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ゼンハイザー“HD 600シリーズ”の新境地!「HD 660S2」を従来モデル3機種と聴き比べ

公開日 2023/03/01 06:30 野村ケンジ
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振動板にはラミネート加工を施した「Duo-Fol テクノロジー振動板」を採用。ラミネートの厚みや形状を調整することで可動域をアップさせ、低域の量感向上を果たしている。

また、アルミ素材のボイスコイルはさらに細いものへと変更し、巻き数を増やしつつ重量を10%ほど軽量化することでレスポンスを向上、高域の繊細な音表現や低域のフォーカスのよさに貢献しているという。

振動板形状やボイスコイル、エアフローなど各所が調整された

メーカーが公表している帯域特性グラフを確認すると、HD 660S2はHD 660Sに対して150Hz以下の低域の量感が上がっており、5kHz以上の高域については素性の良さそうな、なだらかなカーブに変化している。グラフからは大いに期待できるが、はたして実際のサウンドはいかほどだろうか。

前モデル「HD 660S」との周波数特性比較では、低域の量と高域のなめらかさが大きく変化したことが見て取れる

ちなみに、コイル巻線をさらに細いものへ変更したり、ドライバー自体の組み上げ精度を高めたりと、音質優先のために様々な技術を詰め込んだ結果、製造に関する難易度も上がってしまったという。このためHD 660S2は、長い歴史と技術力を持つ、同社のアイルランドファクトリー専任で組み上げが行われている。

HD 660S2は、インピーダンスが“元に戻っている”点にも注意が必要だ。市場からのリクエストがあったのかどうかはわからないが、前モデルのHD 660Sでは、HD650までの300Ωから150Ωへとローインピーダンス化が図られた。しかしながらHD 660S2では、インピーダンスが再び300Ωへと戻されている。

据え置きタイプのヘッドホンアンプを活用すればどちらでも問題ないように思えるが、300Ωのインピーダンス特性を持つヘッドホンを十全に鳴らすためには、思っている以上にしっかりした環境が必要だったりもする。

なお外観的には、HD 660S2とHD 660Sはほとんど違いがない。ヘッドバンド上部のゼンハイザーロゴや、パンチングメッシュの開放型ハウジング部分の「S」ロゴがシルバーからブロンズに変わったためひと目で見分けはつくが、そのほか目につく変化は見当たらない。ベロア素材のイヤーパッド、パンチングメッシュによって軽量化されたボディ、柔らかいヘッドバンドインナーなど、もともとの完成度の高さもあってか大半はそのまま継承されている。同梱の着脱式ケーブルについては、HD 660Sの3mから1.8mへと短くなった。

ロゴの大きさや色合いを除き、HD 660SとHD 660S2のデザインはほぼ同じだ

■シリーズの特徴を受け継ぎ、そして高めた「最も低歪みで客観的なサウンド」



さて、肝心の試聴レビューに話を進めよう。2pinコネクタを使った着脱式ケーブルは、HD 660Sと同じく6.3mm標準端子に加えて4.4mmバランス接続端子のタイプも同梱されている。ということで、今回は4.4mmバランス接続端子ケーブルをメインに使用して、他のHD 600シリーズと比較しつつHD 660S2を試聴した。

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