては高音質なハイレゾをより手軽に聴いてもらうためにLDACを開発した意図もあるので、ワイヤレス派の方々にもよりいい音を手軽に楽しんでもらえるようになれば、一日の中で音楽を聴く時間も増やしていただけるのではないかと期待しています」(宮原氏)

◇ ◇ ◇


今回開発を担当された方々にLDACの詳細をうかがって、改めてワイヤレスでもハイレゾの高音質が楽しめる画期的な技術であるということが理解できた。

ただ、先にバルセロナで開催されたモバイル・ITの展示会「MWC2015」において初めてLDACを搭載したAndroidタブレット「Xperia Z4 Tablet」も発表されるなど対応機種が次々と増える一方、LDACがハイレゾのワイヤレス再生にもたらす効果をソニー自身が十分にアピールできていないようにも感じる。

現時点では「Bluetoothと比べて最大約3倍の情報量」であるとは謳われているが、例えばハイレゾなみの音質が、あるいはハイレゾに迫る高音質がワイヤレスで聴けるといったかたちでよりシンプルにメッセージを発信していった方が、多くのユーザーにとってLDACの特徴がよりクリアに見えてくるし、引いては音楽コンテンツも含めたハイレゾ対応商品への関心が深まるきっかけになるのではないだろうか。

かたや今回、こうしてLDACの開発背景を伺ってみると、LDACはハイレゾに限らず、CDや配信音源も含めてワイヤレスでよりいい音が楽しめるようになる技術であることが改めてわかった。店頭デモや実際の購入者のリスニング体験なども通じて「LDAC=いい音」というイメージが広く浸透すれば、それだけで十分に価値のあることなのかもしれないとも感じている。いずれにせよLDAC自体のアピールは今よりもっと強く打ち出した方が良いと思う。

インタビューの終わりに、鈴木氏はこのように思いを語ってくれた。

「おそらく今回、ソニーはLDACという今まで世の中になかった新しいものをつくってしまったので、その特徴や楽しみ方については今後しっかりと丁寧に説明をしていく必要があるのだと実感しています。今後もできる限り多くの方々に音を聴いていただくことができれば嬉しく思います。

世の中にまだない斬新な技術や製品にチャレンジすることこそがソニーらしさだと私は考えています。CDが登場した当初も、音がデジタルっぽくてアナログに比べると物足りないと言われることもありましたが、音楽リスニングの利便性を向上させる画期的な技術として徐々に浸透してきました。MDも世の中に先んじて出したのがソニーでした。LDACについても、その斬新さと音の良さ、使い勝手の魅力をこれからもっと積極的にアピールしていきたいと思います」

まずはLDACの対応製品とサウンドに、イベントや店頭でのデモなども活用しながらぜひ触れてみて欲しいと思う。

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