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公開日 2023/06/20 21:08
スマホの防水性能が下がる恐れも

スマホのバッテリーを「ユーザーが簡単に交換」義務づける法案、EUで可決

多根清史
欧州連合(EU)は昨年末、スマートフォン等のモバイル機器に搭載されるバッテリーにつき、ユーザーが「簡単に」交換できるよう義務づける新たな法律を準備中と報じられていた。その法案に、欧州議会が圧倒的多数の賛成票を投じたことが明らかとなった。

欧州議会は先週、EU域内で販売されるすべての電池の設計や製造、廃棄物管理に関する新たな法案を可決した。賛成587票、反対9票、棄権20票とのことだ。この規制案の中には、iPhoneやiPad、Macで使われているような「ポータブルバッテリー」を、消費者が自ら簡単に取り外し、交換できるよう設計することが含まれている。

ここでいう交換可能とは、具体的には「市販の工具を使うことで取り外しでき、無料で提供されるほかは特殊な工具の使用を必要とせず、また分解するために独自の工具、熱エネルギー、溶剤などを必要としない」ことを意味するという。

その目的は、バッテリーを「より持続可能で、より耐久性を増し、より高性能なものにすること」。さらに、ポータブルバッテリーの「より厳しい廃棄物回収目標」が設定され、素材の回収率もリチウム、コバルト、銅や鉛など種類ごとに決められている。

EUが主張する通り家電製品、ひいてはiPhoneのバッテリーが直ちに交換しやすくなるのか。また、アップルが規制に従いiPhoneの設計を変えるのかは、かなり疑わしい。

まず1つには、この規制案が発効するまでには数年かかる。今回はあくまで欧州議会が承認したに過ぎず、今後はEU理事会でも可決される必要があり、さらにEUの官報に掲載する手続きを踏むことになる。こうしたプロセスを経て域内諸国で実施されるのは、早くても2027年とみられている。

また「iPhoneのバッテリーを交換しやすくするよう設計を変更せよ」との命令が下されれば、アップルは猛反発するだろう。昨年末から欧州でも提供しているセルフサービス修理プログラムが、ユーザーが「簡単に取り外し、交換できる」要件を満たしていると主張するかもしれない。

いわゆる「USB-C統一法」の場合、近年ほとんどのAndroidスマートフォンがUSB-C端子に移行していることや、iPhoneもワイヤレスのMagSafe充電に重きを置いていることもあり、反発は少なかった印象がある。実際、次期「iPhone 15」シリーズも全モデルともLightning端子からUSB-Cに切り替わるとみられている。

だが、ユーザーが容易くバッテリーを交換できない構造は、防水性能とも密に結びついている。もしも設計レベルの変更が義務づけられたなら、デバイスの堅牢性、ひいてはユーザーの利益も損なわれる可能性もある。アップルだけでなく、多くのスマートフォン各社も反発するかもしれず、今後の推移を見守りたいところだ。

Source: European Parliament
via: 9to5Mac

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