ネットワークと統合提案
新たな付加価値への挑戦



ソニーマーケティング(株)
代表取締役 執行役員社長
栗田伸樹
ビジュアルグランプリ2011 SUMMER 総合金賞
液晶テレビ "BRAVIA" HX920 series(KDL-55HX920/KDL-46HX920)
(写真はKDL-55HX920)

ビジュアルグランプリ2011 SUMMER 批評家賞
液晶テレビ "BRAVIA" HX920 series(KDL-55HX920)

ビジュアルグランプリ2011 SUMMER 技術賞
X-Reality PRO

ビジュアルグランプリ2011 SUMMER 金賞受賞モデル

KDL-55HX920/KDL-55HX820/KDL-46HX920/KDL-40NX720/KDL-32EX720/KDL-22EX420/KDL-22EX42H/VPL-HW30ES/BDZ-AT700/ HDR-CX700V/USM-16GM P/DLC-HE10XF
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多くの金賞に輝いたソニー。受賞の手応えとともに今年後半の戦略を栗田氏に聞いた。ネットワーク機能を全面に出した「スマートテレビ」の訴求へ大きく一歩を踏み出し、液晶テレビ“ブラビア”を始めPC、スマートフォン、タブレットと「4つのディスプレイ」の統合提案を展開して新たな付加価値訴求を図る。ソニーの新たなチャレンジが始まった。
 

次の付加価値としてネットワークに大きく注力

−− 多くの金賞を受賞され、誠におめでとうございます。


栗田 有り難うございます。昨今のテレビ市場は32インチ以下の低価格が中心になっていますが、ソニーは高付加価値で勝負する主力のラインナップを構成し、ビジュアルグランプリでのご評価を頂戴することができました。X-Reality PROによる画質のよさ、3D、ネットワーク、デザインという4つがポイントであり、来年度以降もこの流れでラインナップ強化を行っていきたいと考えています。

データベース型複数枚超解像を搭載した新高画質回路「X-Reality PRO」は、技術賞を受賞。「X-Reality」と「XCA7」の2チップ構成。

−− アナログ停波後の戦略をあらためてお聞かせいただけますか。


栗田 当初、7月25日以降のテレビ需要は対前年30〜40%になるのではないかと思っていましたが、昨今ではそれなりの需要はあるのではないかとの見方になってきました。エコポイント特需がまだそれほど顕著ではなかった09年度と同等程度になることを期待しています。まずは7月24日迄の需要増にお応えできるようしっかりと準備し、それ以降については需要の変化に柔軟に対応できる体制を整えておきたいと思います。


価格下落の傾向は今後も続くと思いますので、付加価値訴求をすすめるのは喫緊の課題です。高付加価値のラインナップにおいて、3Dは標準のフィーチャーとして搭載しており、加えてネットワークの訴求を強化します。30%を目指すネット接続率は、現時点では10%程度。しかし大型サイズでは20%を超える状況となってきていますから、まずは大型サイズでの接続率を確保していきたいと思います。


一方32インチ以下の接続率は5%程度に止まっており、ここでの啓発活動も肝心です。6月から「ネットにつながるのはソニー」という切り口でテレビコマーシャルも始め、店頭でもYouTubeやSkypeといったネットワーク機能を中心にデモンストレーションを行なっており、お客様からの反響をいただいています。

Twitter、Facebook、ニコニコ実況などインターネット機能に対応する〈ブラビア〉。専用アプリ「Media Remote」を使用することで、スマートフォンからの操作も行える。

一般のご家庭内に無線LANも普及してきていますが、居間の大画面テレビをネットに接続している家庭はまだ少なく、つながるメリットをしっかりお伝えすることが必要です。

「4つのディスプレイ」でソニーならではの統合提案を

−− 販売店の店頭でもネットワークを掘り下げた訴求が課題です。


栗田 当社の各支店でも「NETラボ」を立ち上げ、プレイステーションやスマートフォンも含めたソニーのさまざまな商品が相互に、またネットワークとつながることで可能となる新しいライフスタイルを統合提案として分かりやすくまとめ、そこにソニーショップ様、量販店様に来ていただき勉強会を行っている状況です。


テレビ、PC、スマートフォン、タブレットという4つのディスプレイがありますが、これらがいろいろな形で統合して生まれる新しいエンタテインメントの楽しみ方を訴求できるのはソニーだけだと自負しています。年内にはソニーのタブレットもいよいよ出て参りますし、いろいろなかたちのご提案をして参りたいと思います。


これらが統合した店頭展開については大きなチャレンジになると思いますが、すべてを体験できる売り場をつくっていかなくてはなりません。これができなければ次のステージに進めない、次の付加価値を訴求できないということになります。まずは銀座、名古屋、大阪のソニーストアでご提案をし、量販店様に浸透させたいという思いです。


地デジ化が完全に終了した後のテレビ販売の落ち込みに備えて、各ご販売店様ではすでに準備がすすめられていますから、7月25日以降には一気に流れが変わり、新しい展示ができてくるのではないでしょうか。また新たな挑戦が始まります。


−− テレビに続いてレコーダーの地デジ化も喫緊の課題です。


栗田 録画対応テレビという新たなカテゴリーの提案で、簡単に録画して見ることを楽しみたいとするVHSからのお客様をフォローできますし、3D対応やネットワーク機能などのメリットを訴求することで単体レコーダーの買い替えにもつなげられると思っております。7月25日以降になって初めて録画できないことに気づかれる方もたくさんいらっしゃるでしょうから、年末にかけてブルーレイレコーダーの需要は大きく盛り上がり、新たな需要を喚起できると見ています。


−− 音の訴求についてはいかがでしょうか。


栗田 “音"については大きな差異化ポイントとして、もういちど注力していきます。昨今、ウォークマンやヘッドホンが好調に推移しているのも、音のよさがお客様に強く認識されたからです。「ソニーのプレミアムサウンド」という言い方で、音はソニーだというイメージを確立する活動をしていきたいと思います。


テレビのサウンドシステムについても、ビジネスの拡大につなげたいと思っております。テレビは画像の美しさに焦点を当てて参りましたが、今後は音についても同じように訴求したいと思います。ウォークマンで培った「いい音」のイメージを最大限に利用して、ソニーの差異化ポイントにつなげていきたいですね。


ソニーは昨今、組織においてもコンピュータエンタテインメントとデジタルAV系やPCとの結びつきを強化する編成となりました。まさに4つのディスプレイに対しての統合がよりやりやすくなったということ。私どものこれからのご提案をぜひともご期待いただきたいと思います。
 

【関連リンク】

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栗田伸樹氏 プロフィール

1979年4月ソニー(株)入社。99年 Sony de Mexico プレジデント。03年 ソニー(株)IT&モバイルソリューションネットワークカンパニー・e-ビークルカンパニー プレジデント。05年 オーディオ事業本部・車載機器事業部 事業部長。06年 Sony Electronics Inc.(米国)Consumer Product Marketing, EVP。08年4月 ソニーマーケティング 代表取締役副社長。09年7月1日代表取締役社長に就任。