DENON LINK 4thにも対応したBDプレーヤーの100周年記念モデル

SACDからDVDビデオ&オーディオまで再生できるユニバーサルプレーヤーは、デノンが初めて世に送り出したカテゴリーである。現在はBDとSDカード内のMP3、WMA、JPEG等オーディオデータのファイルが新たに音源として含まれるに至った。万能のユニバーサルプレーヤーには常にAVの今がある。本機はデノンの音響メーカーとしての100年の来歴を記念する、今回の“A100シリーズ”プロジェクトにもっとも相応しい製品といえる。

DBP-A100のベースは昨年9月発売のユニバーサルプレーヤー「DBP-4010UD」で、電源部のブロックコンデンサーを換装、フートに鋳鉄製インシュレーターを採用するなど各所にグレードアップが図られている。フロントパネルもアルミマイカ入りの光沢黒仕上げとなる。しかし、他のA100シリーズ同様に既存機のプレミアム仕様ではなく、独自ラインの一機種としての位置付けで、国内専用でなく北米・欧州でも販売される。

本機で再生可能なメディアはスペックを参照してほしい。それに次ぐ魅力は「DENON LINK 4th」を搭載し、AVR-A100等、同社のDENON Link 4th対応サラウンドアンプと組み合わせれば、アンプ内のクロックを共有しHDMI音声（BDビットストリーム音声等）のジッターを低減した高品位伝送ができることだ。デジタル音声をアナログ波形のなめらかさに近づけて変換出力する、デノン独自のデータ補間アルゴリズム技術“Advanced AL24 Processing”を全チャンネルに搭載する。また、これに対応して全チャンネル分に192kHz/24bit対応のDAコンバーターを持つ。機構、メカニズムもダイレクトメカニカルコンストラクション、アドバンスドS.V.H.ローダー採用オリジナルメカ等、デノンのCI的技術が奢られている。

それでは、AVR-A100との組み合わせで視聴した、本機の画質・音質を検証してみよう。BDの画質はやや明るめのコントラストで、影や暗部をあまり潰さない。ノイズ描写もフィルム地肌を過度に表出せず穏やか。鋭利さよりバランスを重視した階調重視画質である。色彩の豊かさ、自然さを重視し一見穏やかで絵画的だが情報量は豊かである。

HDオーディオはDENON LINK4thの効果があらたかで、歪みのない広々した空間に鮮明な音群が綿密に描きこまれる。筆者の今年度の“ソフト・オブ・ジ・イヤー”である『ハート・ロッカー』は、サウンドの解像感が高く、軍用ヘリのエンジン音を機関内にマイクが入り込んだように生々しく解像する。音場が高く大きく、爆発のエネルギーも音が高い所から降り注ぐように落ちてくる。

SACDはカナダの女流ピアニスト、アンジェラ・ヒューイットの『ベートーヴェン ピアノソナタ第二集』を再生した。映像同様に情報の引き出しに遺漏がなく、楽音を彫刻的にシャープな描線で描く一方、ピアノ（ファツィオーリ）の筐体内の共鳴を濁りなく生々しく再現、トータルな音場の構築に冴えを見せる。

（text：大橋伸太郎）