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ハイクオリティな有線ヘッドホン3機種での実力もチェック

ウォークマン「NW-ZX707」ロングランレポート。「ウォークマンでなければ聴けない音がいまも確実に存在する」

公開日 2023/06/28 06:40 山之内 正
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サイズ感と使い勝手が購入の決め手!「NW-ZX707」のロングランレポート



普段持ち歩くバッグのなかでウォークマンの居場所がスマートフォンに置き換わってからしばらく経つ。特にストリーミングを常用するようになると、より手軽な方へと志向が変わって、スマホとワイヤレスイヤホンで不満を感じなくなってしまうのだ。

ソニーのウォークマン「NW-ZX707」(オープン価格/直販価格 税込104,500円/税込)

忙しく動き回っているときはそれでいいのだが、列車や航空機での長距離移動時など、じっくり音楽に浸りたい気分のときはやはり物足りなさが募る。しかもストリーミングはネットにつながらない環境では無価値だ。どうせダウンロードして聴くならもう少し良い音で聴きたい。

そんなことを考えていたとき、ウォークマンの最新機種「NW-ZX707」に出会った。そして、音を聴く前にまずはサイズ感が気に入った。WM1AM2は大きすぎるし、ZX500はスリムで使いやすいが画面が小さく、心もとない。

ZX707はスマホとほぼ同じ感覚で使えるし、画面も広々。128GBか256GBのmicro SDカードを入れておけば本体の64GBと合わせて長距離移動も余裕でカバーできるし、ホテルなどWi-Fi環境があればストリーミングも聴き放題だ。これと音の良いヘッドホンをバッグに忍ばせておけば、旅先で音楽難民になる心配はないだろう。

専用レザーケースと合わせて10万円余りの出費はそれなりに大きいが、大容量のiPhone14Proのほぼ半分。電話と比べるのもおかしな話だが、音楽再生端末として比べればスマホはZX707の敵ではない、はずだ。

ノイキャンヘッドホンと組み合わせて、長距離フライトでも満足のいく音質を



購入後4ヶ月ほどの間に欧州往復を含めて10回近くの長距離移動があり、そのすべての機会においてZX707は期待通りの満足を与えてくれた。列車や航空機は外来音が大きいのでノイズキャンセリングヘッドホンとの組み合わせが最強だ。強力なパートナーの「WH-1000XM5」とともに、すでに2万数千キロの移動をこなした。

ZX707と「WH-1000XM5」はキャリングポーチひとつに収まるので持ち運びも楽々

ノイズを遮断した環境でピアノ協奏曲や器楽曲の演奏に浸るのはまさに至福の時間だ。繊細なディテール、精妙な余韻。欧州往復のフライトではグールドとオラフソンが弾くバッハ、アンスネスのモーツァルトなどピアノ中心に計20枚ほどダウンロードして保存しておいたので、いくら聴いても飽きることがない。スマホとワイヤレスイヤホンではここまで上質な鑑賞体験は不可能だ。

電池駆動時間は実質20時間強でまだ十分とは言えない。だが、最近は車内や機内にUSB電源が常備されているので、ケーブルさえ忘れなければ困ることはない。

自動車のなかでも電源環境に困らないのは同じだが、Android Autoには非対応なので車内での操作性は良くない。本体で操作すれば選曲できるのだが、最長でも30分で画面が消えてしまうし、もちろん運転中は100%操作できない。Android Autoに対応させるためには電話機能が必須だそうで、そうすると音楽再生に特化したウォークマンの設計思想が根底からくずれてしまう。不便だが、いまのところこの制約から逃れる方法はなさそうだ。

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