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優れたアンプこそがマルチch再生を制する

最新にして最強。マランツ最高峰一体型AVアンプ「SR8015」の“音楽力”を検証

2020/10/16 大橋伸太郎
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最新にして最強の一体型AVアンプが登場


ステレオの再生能力を磨き上げていった先にマルチチャンネルの音質がある—— が、マランツのAVサラウンドアンプに共通する考え方である。音楽再生能力を優先する、という意味ではない。多チャンネルの同時駆動や映画再生でしばしば襲いかかる大きな負荷にレスポンスする上で、AVサラウンドアンプにとって電源等の品位はHi-Fi以上に重要であり、アンプとしての地力に優れるものがサラウンド(映画)の音質を制する、という意味である。

マランツのAVサラウンドアンプのラインナップが揃って更新された。その中でひときわ注目なのが「SR8015」だ。11chパワーアンプ内蔵、13.2chプロセッシング。従来の「SR8012」に置き換わる一体型の最上位だ。この上にはアップデートが待たれるセパレート型AV8805+MM8077があるのみ。マランツのラインナップ上、そしてAVサラウンドアンプ全体を見渡しても、最新にして現在最強の存在といえるのだ。

マランツ一体型AVアンプの最高峰「SR8015」37万円(税抜)10月中旬発売


8Kに対応、HDMI音声やイマーシブサウンドも進化

まず “最新” の方から見て行くと、8Kインターフェースにいち早く対応した。HDMI8入力3出力のうち、1入力2出力が8Kに対応。HDMI 2.1フルスペック対応を果たした。それ以外の7つの4K入出力も新しい8K対応HDMI経路を通ることに注目。重要なニューステージを機に、HDMI入力系を総ざらいし、長い時間をかけて徹底的に調整を行い、全てのHDMI入出力の前向きなアップデートがなされている。

HDMI端子のうち1入力2出力が8Kに対応。8Kという新たなステージにあたり、今後のユースケースとしてかなりの時間をかけて全体的な見直しを行い、音質の向上を図ったという

SR8012から3年経ち、サラウンドも進化した。SR8015のユーザーにはできる限り全てのコンテンツを聴いてほしいという思いから、イマーシブサウンドは従来に加えIMAX Enhanced、さらにDTS:X Pro(10月にファームウェアアップデート予定)に対応を果たした。

従来DTS:Xは、その規格上、オブジェクトーディオの拡張が11chまでに制限されていた。その結果、ドルビーアトモスで天井6発再生を楽しむ環境を持ちながら、DTS:Xでは全てが鳴らないもどかしさがあった。13.2chプロセッシング対応の「SR8015」は、DTS:X Proの拡張能力を得て天井6発再生が可能になった。

Dolby Atmosはもちろん、DTS:X、IMAX Enhanced、Auro3Dで天井スピーカー6基を使ったイマーシブサウンド再生が可能になったのもポイントのひとつだ

Auro-3D再生ができるのも、下位機種であるSR6015との差だ。アトモスおよびDTS:Xのトップミドルか、Auro-3Dのハイトセンターまたはボイス・オブ・ゴッドかのスピーカーアサインは、本機の場合、ユーザーのマニュアル設定になる。同じ13.2chプロセッシングでもスピーカー出力が二つ増えたAV8805の場合、すべてを接続しておいて、入力ソースがAuro3Dならハイトセンターまたはボイス・オブ・ゴッドに、アトモスならトップミドルに自動で切り替わるから、その点まだ上には上があるということだ。

音場調整には、Audysseyの最上位グレードであるMultEQ XT32を採用。2つのスピーカープリセットが設定可能で、たとえば家族が聴く時は自動音場調整まかせで、一人で見る時はマニュアルで追い込んだ結果をGUIメニューから選択すればいい。リモコンのクイックセレクトでも切り替え可能だ。

デジタル部は、D/Aコンバーターに前世代と同じ旭化成エレクトロニクスの32ビット8chDAC「AK4458VM」を2基使用するが、DSPのデバイスがファルコンのシングルコアからシャークのクアッドコアタイプに変わった。

DSPにはSHARC製の最新型デュアルコアDSPを2基採用。DACはAKM製32bit 8ch DAC「AK4458VN」を採用。D/A変換回路を映像回路やネットワーク回路から独立した専用基板にマウントすることで、相互干渉も排除している

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