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AVR-3311

DENON
AVR-3311

¥130,000(税抜)

発売:2010年6月中旬
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3D映像のパススルー出力に対応したAVアンプ

【SPEC】●定格出力:125W×7ch(8Ω) ●実用最大出力:185W×7ch(6Ω) ●消費電力:670W ●外形寸法:434W×171H×381Dmm ●質量:12.2kg

※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。

テストレポート

ネットワーク機能も搭載した3D対応のミドルクラスアンプ

デノンは今年の夏、エントリーからミドルクラスまで一気に3D/ARC対応のAVアンプ3機種を投入してきた。その中でも本命とみられるのが最上位のAVR-3311だ。

本機は2009年発売のAVC-3310の後継に当たる機種であり、実用最大出力は185W×7ch(6Ω)。サブウーファー用のプリアウトを2系統備えた7.2ch構成だ。スピーカー端子は11系統。Audessy DSXとドルビープロロジックIIzにも対応し、再生モードによってフロントワイド、フロントハイなどのスピーカーが機能する本格的な3D音響再生指向のアンプだ。

内蔵アンプのクオリティアップも図られた。例によって全チャンネル同一クオリティのディスリート構成。厳選されたパーツで独自構成したアンプだが、上位モデルのAVC-4310でも実績のあるミューティングの段数やパスコンを減らすなど、堅実な手法を導入している点が見逃せない。

アンプとしての基礎性能を鍛え上げたうえで、32bit音声のDSPの採用など音質向上を図っている。HDMIは6入力/2出力を搭載し、例えばテレビとプロジェクターをつないでおき、それぞれ視聴時に出力を切り替えて使用できる。アンカー・ベイ・テクノロジーの高級チップにより、1080/24pへのアップスケーリング出力も可能だ。

そしてAVC-3310にはなかったネットワーク機能が、本機の先進的なフィーチャーとして注目される。DLNAベースのネットワーク機能を備え、 Windows 7搭載PCからWindows Media Player Ver.12の再生機器として本機を呼び出して、NASに保存した音楽ライブラリーを再生したり、インターネットラジオも楽しめる。PC連携のWebコントロール機能の使い勝手などはトップクラスの充実ぶりである。iPodとの連携については、オーディオファイルのデジタル再生も行える。

ネットワーク関連の機能を検証しておこう。オーディオファーマットへの対応は多彩で、WAV/AAC(DRM非対応)/WMA/MP3/FLACをカバー。NASに録りためたLINN RECORDSの高音質配信サイトの音源をLAN経由で再生してみる。クレア・マーティンのニュアンス豊かなボーカルや、室内楽の艶やかなハーモニーを情報量たっぷりに楽しめた。ライブラリの検索もメニュー階層式で親しみやすい。インターネットラジオはこれもリストの表示や選局がわかりやすくサクサクと選べる。好みの局を登録しておくことも可能だ。

iPodとの接続はUSB端子へのダイレクト接続と、同社のiPodドック「ASD-11R」を介する方法が選べるが、デジタル接続に対応するのは前者の場合。音質優先ならUSB端子へ直の接続がオススメだ。

その他全般の使い勝手でも、本機からの新リモコンの採用や、ボタンを押すだけで起動するクイックセレクト機能など、操作性の向上がめざましく、AVアンプとして一層親しみやすく感じられた。

サウンドの面では、本機では良い意味で“オーディオっぽさ”や原音に対する忠実性の指向を強めたという印象だ。まず低音域がひきしまってタイト感がアップ。そして申し分なく重心が下がってぐっと力強いのだが、妙なゴツさがなく、柔らかく緻密。ジャズ、ポップスやクラシックなどのソースを聴いてもスムーズだ。レスポンスが素直な証拠である。

「クリス・ボッティ」など音楽もののBDソフトでは、オーディオ表現の良さが生きる。ボーカルや楽器のサウンドにみずみずしさがあり、響きも豊かで定位明快だ。プレーヤーどうしの掛け合いが生々しく、ステージの広がりや高さ、深さ感を立体的に描写する音場性の良さが印象的だ。ボストンシンフォニーホールの暖かな残響がリアルに感じられた。

3D的な音響を意識した「アバター」には本機の広大な空間表現がぴったりだ。S/Nが特に優秀で、際立つ静けさである。パンドラの森の広がりが一層深く、空がヌケるように高い。また空中バトルのシーンではSEが目のさめる鮮明さで、怪鳥のダイナミックなはばたきやハードな銃撃音が飛び交って興奮度は最高潮。包囲と方向感がすばらしく明快でシャープなのだ。

「ダークナイト」のクールさや暴力的なクラッシュ音、ズシっとくる重圧感なども余裕で再現する。ドラマ仕立のシリアスな作品ではセリフに幅と深みを増してくる。ソースを選ばず、作品の持ち味をこれほどまで的確に引き出す表現幅の広さという点でも、間違いなく格上モデルの風格だ。

(text:林正儀)

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